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長流の畔 の商品レビュー

4.4

19件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

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2021/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ダーウィンの進化論によると、生き残る種とは、強いものでも、運の良いものでもなく、変化できるものだとのこと。 熊吾も広い視野と柔軟な思考をもって、時代の流れを読み、変化に対応してきた、『生き残る種』だったのは間違いないでしょう。 でも、60歳を過ぎた今、時代を読みきれず、感情に制御が効きにくくなり、変化に対応しきれなくなってきている。第8巻の熊吾は、かなり情けないです。 昭和30年代後半、高度成長期の只中にあって、熊吾も翻弄されますが、それによって家族もまた翻弄されてしまう。これまでも妻・房江は熊吾をよく支えてきましたが、この巻の房江が私は一番好きかもしれません。ちょうど同じ世代だと言うこともあるでしょう。精神的に揺らいでしまう年代の女性の姿を飾らずに写し出していて、共感してしまうのだと思います。 著者の自伝的小説だとのことですが、当時のお母様を描くことは、とても辛かったのでは…。

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2019/03/16

持ち逃げされ、仕事もうまくいかないのに、また博美の家に入り浸ることになる。房江のへそくり40万円で借金を返したのに、その時博美の存在を房江が知ることになる。信用しないようにしていたが、日曜日に医者に行くなどというウソで後をつけられてバレてしまう。結局は別居。よりを戻そうとするが失...

持ち逃げされ、仕事もうまくいかないのに、また博美の家に入り浸ることになる。房江のへそくり40万円で借金を返したのに、その時博美の存在を房江が知ることになる。信用しないようにしていたが、日曜日に医者に行くなどというウソで後をつけられてバレてしまう。結局は別居。よりを戻そうとするが失敗、房江は睡眠薬自殺を図るまでになる。伸二からは「お母さんは僕を捨てた」と言われてしまう。 なんとも暗い話が続くが、リアルさを求めてそちらの方に船が進んでいく感じでつまらなくはない。後一冊。少しは上向いてくれるといいのだが。

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2018/12/22

流転の海第8部は『長流の畔』。松坂熊吾激動の時代で家族関係にも変化が訪れる展開。 そもそも熊吾の人生はハチャメチャ、激動という感じだが、本作では、妻房江や長男伸人との関係に大きく変化がおとずれ、それと連動してかしないか、熊吾の人生そのものにもおおきな 転換が予想される。 商売...

流転の海第8部は『長流の畔』。松坂熊吾激動の時代で家族関係にも変化が訪れる展開。 そもそも熊吾の人生はハチャメチャ、激動という感じだが、本作では、妻房江や長男伸人との関係に大きく変化がおとずれ、それと連動してかしないか、熊吾の人生そのものにもおおきな 転換が予想される。 商売上気をつけねばならない分相応であったり、拡大=勝ち、成功ではないということを何とか伝えたいといった志も感じることができる。 今回もより一層大きなうねりを感じる展開であり、次作が楽しみ。

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2018/01/07

発売日に購入してから1年半寝かせてやっと読了。作者のお父様の生涯を描く、流転の海シリーズ第8部。苦難の晩年を読むのがつらくて手を出せずにいたけど、依頼された図書館報の原稿をこのシリーズで書くと決めたので、泣きながら読んだ。

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2018/01/03

今頃だけど新刊7巻です! この巻で熊吾の運も尽きたか・・・と、はじめはなんだか切ないなと思ったけれど、よく考えたら彼はいつまでたっても同じような失敗を繰り返しているので、いい歳超えて何やってるの!という気になってきました。パワフルさがないから同情しそうになったよ(笑) そうはい...

今頃だけど新刊7巻です! この巻で熊吾の運も尽きたか・・・と、はじめはなんだか切ないなと思ったけれど、よく考えたら彼はいつまでたっても同じような失敗を繰り返しているので、いい歳超えて何やってるの!という気になってきました。パワフルさがないから同情しそうになったよ(笑) そうはいっても、キクちゃんやワンコに繋がる不穏な空気感、房江の決意・・・運ではなくこれは意思なのだという啓示に圧倒されました。やっぱり宮本輝の筆力はすごいなあと! 次巻最終巻だそうですが、本巻ではノブちゃんの成長した様があまり描かてれいなかったので、次に期待。あとはノリコがなんかあやうくって・・・心配。 でも、予告されたタイトルが明るい感じだったのでほっとしています。がんばって~

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2017/12/07

相変わらず安定したおもしろさ。非常に共感できる日常や心理描写のなかに「ありえそう」な大事件がちりばめられている。それはいつも通り。 しかし、今回は大事件が多すぎる印象。また、房江の大胆すぎる行動や熊吾のほとんど反省していない態度に違和感を覚えた。これもいつも通りのような気もするけ...

相変わらず安定したおもしろさ。非常に共感できる日常や心理描写のなかに「ありえそう」な大事件がちりばめられている。それはいつも通り。 しかし、今回は大事件が多すぎる印象。また、房江の大胆すぎる行動や熊吾のほとんど反省していない態度に違和感を覚えた。これもいつも通りのような気もするけど。 次巻が最終ということなので+αの要素を加えて☆5になることを期待する。

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2017/08/09

私が1番好きな作家で、1番好きな作品。流転の海、シリーズ第8部。何と、次回9部で完結!涙。 50歳にして一児の父となった主人公熊吾も67歳。その17年間を、作者は35年かけて描き続けている。この作品は、一貫して、人が生きることの不条理と人の弱さと活力、人知の及ばぬ力と命の偶然と必...

私が1番好きな作家で、1番好きな作品。流転の海、シリーズ第8部。何と、次回9部で完結!涙。 50歳にして一児の父となった主人公熊吾も67歳。その17年間を、作者は35年かけて描き続けている。この作品は、一貫して、人が生きることの不条理と人の弱さと活力、人知の及ばぬ力と命の偶然と必然、そして、人間の底力と優しさ、哀しみまでを、描き続けている。読むたびに、必ず、生きる力を貰う。今回もまた同じ。 最後の一部は、早く読みたい、でも、いつまでも読み終わりたくない、それが偽らざる心境なのです。

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2016/11/18

流転の海シリーズの中でも、BEST3に入る1冊。 房江の背中を思い、せつなさがこみ上げる。 最終巻が待ち遠しい。

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2016/10/23
  • ネタバレ

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宮本輝のライフワークの流転の海 第八部今回も読み応えあったぁ。 著者の父上の末路を知ってるだけに、だんだん没落の坂をじわじわと進んでいっていて切ない。 経理の玉木にごっそりお金を持ち逃げされて、またあの東尾にも…早く社長名義を熊吾から東尾に換えたってぇと読んでいても気が気じゃなかったよ。 なんで熊吾みたいな情にも厚くて人脈もあって仕事の才覚もある男がこんな憂き目にあうんだろ。 細々と商売をやっていれば良かったのに、手を広げすぎたのかのって台詞があったけど、その危ない橋を渡ってこその熊吾なんだろうし…。 それにしても、房江の気持ちを思うと絶対あんな男は夫としては嫌だ。女癖が悪いし(元ダンサーの博美ともために手切れ金70万も用立てたりまたよりを戻したり)妻に手を挙げるわで房江は(つまりは著者の母君)はさぞ苦労人だったんだろなと晩年はベストセラー作家の息子と優しい嫁と孫たちに囲まれて幸せなひとときを過ごせたのかなと願わずにはいられなかったよ。 自殺が未遂に終わって良かった。 ほんとに全部が奇跡的に房江を死なせないよう神さまが計らったとしか思えないことの連続で、ホテルの従業員の為の社員食堂で就職が決まってこれからは熊吾に頼らず生きていこうとする房江の逞しさ。 伸仁は高校三年になって相変わらず勉強のせず、押入れで本を読んでる姿が著者を連想させる。 最終巻の”野の春”(希望がみえるタイトルでよかった)が待ち遠しい。 今回印象に残ったのは、大阪中古車センターの管理を任された片腕の佐竹。仕事も人柄もまじめ。その奥さんが 楚々としているけどフェロモンむんむんの女性ノリコが登場。なんかまた間違いを起こさなきゃいいけど…。

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2016/10/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前作と、よしもとばななの対談を読んでから、宮本輝はもういいかなぁ、と思っていたがやっぱりこの流転の海シリーズは別! 状況はなんだか悪いほうへ悪いほうへ向かって行っています。歯車が狂い始めたというか、物事がすべて思うようにいきません。今回ノブちゃんはあんまり登場しませんが(高校生なのかな)やはり苦しい時代だっただろうと思います。作者も言っているように自伝なので、ほとんど真実なのだと思って読んでるわけですが、そこまでさらけ出すのか・・・という思いです。 いよいよ次巻が最終章、行く末が気になります。

Posted byブクログ