科学者と戦争 の商品レビュー
文科省ではなく、防衛省が大学の研究費の多くを占める日が来るのだろうか? そういうことが起こり得るということを、軍事研究に反対という立場から丁寧に解説されている。大変面白かった。筆者によると、研究というものは、そもそも研究者自身の興味関心で行われるべきものであり、上からあれをやれこ...
文科省ではなく、防衛省が大学の研究費の多くを占める日が来るのだろうか? そういうことが起こり得るということを、軍事研究に反対という立場から丁寧に解説されている。大変面白かった。筆者によると、研究というものは、そもそも研究者自身の興味関心で行われるべきものであり、上からあれをやれこれをやれと言われたところで、研究者は虚しくなるのではないかという指摘を行う。国家による科学への介入は、科学そのものを破壊していくことになるだろう。研究費がないから軍事研究に手を出す、という研究者自身の信念の一貫性のなさが、自分自身の首を絞めることになる。
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豊橋の技術科学大学の学長が、軍事化研究の長になったというニュースを聞いていたので、本書はとてもタイムリーな出版である。ぼくは、戦後の日本は戦争研究、軍事研究をしなさすぎたと思っているが、一旦やるとなると、それは科学者の倫理と大きくぶつかるものになることが本書からわかる。科学という...
豊橋の技術科学大学の学長が、軍事化研究の長になったというニュースを聞いていたので、本書はとてもタイムリーな出版である。ぼくは、戦後の日本は戦争研究、軍事研究をしなさすぎたと思っているが、一旦やるとなると、それは科学者の倫理と大きくぶつかるものになることが本書からわかる。科学というのは本来デュアルユースで、なんにでもなる可能性がある。自分は純粋に真理を追い求めているのだと言っても、容易に軍事に利用される。原爆一つとってもそうで、考えて見れば、軍事に応用できないような科学はないし、軍事研究が民間の役に立つということもいくらでもある。今日日本では武器輸出が認められ、軍事研究への参加が呼びかけられていて、科学者はその選択を迫られている。研究費が少なく、科研費等の外部資金の獲得がなければ研究ができなくなっている現状を見ると、ついつい誘惑にのってしまいそうだが、そうなると、途中から機密扱いされ、個人の研究ではなくなってしまう可能性も大きいという。ではどうするか。池内さんは、少なくとも防衛庁などの機関から出る金はもらわないほうがいいと言っている。
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