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本当の夜をさがして の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2023/11/08

星空を見に行きたくなった!!! 光害という言葉は知っていたけど、改めて考えるとすごく怖いことだし身近な環境問題なんだなということを改めて突きつけられる。ボートルスケールや、国際ダークスカイ協会(今はダークスカイに変わったらしい)など、色々と知ってよかったなと思う単語がたくさん。 ...

星空を見に行きたくなった!!! 光害という言葉は知っていたけど、改めて考えるとすごく怖いことだし身近な環境問題なんだなということを改めて突きつけられる。ボートルスケールや、国際ダークスカイ協会(今はダークスカイに変わったらしい)など、色々と知ってよかったなと思う単語がたくさん。 とりあえず家から一番近い星空保護区へ旅行する計画を立て始めた。 一生に一度でいいから天の川を見てみたい。

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2021/12/31

この本を読んでまず思ったことは「そういえば天の川って見たことないかもしれない」である。実際には子どものころ見てるかもしれないが、覚えてはいない。記憶にあるなかで僕が見た夜空でいちばんキレイだったのは2011年3月11日に見上げた夜空だった。実はこの夜空こそが平常で、ふだんの夜空が...

この本を読んでまず思ったことは「そういえば天の川って見たことないかもしれない」である。実際には子どものころ見てるかもしれないが、覚えてはいない。記憶にあるなかで僕が見た夜空でいちばんキレイだったのは2011年3月11日に見上げた夜空だった。実はこの夜空こそが平常で、ふだんの夜空がイレギュラーなんだと、そう考える気づきを与えてくれる本。

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2016/10/18

書名と装丁の写真に惹かれて手に取る。 第一章は、強烈な光の世界、闇を打ち消すラスベガスの光景から始まる。 ガス灯が発明され、そしてエジソンが電球を発明してから、強烈な勢いで駆逐されてきた夜の風景。 それは、ラスベガス ルクソールホテルのようにそれに向かって発射される光のためばか...

書名と装丁の写真に惹かれて手に取る。 第一章は、強烈な光の世界、闇を打ち消すラスベガスの光景から始まる。 ガス灯が発明され、そしてエジソンが電球を発明してから、強烈な勢いで駆逐されてきた夜の風景。 それは、ラスベガス ルクソールホテルのようにそれに向かって発射される光のためばかりではない。 防犯のためという理由で灯される、街路灯。 一家団欒の象徴である明るい居間から街に漏れ出す灯り。 コンビニやガソリンスタンドに客を呼び寄せる、強烈な灯り。 それらの明かりが束になって、夜を打ち消しているという指摘。 そして、筆者は夜の闇と人間との関係について様々な点から考察する。 そして、現在でも残る(それは、地上では強烈に意識され、強力に維持されることによってのみ存在する。)夜の暗さと、その暗さを求めるムーブメントについての実例を紹介する。 長い人間の歴史の中、地上の時間の半分は闇だった。 おそらく、人間の身体も、半分が闇であり夜であることを前提に調整されている。 明るいばかりが進化じゃない。そんなことを考えてみたい一冊だった。

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2016/10/08

タイトル買いです。詩的で素晴らしいタイトル。 中身も、きっちり論理的に光害を訴える部分と詩的な描写が絶妙なバランス。

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2016/09/11

なんか変な本を読んでしまった。 著者は夜は暗いほうがいいと思っているらしい。それも確たる弊害があるからではなく、なんか趣味的、哲学的に暗いほうがよいと考えているらしい。 星が見えないとか、夜は寝たほうが健康によいとか、エネルギーの無駄使いとか、夜の町を明るくしても犯罪は減らないと...

なんか変な本を読んでしまった。 著者は夜は暗いほうがいいと思っているらしい。それも確たる弊害があるからではなく、なんか趣味的、哲学的に暗いほうがよいと考えているらしい。 星が見えないとか、夜は寝たほうが健康によいとか、エネルギーの無駄使いとか、夜の町を明るくしても犯罪は減らないとかいくつか根拠を上げているが(最後の一つは逆の調査結果を見たことがあるのでぼくは懐疑的だが)、暗いほうがよい、というぼんやりとした結論を補足するために好都合な証左を適当に探しだした印象だ。こういうネタでけっこう厚い本を一冊書いてしまうというのはある意味すごいと思うけれど。 個人的にはネオンサインよりは星空を見たい口だから、夜が暗くなるのは歓迎なのだが、この本をみんなに読ませてだから暗くしようよ、と勧める気にはならないな。

Posted byブクログ

2016/07/21

目を見開いても何も見えない漆黒の闇。 あるいは吸い込まれるような満天の星空。 最後にそうしたものを体験したのはいつだろう、と、本書を読み終えてふと考えている。 本書は、ここ数十年でどれほど多くの地域の夜が照らされるようになったか、街がどれほど明るくなったか、そして、その結果、我...

目を見開いても何も見えない漆黒の闇。 あるいは吸い込まれるような満天の星空。 最後にそうしたものを体験したのはいつだろう、と、本書を読み終えてふと考えている。 本書は、ここ数十年でどれほど多くの地域の夜が照らされるようになったか、街がどれほど明るくなったか、そして、その結果、我々が失ったものは何かを考える、旅と思索の記録である。 ラスベガスの不夜城、ロンドンやパリのガス灯時代、ニューメキシコの遺跡、暗い夜空が保持されているイギリスのサーク島、アメリカの国立公園の1つであるデスバレー。 著者は、さまざまな場所を訪れ、夜空を守る取り組みを進める人々と話し、思索を重ねていく。 1950年に比べ、地球上には、光に覆われる地域が劇的に増えている。人工衛星から観察した経時的写真を並べると、光が氾濫していくさまが見て取れる。それは都市部に留まらず、地方へと広がっており、先進国では、夜、星を見ようと思っても、かなり人里離れたところを目指さなくては満足に観察することもできない。それは天文ファンや天文学者だけの問題ではない。星空を見たことがない子供達が増えており、童謡「きらきら星」にも実感を持てない子もいる。 夜が明るくなるのと時を同じくして、夜型勤務の仕事も増えている。こうした仕事は、精神的にも肉体的にも、身体に変調をもたらしがちであることが示されてきている。人がすんなりと眠りにつくには、適度な暗さが必要だ。長時間、人工的な光にさらされると、体内時計が狂い、自然な眠りが訪れにくくなる。覚醒と睡眠の切り替えもうまくいかなくなる。そこに端を発し、さまざまな不調を訴える人が増えている。 また、夜の過剰な光が、生きものの行動を乱すことも知られる。鳥やコウモリは、強すぎる光に引き寄せられ、周囲をぐるぐる飛翔し、疲れ果て、時には壁や窓に衝突して死亡する。ウミガメの赤ちゃんは孵化後、海の方向を見失い、逆に街を目指して命を落とす。生きものは、強烈な光により、方向を見極める能力を乱されてしまうのだ。 明るすぎる夜に警鐘を鳴らす人々は、夜にそぐわない、まぶしすぎる光を「光害」と呼ぶ。 夜を明るく照らすのは、防犯上の意味があると主張する人々がいる。しかしながら、夜の明るさと防犯効果には明確な相関関係は示されていない。むしろ、照明が犯罪者の手助けをする例もある。照明の下では、被害者からも周囲が見えるが、同様に、犯罪者からもよく見える。往々にして、無防備な被害者よりも、狙いを定める犯罪者の方に利があることになる。 おそらくは防犯上、有効なのは、明るいから大丈夫と安心することなく、周囲に気を配り、気を抜かないことだ。場合によっては、暗闇の方がそうした注意力を喚起することもある。 過剰な照明は、必要な箇所を照らすだけでなく、周囲に漏れあふれ、空全体を明るくしてしまう。 北極圏に住むイヌイットの人々は何年も前から、夜が暗さを失ってきたと主張してきたのだという。彼らの言葉が正しいとわかってきたのは最近のことだ。 今や、空全体が、世界中が、うすらぼんやりと明るくなりつつあるのだ。 著者は、「闇」を失うことについて、哲学的な考察も加えている。 光あるところに闇あり、という。 光と闇は対比させられるけれども、必ずしも対立するものではない。 闇を排除する姿勢は、ともすれば、光=善、闇=悪の単純な図式を生む。しかし、もちろん、闇は悪ではない。 闇は人を立ち止まらせ、自らの内面を見つめさせる力を持つ。 暗がりから見つめる星空は、宇宙の中の自分という、極めて頼りない存在へのまなざしも促す。 闇は、自分が知りえないもの、いまだ理解不能なもの、克服できないものの象徴でもある。 闇は怖い。怖いからこそ、人は自分の不完全さを振り返る。 光の中では見過ごしてしまうもの。 闇を失うことは、想像以上に大きな損失であるのかもしれない。

Posted byブクログ