漂流の島 の商品レビュー
伊豆諸島と小笠原諸島の間にある、無人島の鳥島。そこには江戸時代から漂流者がながれついて、ある者は命を落とし、ある者は本州に無事に生還できたりしたという。 そんな島も事実もまったく知らず、タイトルとあらすじから興味を涌いて読んでみた。 著者は探検家であり、ロビンソン・クルーソーが流...
伊豆諸島と小笠原諸島の間にある、無人島の鳥島。そこには江戸時代から漂流者がながれついて、ある者は命を落とし、ある者は本州に無事に生還できたりしたという。 そんな島も事実もまったく知らず、タイトルとあらすじから興味を涌いて読んでみた。 著者は探検家であり、ロビンソン・クルーソーが流れ着いた場所を探り当てたそうだが、そこはあまりピンとこなかった。 また「探検」の要素があるものと思い、角幡 唯介の『空白の五マイル』のようなものを期待したら、全く違う作風であった。 結局鳥島には一週間弱、しかも探検ではなくお手伝い(アホウドリ調査や火山活動調査)での同行であり、なんとも煮え切らない。まあこれについては作者の残念感は人一倍だろう。
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吉村昭の「漂流」が滅法面白かったので,そこに描かれた漂着民痕跡を辿ろうとする本書には大いに期待したのだが,結論が出ずにガッカリ.
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鳥島(青ヶ島と父島の間にある)のお話です。 この島は、有名どころだとジョン万次郎が5ヶ月間、長い人だと19年3ヵ月という人もいたそうだ。 アホウドリを食べていたのだろうが、よく生きのびたものだ。 https://seisenudoku.seesaa.net/article/482...
鳥島(青ヶ島と父島の間にある)のお話です。 この島は、有名どころだとジョン万次郎が5ヶ月間、長い人だと19年3ヵ月という人もいたそうだ。 アホウドリを食べていたのだろうが、よく生きのびたものだ。 https://seisenudoku.seesaa.net/article/482281872.html
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椎名誠の『漂流者は何を食べていたか』で触れられていたので、手にとってみた。 日本において漂流者の記録が非常に多い島、鳥島。 井伏鱒二や織田作之助、吉村昭らの文学作品で、鳥島における様々な時代の漂流者の物語が描かれているが、しかし彼らの歴史や遺構はほとんど研究されていない。 鳥島は...
椎名誠の『漂流者は何を食べていたか』で触れられていたので、手にとってみた。 日本において漂流者の記録が非常に多い島、鳥島。 井伏鱒二や織田作之助、吉村昭らの文学作品で、鳥島における様々な時代の漂流者の物語が描かれているが、しかし彼らの歴史や遺構はほとんど研究されていない。 鳥島は現在、特別天然記念物アホウドリの保護のため、島全体が天然記念物に指定されており、発掘はおろか上陸さえもほぼ不可能となっているのだ。 著者は、時代を重ねて何度も漂流者たちが過ごしたこの島で、彼らが暮らした洞窟や、生活の痕跡を見つけたいという思いから、研究グループの補助要員というかたちで上陸に参加させてもらう。 実際この島は昔からアホウドリが多く生息していたようで、漂流者たちはアホウドリを食べていたという記録が多い。 1697年、日向国志布志(鹿児島)から漂着し、2ヶ月半で船を修理して生還した少左衛門ら5人。彼らはアホウドリの運ぶ(落とす)餌である魚を食べたという。 1720年から漂着し、1739年までの実に19年以上を生き抜いた甚八ら3人。 1785年から1797年の12年を、たった一人となる時期もありながら生き抜き、別の漂流者たちと合流して船を新たに建造し生還した長平。 1841年に漂流し、5ヶ月鳥島で過ごした後、さらにアメリカへ渡ることとなった万次郎。 1887年の鳥島にて見聞記を残し、開拓を行った玉置半右衛門。(開拓といいながら開拓民に支払いもなく、アホウドリの乱獲による荒稼ぎをしていた模様) 彼らは命からがら漂着し、あるいはたどり着いたものの帰るすべを失い、絶望した。しかし彼らは皆、そこで暮らした先人の痕跡や書付を見つけることになるのだ。かつて人が暮らした跡を見つけたときの感動はいかほどのものだっただろうか。 著者は上陸中、彼らが過ごしたかもしれない洞窟を発見する。しかし著者が再度この島に上陸することは不可能のようだ。この本は著者の無念で〆られている。この本がいわば漂流者たちの書付のように、誰かの希望となって思いを繋いでいくことはできるのだろうか。
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八丈島と小笠原の間の無人島の話。江戸時代の漂流民の記録を紐解きながら、自ら島へ行って再体験する構成が面白かった。島全体が天然記念物扱いでアホウドリ保護のため発掘調査ができないもどかしさ。無人島の発掘調査は将来的に領有権に影響するかもだから、それなりに重要な気はするんだが。我孫子の...
八丈島と小笠原の間の無人島の話。江戸時代の漂流民の記録を紐解きながら、自ら島へ行って再体験する構成が面白かった。島全体が天然記念物扱いでアホウドリ保護のため発掘調査ができないもどかしさ。無人島の発掘調査は将来的に領有権に影響するかもだから、それなりに重要な気はするんだが。我孫子の鳥の博物館を思い出す。
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漂流記は数多いが,探検家が自分で漂流者の痕跡を書くとこのようになるのか,と感じた.吉村昭などの小説家は漂流者の心情,内面を描くことにその美学があるが,探検家はそこを描ききれない,ということ.事実の積み重ねを最重要視するとこうした,記録としての作品になるのであろう.
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読了。 吉村昭の「漂流」が、あまりに良かったので、実際この島を見てみたいと思って調べてみると、現在でもちょっとやそっとじゃ辿り着ける場所じゃない、ということが分かった。 しかし、やはり同じ事を考えるトンパチな人はいるもので(笑)、物凄い手間と苦労を経て、鳥島に辿り着いた筆者の苦闘...
読了。 吉村昭の「漂流」が、あまりに良かったので、実際この島を見てみたいと思って調べてみると、現在でもちょっとやそっとじゃ辿り着ける場所じゃない、ということが分かった。 しかし、やはり同じ事を考えるトンパチな人はいるもので(笑)、物凄い手間と苦労を経て、鳥島に辿り着いた筆者の苦闘録。 ただ確かに、吉村昭の筆致と長平の物語には、ここまで魅せられてしまう何かがある。
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江戸時代の鳥島漂流民たちを追ったルポルタージュ。 著者は探検家で、以前ロビンソンクルーソーの島を探検した本を読んだことがある。今回は日本の漂流民がいたと言われる鳥島で彼等の生活の痕跡を探す。 鳥島は東京都の南方に位置する絶海の無人島であり、そこへ行くには手続きや交通手段等かなりハ...
江戸時代の鳥島漂流民たちを追ったルポルタージュ。 著者は探検家で、以前ロビンソンクルーソーの島を探検した本を読んだことがある。今回は日本の漂流民がいたと言われる鳥島で彼等の生活の痕跡を探す。 鳥島は東京都の南方に位置する絶海の無人島であり、そこへ行くには手続きや交通手段等かなりハードルが高い。レポートは鳥島に向かうまでの 困難から始まり、島の紹介、漂流民の痕跡探し、著者の推理など前回のルポ同様に面白く読めた。読後は多少モヤモヤした印象が残ったが、現代の探検というのは、昔とは違う困難さ(社会のルールなどの障害)があることがよく判った。 現代の探検は、テーマに深く興味があって、準備の煩雑さを厭わず、社会的な障害を乗り越えて実行できる高いモチベーションを失わないことが必須なのだろう。
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日本本土から500km。小笠原諸島との中間地点にある絶海の孤島「鳥島」。 潮流の関係か古くから漂流者が流れ着き、そのうちの何人かは本土への生還を果たしている。 ロビンソンクルーソーのモデルとなった人物が実際に暮らした場所を突き止めたことがある著者は鳥島に漂流者の痕跡を求めて取材を...
日本本土から500km。小笠原諸島との中間地点にある絶海の孤島「鳥島」。 潮流の関係か古くから漂流者が流れ着き、そのうちの何人かは本土への生還を果たしている。 ロビンソンクルーソーのモデルとなった人物が実際に暮らした場所を突き止めたことがある著者は鳥島に漂流者の痕跡を求めて取材を始める。 今、鳥島は島全体が天然記念物に指定されており、アホウドリの保護目的か火山の研究目的以外での上陸は認められていない。 そんな中で証言者と文献研究の末、漂流者が生活したと思われる場所を推定するノンフィクション
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