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ほろびぬ姫 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2022/08/26

あなたがいっぱい。死生観、恋愛、夫婦、親子、兄弟、食事、…盛り込み要素もいっぱい。わたしには少し重い読後感。

Posted byブクログ

2017/05/15

「あなたはあなたが連れてきた。嵐の日だった」。そんな一文ではじまります。この文中の「あなた」は「あなた」と思いきや、「あなた」と「あなた」は別のひと。主な登場人物は「あなた」と「あなた」と「私」の3人で、最初から最後まで「私」の一人称で語られるという、この発想の面白さ。 「私」...

「あなたはあなたが連れてきた。嵐の日だった」。そんな一文ではじまります。この文中の「あなた」は「あなた」と思いきや、「あなた」と「あなた」は別のひと。主な登場人物は「あなた」と「あなた」と「私」の3人で、最初から最後まで「私」の一人称で語られるという、この発想の面白さ。 「私」は高校生のときに事故で両親を亡くし、その葬儀の日に「あなた」と出会う。「あなた」は、途方に暮れる通りすがりの「私」を放っておけなかったのか、それとも恋に落ちたのか。高校を卒業後すぐに「私」は「あなた」と結婚。それから数年が経ち、「あなた」は突然自分の双子の弟を連れてくる。それが冒頭のもうひとりの「あなた」。夫である「あなた」は病に冒されている。死期を悟った「あなた」は、音信不通だった自分と瓜二つの弟を探し出し、自分の後釜としてに弟を「私」に当てがおうとしているらしい。世間知らずの「私」が幸せでいられるようにと。しかし、「あなた」と「あなた」は顔が同じでも、性格がまるでちがう。几帳面な「あなた」とガサツ極まりない「あなた」。 凄い話です。解説を除けば200頁に満たない厚さなので、すぐに読めるかと思ったら、「あなた」がどちらの「あなた」なのかにまず頭をめぐらさなければならないから、想定以上に時間がかかる。 「私」は「あなた」しか愛せないと「あなた」は思い込んでいる。顔さえ同じであれば「私」は「あなた」を愛せるにちがいない。「私」の幸せを思ってこそのこととはいえ、なんと傲慢なのか。「あなた」が疎ましくて仕方ない「私」が最後に至る先は。好きな話ではないけれど、心を捉えて離しません。

Posted byブクログ

2016/09/28

結末が気になって仕方ないのに、読み進めたくないような、不安をかき立てられる、そんな雰囲気。 夫に対する親愛の「あなた」と、その一卵性双生児の弟に対する、全くの他人として呼びかけに思われる「あなた」。 一瞬、叙述的なトリックを仕掛けられるのかとの疑惑も、丁寧な描写はむしろ逆で、こん...

結末が気になって仕方ないのに、読み進めたくないような、不安をかき立てられる、そんな雰囲気。 夫に対する親愛の「あなた」と、その一卵性双生児の弟に対する、全くの他人として呼びかけに思われる「あなた」。 一瞬、叙述的なトリックを仕掛けられるのかとの疑惑も、丁寧な描写はむしろ逆で、こんなにも「あなた」が区別されるかと思うほど。 結末は人によってかなり印象が変わると思うけど、自分的には「みさきの魅力はなんなのか?」という疑問だ。「あなた」たちを動かす原動力は何であるのか? 始終不安をかき立てられる文面を追い、いたる結末がややもすると不満だ。

Posted byブクログ

2016/08/05

夫に頼り切って生きてきたみさきは、ある頃から夫の変化に気付き浮気を疑うが、真相はもっと残酷だった。 みさきのために、夫が長らく音信不通だった双子の弟を探し出し連れて来たことで、事態は混乱していく。 死に直面した本人と周囲の人々と、それぞれの心境とその変化のさまがリアルだ。 ただ、...

夫に頼り切って生きてきたみさきは、ある頃から夫の変化に気付き浮気を疑うが、真相はもっと残酷だった。 みさきのために、夫が長らく音信不通だった双子の弟を探し出し連れて来たことで、事態は混乱していく。 死に直面した本人と周囲の人々と、それぞれの心境とその変化のさまがリアルだ。 ただ、解説にあるように、ラストの解説がいく通りもあるように感じて難しい。 みさきの愛は最後はどこにあったのか。

Posted byブクログ