外来種は本当に悪者か? の商品レビュー
ニュー・ワイルド(新しい野生)をキーワードに、外来種浄化を主張する環境保護の自然観(熱帯雨林、湿地,サンゴ礁といった完成された不変の生態系で、生物は独自の役割を果たしている)を、リセットしよう。
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「研究者、ひいては世界は外来種を悪者としてしか見てない」って決めつけてる文体。 自分の前提を疑うという科学にあるべき基本的な視線が欠如した状態で捲し立てる事に反発を覚えた。
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よく在来種/外来種と区分けされるが、その線引きは極めて曖昧。長い時間軸で見れば皆外来種である。外来種の放埒の末、在来種が住処を奪われ姿を消すといった物語には馴染みがあるが、事実はそのような単純な二分法でないことが多い。その裏に隠れた変数、(主に人間による)環境の変化があり、外来種...
よく在来種/外来種と区分けされるが、その線引きは極めて曖昧。長い時間軸で見れば皆外来種である。外来種の放埒の末、在来種が住処を奪われ姿を消すといった物語には馴染みがあるが、事実はそのような単純な二分法でないことが多い。その裏に隠れた変数、(主に人間による)環境の変化があり、外来種がたまたま変化後の環境に適し、在来種は適さない場合に上記の物語が表面上正しく見える。「外来種は乗客であり運転手ではない」の例えが分かり易い。となると、在来種では生育できないような環境に果敢に立ち向かう、ヒーローとしての外来種像すら見える(コロナイザーとしての外来種の利点は強調すべきだ)。実際のところ、外来種は特に問題を起こさず在来種の中に馴染み、生物多様性に寄与するケースが多い。問題なケースも皆無でないものの、外来種は悪との決めつけは極論である(このような決めつけは流石に現代の生態学観ではないらしいが)。 また、そもそも維持すべき生態系・極相など存在しないのでは?エコロジカル・フィッティングの考えでは生態系は常に変化するものだ。従来の考え方では、生態系は精密な機械仕掛けのような共進化の賜物であったが、これは生態系の一部の要素でしかない。多くの種は環境に応じて主体的に進化するのみで、生態系にて求められる役割を果たすため進化などしていない。 手付かずの自然はほとんどない。原生林とは人間が放置したかつての農耕地である(地球上に原生林は最早ないと断言する者もいるくらいだ)。従って、あるべき姿、回帰すべき自然とは虚像かもしれない。生態系は今も止むことのない変化の途中である。目を向けるべきは、そんなニューワイルドである。
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害獣や害虫、有害植物などと言われ、すっかり嫌われ者の「外来種」が、本当に悪い奴らなのかをとてもわかりやすく解説してくれている本。 地球上にはもはや「手付かずの自然」などというものはない。自然はほっとけば勝手に再生する。外来種に滅ぼされそうになっている動物を何とか保護しようという...
害獣や害虫、有害植物などと言われ、すっかり嫌われ者の「外来種」が、本当に悪い奴らなのかをとてもわかりやすく解説してくれている本。 地球上にはもはや「手付かずの自然」などというものはない。自然はほっとけば勝手に再生する。外来種に滅ぼされそうになっている動物を何とか保護しようというのは人間の勝手。そもそも、「種の絶滅」とか言ってるのは人類が登場してからの話であり、それ以前にだって山のように消えていった種はあるはず。など、刺激たっぷり。 生命は基本的に変化していくもので、外からの変化を取り入れて良い方に変化していくことが理想。それこそ「ニューワイルド」だ! 人間が勝手に自然を固定しようとしてもダメになるだけ。 途中から人生や会社組織の話を聞いているみたい。守りに入って変化しなくなったら終わりというのは、生命体としてすでにプログラムされていることだから、逃げられないんだと思ってしまった。
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人間が最大の外来種ですよね。外来種が入ってくる原因も人間だし。人間がいる限りは、外来種が入ってくるのもまた「自然」。「本来の自然」とは何なのか、読むと少し見方が変わります。
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そもそも、この本が『外来生物=悪者』説の反論として主張している点が間違っている。どんな環境においても、生物の多様性が高いほど良いというのは生物多様性の意味を全く理解していない。なぜなら、生物が長い時間をかけて生息地に適応し、独自に進化したことこそが多様性の源だからだ。他地域の外来...
そもそも、この本が『外来生物=悪者』説の反論として主張している点が間違っている。どんな環境においても、生物の多様性が高いほど良いというのは生物多様性の意味を全く理解していない。なぜなら、生物が長い時間をかけて生息地に適応し、独自に進化したことこそが多様性の源だからだ。他地域の外来種が増えることは、大きな範囲で見れば 同じ種が繁栄することにより、生物の多様性を低下させている。 大げさに言えば、北極には北極の、熱帯には熱帯の生物が生息するからこそ、人間社会においても独自の文化が発展するのだ。この説の行き着くところは、単一的かつ統一的な世界である。 しかし、このような議論が活発になるきっかになった事実は高く評価したい。
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人間にとっての利害や人間の文化的背景で、有益か有害かを判定され、取り入れられたり駆逐されたりする。 しかし自然は強く、人間の思惑などいつの間にか超えてしまう。 そもそもコントロールしようと企てること自体が、人間の傲慢だと改めて思う。
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賛否両論の一冊。環境保護において、外来種の侵入といえば、悪い印象を持たれることがほとんどである。しかし、著者は、はたして本当にそうなのかと疑問を投げかける。まず、在来種に重大な影響を与える外来種があるのは事実だが、それは、たくさんの外来種のうちの一部であるという。例えばハワイ諸島...
賛否両論の一冊。環境保護において、外来種の侵入といえば、悪い印象を持たれることがほとんどである。しかし、著者は、はたして本当にそうなのかと疑問を投げかける。まず、在来種に重大な影響を与える外来種があるのは事実だが、それは、たくさんの外来種のうちの一部であるという。例えばハワイ諸島では、花を咲かせる植物1500種のうち、1000種を越えるものが外来種であり、絶滅が確認された在来種は71種だとされる。つまり、絶滅した在来種を越える数の外来種が侵入することで、その環境の生物種はむしろ増えているというのである。続いて、在来種が外来種に追いやられたように見える事例でも、実はすでに環境が悪化して在来種が少なくなっており、そこに外来種が適応しただけという場合があるという。アフリカのヴィクトリア湖では、外来魚ナイルパーチにより、在来魚シクリッド500種の半分が絶滅させられたといわれる。しかし、もしかすると最大の原因は水質汚染の方だった可能性がある。むしろ外来種は、アメリカのエリー湖に侵入したイガイのように水質向上に資することもあるというのだ。著者の主張はいたって明快である。外来種の侵入はなんら不自然なことではない。いっそ外来種の絶え間ない侵入こそが自然なのである。「大きな時間の流れのなかでは、そもそも在来種が存在しない。」太古の自然、手つかずの無垢な自然など現在の幻想でしかない。「自然はぜったいに後戻りしない。前進するのみ。たえず更新される自然に、外来種はいちはやく乗り込み、定着する。彼らの侵入は私たちにとって不都合なこともあるが、自然はそうやって再野生化を進行させている。」著者は多くの事例をあげて、自分たちがもつ、受け身でかよわいものとしての「オールド・ワイルド」な自然観を、ダイナミックでやる気満々な「ニュー・ワイルド」へ転換する必要を説く。無批判に信じられてきた自然観に一石を投じる一冊。ただし、すでに多くの識者が批判しているよう、本書には致命的な誤解も多いとされる。下記の書評が非常に参考になるので、合わせて一読を勧めたい。 『この著者は「そもそも生き物がそんなに好きではないのでは?」』 湿地帯中毒(http://d.hatena.ne.jp/OIKAWAMARU/20160919/p1)
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まず、生態学の非科学的実態に驚かされる。 外来種の問題についてはもっと科学的データに基づいて冷静に議論すべきである。 外来種とは何で、在来種をなぜ守るべきなのか。感情を排して議論しなければ、教条主義的な態度と言われても仕方ないであろう。 自然は常に変動し、正しい状態などない! た...
まず、生態学の非科学的実態に驚かされる。 外来種の問題についてはもっと科学的データに基づいて冷静に議論すべきである。 外来種とは何で、在来種をなぜ守るべきなのか。感情を排して議論しなければ、教条主義的な態度と言われても仕方ないであろう。 自然は常に変動し、正しい状態などない! ただし、植物はある程度放置でいいのかもしれないが、ペットを飼いきれなくなっては放出する行為は許されないと思う。何を持って許される範囲とするかは難しい。 絶滅危惧種を人間の力で無理やり自然をいじってまで維持するのは、労力とお金の無駄であろう。福祉等、もっと優先すべき資源の配分先がある。
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私達は善玉悪玉に色分けするのが好きなので、よそ者は大抵敵とみなされる。 アリは世界中旅をしていく先々ですぐ馴染む。集団である事も大いに関係ある。最低600匹いればどんな異質な環境にも適応できる。 意図的にせよ偶然にせよ、人類の旅には多くのお供がいた。 私達が生きてるのは「るつぼ的...
私達は善玉悪玉に色分けするのが好きなので、よそ者は大抵敵とみなされる。 アリは世界中旅をしていく先々ですぐ馴染む。集団である事も大いに関係ある。最低600匹いればどんな異質な環境にも適応できる。 意図的にせよ偶然にせよ、人類の旅には多くのお供がいた。 私達が生きてるのは「るつぼ的世界」生態系はその場所の地質や気候に形作られ制限を受ける。 農家が栽培しているものもご多分にもれず外来種。 イギリスとアメリカで最も嫌がられている外来種の植物がクズとイタドリどちらも日本産。 環境保護主義者は生態系を脅かすよそ者を駆除する為ありとあらゆる手段をとる。妥協の余地なく、動物の権利も考慮されなければ地域の生物多様性が損なわれることへの懸念もない。 自然は壊れやすく、一度変化した生態系は2度と戻らない。と大げさに語られ過ぎ。
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