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コミュニケーションへの言語的接近 の商品レビュー

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2022/03/03

 「コミュニケーション」とは一体なんでしょうか。私たちはいつコミュニケーションをしていて、いつコミュニケーションしていないのでしょうか。本書は、話しことばを対象とした言語研究が広がるなかで、「コミュニケーション」という語の学術的定義が十分になされていないという問題意識を起点として...

 「コミュニケーション」とは一体なんでしょうか。私たちはいつコミュニケーションをしていて、いつコミュニケーションしていないのでしょうか。本書は、話しことばを対象とした言語研究が広がるなかで、「コミュニケーション」という語の学術的定義が十分になされていないという問題意識を起点として書かれています。  たとえば、ことばが交わされていない状態でもコミュニケーションが生じる場合もあれば、ことばが発せられていてもコミュニケーションが生じていない場合もあります。本書では形式として表れる「ことば」を主な証拠に、様々な事例に対し綿密で丁寧な分析がなされています。個々の分析では私たちが日常的に遭遇する気まずさや面白さが感じられる場面、言語使用(「長い廊下における挨拶問題」、キャラ助詞など)を取り上げることによって、そうした気持ちの理由を解き明かしている点にも魅力があります。  また研究内容もさることながら、先行研究や事象だけでなく自分が使う「コミュニケーション」という用語も批判的に内省し、検討を通して定義された語によって現象を捉えようとする態度は、分野を問わず学ぶところがあるように感じられます。研究をこれから始める方、研究真っ最中の方、研究には関わっていないけれど身の回りのコミュニケーションについて興味がある方、多くの方におすすめできる一冊です。 (ラーニング・アドバイザー/文芸・言語 SAKAI) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/3304635

Posted byブクログ