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2022/06/01

もうじき土用の丑の日である。 諸説あるが、ウナギが売れないのを相談された平賀源内が、丑の日にちなんで「う」のつく食べ物を食べるとよい、という風習を利用してウナギをヒットさせた、なんていう説がある。 あれ、でもこんな理由でスタートした風習が、どうもまだ生きているらしい。 ...

もうじき土用の丑の日である。 諸説あるが、ウナギが売れないのを相談された平賀源内が、丑の日にちなんで「う」のつく食べ物を食べるとよい、という風習を利用してウナギをヒットさせた、なんていう説がある。 あれ、でもこんな理由でスタートした風習が、どうもまだ生きているらしい。 土用の丑の日が近づくと、ウナギ資源のことが問題になる。 本書は、ウナギ産地のひとつ静岡県の地元紙が、同じくウナギ生産県の鹿児島、宮崎の新聞社と連携しながら進めた連載をまとめたものだ。 ウナギの生態とか種類とか、そういうこともちらほら出てくるが、すべては「食べ続ける」ため。 我が浜松市では明治に養鰻業がはじまり、静岡県の生産は昭和43年にピークを迎えたという。そのときは全国で7割の生産を占めていたというから、ウナギというと浜松、というイメージはその頃に固まったのだろう。いまや生産量は全国4位。「元」養鰻池、は未だにあちこちにある。ウナギ屋も、もちろんあちこちにある。このウナギは必ずしも、というか多くは浜松産ではない。 もはや土用の丑の日は、ウナギが売れなくて困る日、ではなく、ウナギが売れるのを憂う日、にしたらどうなのか。もうちょっというと、この日はウナギ食べるの辞めたらいいのに。 ハーフ丼とか、精進料理のウナギ蒲焼き風のものだとか、牡蠣カバ丼とか。近年は近畿大がウナギ味のナマズ、なるものも生み出した。でも別に、みんな蒲焼きが食いたいわけじゃなくて、ウナギが食べたいんじゃないの? 食べまくってきたこの日は食べられない日にする、ぐらいやったらもっと気が付く人が増えるのかな、と思うけど、業界としてはなんだかんだいいつつもかき入れ時なわけで、食べない、売らない、という選択肢はとらないだろう。 ウナギに限らず、消費者はただサービスを受容するばかりで、賢い消費者、動く消費者、になんか放っておいてもならない。そういうこともあっての新聞連載だったのだろう。そういう目であらためて見れば、業界は無策ではなく努力を続けていることはわかる。 ウナギは完全養殖が事業化されていないから、シラスウナギを獲ってきて養殖池にいれる。本書のほとんどは、このシラスウナギの確保・池入れについてである。業界の裏側の話、地味な話ともいえるが、ウナギ問題の肝(洒落じゃないよ)であり、ウナギを食べるなら知っておくべきことなのだろう。ああなんだか真面目な話を真面目に書いてしまった。かくいう私、ウナギ、結構食べてます。丑の日はやめとくよ。

Posted byブクログ