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イエスの幼子時代 の商品レビュー

3.4

17件のお客様レビュー

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2024/01/18

イエスやヨハネになぞらえてるそうなんですが、そっち方面の知識があまりなくて、訳者後書きで、へーそうなんだと思うくらい。ちゃんと知ってたら面白いんだろうな… ユートピアに染まれない主人公のシモンの性欲へのこだわりと正当化がちょいちょい出て来て気持ちが悪い(でも実はこっちの方が現実...

イエスやヨハネになぞらえてるそうなんですが、そっち方面の知識があまりなくて、訳者後書きで、へーそうなんだと思うくらい。ちゃんと知ってたら面白いんだろうな… ユートピアに染まれない主人公のシモンの性欲へのこだわりと正当化がちょいちょい出て来て気持ちが悪い(でも実はこっちの方が現実的なんだろうな)けど、ダビードとの会話はどれも面白い。 街の人の善意と、自分の役割だけを果たすだけの態度がなんとも言えず不気味で、そこにシモン以外が疑問を持たないところがディストピアなのかなと思った。 結果、一日で読み終わりました。

Posted byブクログ

2023/10/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

基本的に面白いしほかの本にはないような魅力もある。 ただあまり魅力的でなく面白くない章もある。あまり魅力的でない章は前の章とほぼ同じであるという場合や、展開が急過ぎてついていけない部分がある。例えば、主人公の男が仕事に機械を用いるか同僚と議論する場面がある。この話全体を流れているテーマは、執着や愛情という感情が人生に必要であるかというものであり、機械を用いるか否かもその文脈の延長線上であることが読者は期待するだろう。しかし、その場面で急に主人公は歴史や人類の進化について話をし始める。歴史とは何かというものは哲学的なテーマとしては面白いが、人間の愛情や情熱といった違う次元の話であり、読者は面食らうか主人公が自分の心の中にはない理論を使って、自分の筋を無理やり強化しているように見える。 また、どういった形で物語が展開されているか楽しみだったのに、ほとんど物語が進まずに終わったので、残念な気持ちになった。 続きの物語があるため、それを読んだら評価が変わるかもしれない。

Posted byブクログ

2023/01/13

キャンプを後にし、小さな子供と壮年がたどり着いたのは、一種ユートピア的だが、なんとも言えない不気味さが漂うスペイン語圏の町。 少しずつ町に溶け込みながら少年の母と、この町の物足りなさを求めていく主人公。 三部作なようで果たしてどこにたどりつくんだろうか。

Posted byブクログ

2022/07/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

評価の難しい小説である. 主人公(ダビード)は,どうやらイエス・キリストらしい. かなり手のかかる面倒臭い子供なのだが,もう1人の主人公のシモン(どうやらヨゼフらしい)は根気よく彼に対応する. 当初はダビードの振る舞いにかなりイライラさせられるのだが,徐々に「いや,彼の方が正しいのかも」と思わせるようになってくる. 全体は短いエピソードの積み重ねで,聖書的でもあり,物語はこの2人とイネス(=マリア)の3名の逃避行に,ヒッチハイカーのフアン(=ヨハネ)が加わるところで,唐突に終わる. 内容を忘れないうちに,続編の「イエスの学校時代」を読まねば・・・・

Posted byブクログ

2021/12/02

タイトルから想像出来るように、登場人物達が、新訳聖書を意識しているように思う。 幼い子を取り巻く大人たち、それぞれが個性的だ。幼子の姿は、とてもリアリティがあり楽しい。 続編も、ぜひ読みたい。

Posted byブクログ

2020/09/16

訳者曰く、ディストピア小説。それは、この街がというよりも「家族」がだろうか。 街は確かに生気はない。けれど、「煉獄」と評される場所から逃げてきた人々の街であることを考えると、相手を思いやり、あるべきルールに従い生きることは理想かもしれないと思う。福祉も充実しているし、学ぶことも...

訳者曰く、ディストピア小説。それは、この街がというよりも「家族」がだろうか。 街は確かに生気はない。けれど、「煉獄」と評される場所から逃げてきた人々の街であることを考えると、相手を思いやり、あるべきルールに従い生きることは理想かもしれないと思う。福祉も充実しているし、学ぶことも自由。 だけど、何かが足りない。 その足りないものを、漠然と追い求めるシモンは、枠の外で自由に踊っているように見えるものに惹かれるのか、、、 3人は曖昧で、言葉にも態度にも一貫性はなくて、ずるずると狭間の道に自分たちからはまり込んで行くように見えた。自由を求めて世界が狭まっていくような。 まだ続きがあるようなので、感想はその都度変わるそうな、そんな本。

Posted byブクログ

2020/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ノビージャ…不気味な街。かなりあからさまに寓話。鴻巣女史は解説でディストピア呼ばわりしている。このうすらぼんやりした平穏が戴けない…と思うのは、平和日本生まれの特権に過ぎなくて、むしろ南ア生まれの作者ならではの「憧憬」を感じ取るべきなのか? 「みんな最初は移民」な世界と架空の国…という設定は、一歩間違うとSFに傾きそうだが、あるある感たっぷりの雑な移民手続きとか公用語が(英語とかロシア語とかじゃなくて)スペイン語とかで、ギリギリ地に足着いてる感じ。 私が続編も一緒に借りてきたから思うだけかもしれないが、このラスト、どうしたって「続く」でしょう!

Posted byブクログ

2019/03/05

ツタヤ代官山でのトークショー&サイン会と同時購入 本書自体はちょっとロードムービー風な面もあり、面白いのだが最後が ちょっと唐突。 でも鴻巣さんの解説を読んで理解

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2019/06/05

レビューはこちらに書きました。 https://www.yoiyoru.org/entry/2018/07/17/000000

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2018/05/21

『「この国に来てなにがいちばん驚いたかわかるか?」だんだん無遠慮な口調になっている。このへんで止めるのが賢明なのに、止まらない。「まるで生気がないことだ。会う人会う人、みんな実にきちんとしていて親切で、善意にあふれている』 クッツェーを読むのは三冊目だが、読むたびに似たような感...

『「この国に来てなにがいちばん驚いたかわかるか?」だんだん無遠慮な口調になっている。このへんで止めるのが賢明なのに、止まらない。「まるで生気がないことだ。会う人会う人、みんな実にきちんとしていて親切で、善意にあふれている』 クッツェーを読むのは三冊目だが、読むたびに似たような感情に縛られるように思う。それを極端に単純化して言うなら、人間に対する嫌悪感ということになる。つまりは、この作家の観察力が優れていて、尚かつ目を背けたくなるようなことまでオブラート包むことなく言葉にしているということなのだろうけれど。人間の嫌らしさを、もっとどろどろとしたものとして描く作家もいるけれど、そういう作品からは感じない底意地の悪さ、醜悪さが全ての登場人物から陽炎のように立ち昇っているのを感じてしまう。 『とはいえ、善意の中身はいまだに漠然としているんだ。はたして善意だけで人間は満足できるんだろうか?人間の本質には、もっと形あるものを求める性があるんじゃないか?」エレナはそろりそろりと手を引き抜く。「あなたは善意以上のものを求めているのかもしれませんが、それは善意よりよいものでしょうか?』 この小説が一神教の世界を寓話的に著しているのだという読み方を、辛うじて最後まで保ちながら読み終えた。しかしその擬えに作家が何を託そうとしているのかは怖いくらいに理解不能だ。題名が指し示すモチーフをそのまま読む程ナイーヴではないが、作家が宗教全般に不信感を抱いているのか、あるいは新たなメシア像を描き出そうとしているのか、はたまたこの宗教的な枠組みの中でキリスト教的価値観を持った人々向けにレトリックなゲームを仕掛けているだけなのか、そういう意図が見えて来ない。 あるいはそういう全ての疑問に対する答えなど最初から用意されておらず、問い掛けのみが作家の意図なのか。このムカムカとした感情のはけ口も、活字を通して作家に向けられるべきものではなく、より本質的な問題の原因へと向かうべきなのか。いずれにしてもクッツェーを読むたび釈然としない思いが残る。

Posted byブクログ