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国家を考えてみよう の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2023/10/22
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※このレビューにはネタバレを含みます

憲法は歴史的には君主を制約するものであったが、国民主権となり権利を投票を通じて行使するとき選挙民は賢明な上に憲法精神遵守せねばならないと指摘。後半に、「首長と議会との対立」で「民意=投票行動は辞職して再選を目指す首長に傾きがち」とは橋下大阪知事→市長と府議会→市議会との対立を念頭に置いているのか(2016年刊)。「(不安定な民意の)選挙(あるいは議会を通じて間接選挙にて)で選ばれただけで(国の性質を規定する)憲法を変えていいだろうか?」すなわち代表者≡元首でいいだろうか「指導者とは社会主義用語で党の最高」 第1章「国家を考えない」では、はじめに「『大政奉還』と『王政復古』はイコールではない」と歴史的経緯が語られ‥福沢諭吉の危惧に至る。自然的な「国」はnationであり、「国民」「民族」の意味を持つ歴史的存在であるところが、意志的形成物であるstateと違うと(俺の理解したところでは)。人工国家USAは州=stateの集合体であるから民主、共和両党に代表は存在しないし大統領選はそれぞれの州で選挙人を選出する‥。民主主義とは手続きであり、権力を行使するのはもちろん個々人ではなく組織上の命令者。 「権力が言語表記を改変するのは払拭したい過去があるときに決まっているby佐藤優」指摘され、はじめて知ったが『国』という漢字は邦字で昭和23年教育漢字として作られたものであり、本来は『國』である。「画数が少ない方が書きやすい」という口実で「戈=ほこ」が入っているゆえ軍備を連想させる『クニガマエ=口+或』を嫌い、君主制を連想させる口のなかに王とかく戦前からあった略字は避けたのであろう。とすると『日本国憲法』というタイトルさえ公布時のものではない。『日本國憲法』と書いて改正を論議すべきではないか?

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2022/08/09

国家についてここまで考えたことはなかった。 世界的に見ても日本はかなり特殊な国なのだと再確認させられた。天皇の名の下になんでもできた憲法。それを悪用した当時の軍事政権。そして第二次世界大戦でアメリカにボコボコにされて制定された日本国憲法。この日本国憲法において日本の国民国家が華開...

国家についてここまで考えたことはなかった。 世界的に見ても日本はかなり特殊な国なのだと再確認させられた。天皇の名の下になんでもできた憲法。それを悪用した当時の軍事政権。そして第二次世界大戦でアメリカにボコボコにされて制定された日本国憲法。この日本国憲法において日本の国民国家が華開いた。民主主義に基づく国民国家は衆愚化しやすいし、国家主義になりやすいという脆弱性があるが、今の日本は前者に陥ってると個人的には思う。あまりにも政治に無関心な人が多いのは国というものがどういうものかわかっていないからなのかもしれない。日本においては特異な歴史の中で国民自身が国家とはなんなのかを考えづらかった部分はあり仕方ないのかもしれないが、この本を読んで勉強していただきたいと思う。

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2022/02/02

国家の意味、仕組み、成り立ち、種類について勉強になった。恥ずかしいけどちゃんと考えたことがなかった。 くだけた書き方や分かりやすい例によって理解しやすかった。 本当にちゃんと大切なことを考えていきたい。

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2021/07/28

まさに、「怒涛」「圧巻」という言葉こそがふさわしい展開。 この著では、国家について考える際につきまとう面倒さについて考えられている。図書館に行くと、国家論は政治学ではなくて、哲学のコーナーに置かれている。これは、私たちが知っている国家とは違う、当時の国家を対象としているためで、...

まさに、「怒涛」「圧巻」という言葉こそがふさわしい展開。 この著では、国家について考える際につきまとう面倒さについて考えられている。図書館に行くと、国家論は政治学ではなくて、哲学のコーナーに置かれている。これは、私たちが知っている国家とは違う、当時の国家を対象としているためで、国家とは歴史的にいくつかの相を呈しているのである。それを橋本は、「くに」という漢字の成り立ちから、中国・日本での変遷を追いかけるという形で示している。 また、ヨーロッパでも「state」「nation」の2つの層があることを指摘している。前者は「領土」を中心として、後者は「国民」を中心とした表現のされ方であって、歴史的には「nation」が新しいものとしている。さらに、「国民(国家)」の歴史が浅いこともあって、かつての「領土」であった時代の痕跡がしばしば現れると指摘する。 続けて、「国民の国家」の下であっても、「代表者」ではなく「指導者」が現れることがある、国家主義とは国家についての「不安」から生まれるといった、「いま」に対するアンチテーゼをたっぷりと含んでいる。「選びたい人がいない」に対して、「選びたいような人が生まれてくる世の中にする」「することがなくて暇だったら」そう考えることをおすすめするとしている点はお見事でした。Kindleで読了。

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2020/05/05

国家と国民について、分かりやすく解説している好著だ.第4章で、国家主義の本質を述べているが、憲法と密接に関連する由.現政権は憲法の重要さを理解しておらず、一般の法律のようなものだと誤解している.国民をないがしろにしているようで、十分に注目しておく必要があることを痛感している.最後...

国家と国民について、分かりやすく解説している好著だ.第4章で、国家主義の本質を述べているが、憲法と密接に関連する由.現政権は憲法の重要さを理解しておらず、一般の法律のようなものだと誤解している.国民をないがしろにしているようで、十分に注目しておく必要があることを痛感している.最後に出てきた文言は良い.曰く 「国家は我々国民のものである」-- このことをはっきりさせるために、私はこの本を書きました.「バカでも国民か」なんて言われないように、考えるべきことは考えて、自分が立っているその足許だけは明確にさせましょう.

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2019/07/07

これは『平成の学問のスゝメ』ですな。政治の事はよくわかんない、と言って勉強もしないでバカのままでいると、変な人に騙されていつの間にかナチスのようなことになってしまうよ、という啓蒙書。若い人にはぜひ読んで欲しいね。 こういうことは義務教育でちゃんと教えて欲しかったな。断片的な知識だ...

これは『平成の学問のスゝメ』ですな。政治の事はよくわかんない、と言って勉強もしないでバカのままでいると、変な人に騙されていつの間にかナチスのようなことになってしまうよ、という啓蒙書。若い人にはぜひ読んで欲しいね。 こういうことは義務教育でちゃんと教えて欲しかったな。断片的な知識だけ詰め込まれても、こういう形で整理統合してくれないと何のためにその知識が必要なのか理解できない。わざと理解できないようにしているのかも知れないけれど。

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2019/02/23

明治憲法への回帰を夢見るジジイに、この一節を贈りたい。 >ファンタジーではないので、「この耀かしい鎧を着れば、たちどころに荒廃した国家は甦って、栄光の姿を現す」ということはないのです。 自分たちが国に身を捧げるのは勝手だけど、若い世代を御伽話の世界に引っ張り込むのはやめなさい...

明治憲法への回帰を夢見るジジイに、この一節を贈りたい。 >ファンタジーではないので、「この耀かしい鎧を着れば、たちどころに荒廃した国家は甦って、栄光の姿を現す」ということはないのです。 自分たちが国に身を捧げるのは勝手だけど、若い世代を御伽話の世界に引っ張り込むのはやめなさい。 これ以上、日本がおかしくならないためにはどうしたらいいのか、よーく考えよう。

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2019/02/13

橋本治氏が亡くなられたので、密かに追悼の意味を込めて、出来るだけ時間を見つけて氏の作品を読んでみようと考えている。 新書でこの限られたスペースのなかで深みのある、歴史の視点をもらった。 そして何よりずっと思っていた『もう、このシステムでは社会はまわらない。そろそろ民主主義に変わ...

橋本治氏が亡くなられたので、密かに追悼の意味を込めて、出来るだけ時間を見つけて氏の作品を読んでみようと考えている。 新書でこの限られたスペースのなかで深みのある、歴史の視点をもらった。 そして何よりずっと思っていた『もう、このシステムでは社会はまわらない。そろそろ民主主義に変わる新しい政治システムが必要なのでは』『民主主義というシステムを再興するには人類がもう一度、奈落の底に落ちるところから始めなければならないのか』への答えがあったこと。 もちろん、これは氏の意見にとどまるものたのだが、 私にとっては「たしかに」と思えたことだった。 〜〜 民主主義の弱点とは民主主義が「民主主義というものがよくわからない人達」に対して、強制的で罰則付きであるような「民主主義教育」をしないということにあります。 〜〜 という文章のあとにわかりやすい言葉で、共産主義では思想教育を徹底するのに、何故民主主義ではそういった教育をしないのかや、 “共産主義は民主主義国家を発展さ”せようとした先のものである。といったことなど 橋本氏の解釈は歴史や政治を捉える枠組みを大きく揺るがしてくれた。 薄いけど読み応えあります。

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2018/05/19

知的6 かかった時間65分 国家について考える新書。ちくまプリマーは大好きだ。 さて、本書は国家の2つの定義や成立までの歴史、その浅さなんかを述べたのち、最後の部分でナショナリズムについて語る。曰く、国家の危機に国家主義が台頭して独裁的な体制が望まれ、生まれやすくなる、と。 ...

知的6 かかった時間65分 国家について考える新書。ちくまプリマーは大好きだ。 さて、本書は国家の2つの定義や成立までの歴史、その浅さなんかを述べたのち、最後の部分でナショナリズムについて語る。曰く、国家の危機に国家主義が台頭して独裁的な体制が望まれ、生まれやすくなる、と。 また、憲法がほんらい君主や政治的代表者の独裁を防ぐものであるとし、憲法改正の危険についても述べている。もちろん、ちくまプリマーなので、むしろ国民国家の人間として、一人ひとりが考えて政治に参加する重要性を強調する形で、だけど。 正直、前半はどちらかといえば大人には冗長だったが、後半の「アツさ」のようなものは、たしかによかった。 憲法改正なぁー。。。

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2016/09/25

あまり新書を読まないバカな私 バカな国民でバカな民主主義を信じてる私 若い人に向けて書かれた本だけれど もう一度国家について考えるのは老人にも必要だろう 我が国、心配だもんね 向かう方向違ってるよ 歴史、漢字、なるほどなあ 作者68年の駒場祭のポスター書いた人だったんだね...

あまり新書を読まないバカな私 バカな国民でバカな民主主義を信じてる私 若い人に向けて書かれた本だけれど もう一度国家について考えるのは老人にも必要だろう 我が国、心配だもんね 向かう方向違ってるよ 歴史、漢字、なるほどなあ 作者68年の駒場祭のポスター書いた人だったんだね 「とめてくれるなおっかさん……」 ≪ 流されず 自分で決めよう 明確に ≫

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