太陽がいっぱい の商品レビュー
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昔映画の『リプリー』を観たことがあったけどほとんど記憶がなかったので新鮮な気持ちで読めた。 リプリーが二件の殺人を犯すまではとても面白く読めたけどそれ以降は少し冗長に感じたかな。 追い込まれるスリルはあったけど。 特にディッキーと仲良くなってから次第に憎悪に気持ちが流れていくあたりは圧巻だった。 リプリーはどうしようもなく身勝手で運が良いだけの犯罪者だとはおもうけど、ディッキーの同性愛嫌悪の態度も読んでいて気分が悪かった。 あんな態度をとられ続ければ辛くなって憎むのも当然だと思えた。 だからといって殺すなんてのはどう考えても許されないことだけど。 フレディが階段を引き返してくるときのハラハラ感もよかった。 最後は映画とはちがって逃げきるので、好き嫌いがわかれそうなところではあるけど、これはこれで物語としては好きだな。
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かつてはアラン・ドロン主演で映画になり大ヒットし、最近はマット・デイモンが主演してリメイク(題名は「リプリー」)された映画の原作。 アメリカ人の青年トム・リプリーは家柄も地位も定職も持たず、薄汚れた部屋で、その月の部屋代にも事欠く生活をしていたが、友人のディッキー・グリーンリーフ...
かつてはアラン・ドロン主演で映画になり大ヒットし、最近はマット・デイモンが主演してリメイク(題名は「リプリー」)された映画の原作。 アメリカ人の青年トム・リプリーは家柄も地位も定職も持たず、薄汚れた部屋で、その月の部屋代にも事欠く生活をしていたが、友人のディッキー・グリーンリーフを連れて戻るようディッキーの父親に頼まれてヨーロッパに渡る。 ディッキーの父親は造船会社を経営する資産家で、ディッキーはその御曹司。 自分の生い立ちに比べて恵まれすぎているディッキー。トムは父親から渡された報酬が目当てでいたが、ディッキーに対する嫉妬心からか、ディッキーを殺してしまう。 殺人の隠蔽のためにトムはディッキーになりすまして彼がまだ生きているように思わせて、警察の捜査を切り抜けようとするが、、、 主人公が経済的に恵まれているにも関わらず気ままに暮らす友人の境遇と、同性愛者としての嫉妬から殺人を犯すという当時としては異色の設定?ではないだろうか。 決してトムという主人公は同情を抱かせるような感じではないが、その真相がバレそうになるのを機転で切り抜けながらも、行き詰まってまた犯罪を繰り返すという進行には、バレるのか?切り抜けるのか?また犯罪を犯して深みに入っていくのか?とヒヤヒヤさせられる。 アラン・ドロン主演の映画の結末の方が大衆受けするのは頷けるが、この原作の結末も嫌いではない。
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ミステリー小説、という事前情報だけで読み進めた。 主人公リプリーはクズと評されることも多いけれど、誰もが持っている側面の一つを演じているに過ぎないように思う。 彼は偶然にも機会と、閃きがあった。 きっとそれだけなのだ。 そのように思う私もまた、クズの素質があるということなのだろう...
ミステリー小説、という事前情報だけで読み進めた。 主人公リプリーはクズと評されることも多いけれど、誰もが持っている側面の一つを演じているに過ぎないように思う。 彼は偶然にも機会と、閃きがあった。 きっとそれだけなのだ。 そのように思う私もまた、クズの素質があるということなのだろうか。 犯人視点の小説は久しぶりで、いつ捕まってしまうのか、いつ罪が露見するのか、最初から最後までドキドキが止まらなかった。
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ヘルニアの手術で整形外科入院していました。 暇でした・・・中古で拾って来たこの本を読みました。 読了してから同室のリーマンに差し上げました。
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ミステリ作家だと大好きなのはチャンドラーくらいしかいなかったんだけど、ハイスミスは『キャロル』に続き読了二作目の本作で完全に好きになってしまった。 主人公のリプリー、やってることも考えてることもは最低ゲス野郎のはずなのに心理描写の丁寧さとヨーロッパの様々な国の風景の美しさもあって...
ミステリ作家だと大好きなのはチャンドラーくらいしかいなかったんだけど、ハイスミスは『キャロル』に続き読了二作目の本作で完全に好きになってしまった。 主人公のリプリー、やってることも考えてることもは最低ゲス野郎のはずなのに心理描写の丁寧さとヨーロッパの様々な国の風景の美しさもあって(他にも理由はたくさんあるだろうが)なんでか読んでいて上品で質のいいツイード生地を眺めているような、落ち着いた気分になる不思議な作品だった。この、文章の端正さがハイスミスの魅力の一つなんだろうな。
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アラン・ドロンの映画で知って、ずっと気になっていた作品。 まず印象的だったのは、リプリーのゲイ的視点。 ライバル的女性への感情や人間の観察具合がとてもゲイゲイしい。 そしてこの作品の読みどころは、自分がだんだんリプリーなんじゃないかと感じるくらいの心理描写だろう。 昔のサスペンス...
アラン・ドロンの映画で知って、ずっと気になっていた作品。 まず印象的だったのは、リプリーのゲイ的視点。 ライバル的女性への感情や人間の観察具合がとてもゲイゲイしい。 そしてこの作品の読みどころは、自分がだんだんリプリーなんじゃないかと感じるくらいの心理描写だろう。 昔のサスペンスらしく、 たまたま運がよかっただけでは? と感じるところがいくつもありながら、どこか洗練された印象を受けるから許せてしまう。
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以前、アラン・ドロン主演の映画「太陽がいっぱい」を観て面白かったので、いつか原作を読んでみたいと思っていた。本屋で探しても見つからなく残念に思っていたら、最近新訳で再出版された。 有名なリプリーシリーズの一昨目である本作は、原題は「太陽がいっぱい」ではなく「The Talent...
以前、アラン・ドロン主演の映画「太陽がいっぱい」を観て面白かったので、いつか原作を読んでみたいと思っていた。本屋で探しても見つからなく残念に思っていたら、最近新訳で再出版された。 有名なリプリーシリーズの一昨目である本作は、原題は「太陽がいっぱい」ではなく「The Talented Mr.Ripley(才能あるリプリー)」。このタイトルのままだったら、きっとあの映画は日本ではそんなに流行らなかっただろう。 「太陽がいっぱい」、このタイトルは素敵だと思う。 リプリーが憧れたディッキーの暮らすイタリアの太陽の眩しさと、ディッキーそのものが眩しく見えたリプリーの思いとが重なっており、実に見事だと思う。 原作を読んで感じたことは、映画とはいくつか異なっているということ。 ひとつはラスト。 映画ではリプリーの破滅を仄めかして終わるところが、原作ではそうではない。そうしたことで原題との齟齬は無くなる。ただ、終わり方としては映画の方が正しいというか、やはり犯罪者に罰がないままはおかしいし、映像で観たときのドラマ性は高いと感じる。 もうひとつはリプリーのディッキーに対する気持ち。 映画では単に裕福なディッキーへの憧れという感じだったが、原作では経済的に恵まれた男への憧憬に留まらず、ディッキーに恋をしているように感じる。 金銭だけでなくディッキーに恋するがゆえにディッキー自体になりたいと思ったという方が、リプリーが行ったことへの整合性はあるかもしれない。 それにしても、殺人犯をシリーズの主役に据えるというのは、なかなか斬新だと思う。 リプリーシリーズ第二作目「贋作」が、どのようにはじまるのかが気になるので読んでみたい。
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パトリシア・ハイスミスの代表作。映画版はかのアラン・ドロンの出世作としても有名。 ストーリーとしてはサスペンスだが、人間関係の機微が丁寧に描かれていて、それがサスペンス感を盛り上げていた。 映画版は破滅を暗喩しているが、原作では、リプリーは完全犯罪に成功し、逃げおおせるというラストも当時としてはけっこう斬新だったのでは?
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