1,800円以上の注文で送料無料

向田理髪店 の商品レビュー

3.7

165件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

    71

  3. 3つ

    52

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/01/16

おもしろい! 北海道の夕張市とおぼしき苫沢町にある向田理髪店を舞台にした苫沢町の物語。連作短編6つ。主人公の向田康彦は53歳で、昭和25年から続く理髪店を28才の時に父から継いで25年。最初の短編は小説宝石2013年4月掲載。設定が同時代とすれば康彦は1960年生まれ。となると床...

おもしろい! 北海道の夕張市とおぼしき苫沢町にある向田理髪店を舞台にした苫沢町の物語。連作短編6つ。主人公の向田康彦は53歳で、昭和25年から続く理髪店を28才の時に父から継いで25年。最初の短編は小説宝石2013年4月掲載。設定が同時代とすれば康彦は1960年生まれ。となると床屋を継いだのは1988年・昭和63年で主人公は奥田氏とほぼ同い年の設定か、などと想像する。 苫沢町は炭鉱で栄えたが、廃坑になり人口は減り、一時のハコモノ行政のおかげで図書館や遊園地が閑古鳥が鳴いている。町の助役は総務省から出向してきた若いキャリアで、しかし家族も一緒にきたから本気か、などと実際の現知事などを思い浮かべたりする。 町に残っているのは長男と訳ありUターン。康彦とて広告代理店で限界を知り親父が病で倒れたのをいい口実と戻ったのだ。幼馴染のガソリンスタンド経営の瀬川、電気工事店の谷口、この3人を主軸に、息子のUターン、町おこし、中国人の花嫁、映画のロケ地になった、自慢の息子が詐欺罪で逃亡? など小さな町に小さな事件がぽこぽこと起きる。そんな苫沢の人々を奥田氏は生き生きと動かす。 町おこし講演会でのやりとりがいい。カフェをやりたいFM局をやりたいという息子たちに、親たちは「おれたちはいろいろやったがだめだったんだ」というと子供たちは「おれたちはまだやってねえ。おれたちがやる権利までは奪うなよ、俺たちは苫沢が好きなんだ、おじさんたちには迷惑はかけないから好きにやらせてくれ」といい沈黙が訪れると、「いいぞ、年寄りに負けるな」とヤジが飛び、司会の助役も「ということでよろしいでしょうか」となり、会場に爆笑が・・  ドラマにしたらおもしろそう、と思ったら映画化されていた。 初出「小説宝石」 「向田理髪店」 2013.4月号 息子も理髪店を継ぐのに札幌から戻ってきて・・ 「祭りのあと」 2013.11月号 隣の馬場さんの爺さんが倒れた。が一人になった婆さんは隣町の病院に見舞いに行くついでに羽をのばして・・ 「中国からの花嫁」 2014.7月号 40歳の専業農家の野村が中国に行ってお嫁さんを連れて来たが・・ 「小さなスナック」 2015.2月号 42歳の早苗が戻ってきてスナックを開くと男たちは入りびたり・・ 「赤い雪」 2015.10月号 苫沢町が映画のロケ地に。しかも主演はアイドル。が出来上がった映画はR15指定。かまくら作りは小中学生も手伝ったのに・・ 「逃亡者」 2016.2月号 札幌の進学校から東京の有名私大に進んだ秀平が指名手配? 2016.4.20初版第1刷 図書館 映画「向田理髪店」2022.10.14劇場公開 向田康彦:高橋克実 瀬川:板尾創路 谷口:近藤芳正 舞台は九州にした? ロケ地は大牟田 https://www.yomiuri.co.jp/local/fukuoka/news/20211214-OYTNT50150/

Posted byブクログ

2022/11/15

奥田英朗さんの作品、特にこういう温かいものがすごく好き。前から気になっていたけど、映画化を知って読んでみた。すごく大きな波がある物語ではないのだけど、登場人物たちが平凡で等身大で、現実の家庭にもありそうな場面が多くてそれが良い。田舎の閉塞感もかなり描かれているのだけど、嫌な感じは...

奥田英朗さんの作品、特にこういう温かいものがすごく好き。前から気になっていたけど、映画化を知って読んでみた。すごく大きな波がある物語ではないのだけど、登場人物たちが平凡で等身大で、現実の家庭にもありそうな場面が多くてそれが良い。田舎の閉塞感もかなり描かれているのだけど、嫌な感じはそこまでしない。"中国からの花嫁"が特に好きでした。

Posted byブクログ

2022/11/08

過疎化が進む田舎町で、大事件が起こるわけでも、大恋愛があるわけでもない、普通のおじさんが主役のありふれた日常の話なんだけど、なぜかすごく面白かった。 奥田英朗さんの小説は作者と登場人物の間に適度な距離感があるところがすごくいい。登場人物を使って自分の主義主張をするようなところがな...

過疎化が進む田舎町で、大事件が起こるわけでも、大恋愛があるわけでもない、普通のおじさんが主役のありふれた日常の話なんだけど、なぜかすごく面白かった。 奥田英朗さんの小説は作者と登場人物の間に適度な距離感があるところがすごくいい。登場人物を使って自分の主義主張をするようなところがなくて説教くさくない。そのおかげで、登場人物が本当に自分の周りにいる人みたいに思えて感情移入がしやすいんだと思う。 ちょうど映画化されたばかりみたいだから見に行きたいと思った。

Posted byブクログ

2022/09/30

☆3.5かな_φ(・_・ 北海道の過疎の町 理髪店店主の康彦を主人公に町で起こる些細な出来事の物語です。 生活の全てが知られているような小さな町 息苦しさもあるけど助け合う優しさもある。 奥田作品、前作が超シリアスだったので 真逆のホッコリした作品でした(^ ^) もう少...

☆3.5かな_φ(・_・ 北海道の過疎の町 理髪店店主の康彦を主人公に町で起こる些細な出来事の物語です。 生活の全てが知られているような小さな町 息苦しさもあるけど助け合う優しさもある。 奥田作品、前作が超シリアスだったので 真逆のホッコリした作品でした(^ ^) もう少し奥田英朗を追ってみよう…

Posted byブクログ

2022/03/29

北海道の過疎の田舎の理容店店主を中心にした物語です。息子和昌が理容店を継ぐと言って会社を辞めて田舎に帰ってくるところから始まります。 未来のない田舎に帰ってきた息子を心配する父。 田舎をどうにか明るくしていこうとがんばる息子。様々な事件を通して田舎の仲間の結束が見えて心あたたまる...

北海道の過疎の田舎の理容店店主を中心にした物語です。息子和昌が理容店を継ぐと言って会社を辞めて田舎に帰ってくるところから始まります。 未来のない田舎に帰ってきた息子を心配する父。 田舎をどうにか明るくしていこうとがんばる息子。様々な事件を通して田舎の仲間の結束が見えて心あたたまる物語です。

Posted byブクログ

2021/11/25

奥田さんの本は、過疎だったり、忘れ去られた街だったり、そのなかで、ボソボソとしかし、確かな生活感を持ってしたたかに生きている。いいなぁ。

Posted byブクログ

2021/07/21

北海道の田舎の理髪店店主を中心とした物語 皆が助け合って生活して行く 若きも老いも、ただ過疎地には嫁が来ないからと言って娘を嫁に置くのは嫌と言う親心もわかるこう言った事に関しては田舎大変だと思う。二百万出して中国にツアーで行き嫁を探してくる状態始めは村の人と会うのが嫌な様子だ...

北海道の田舎の理髪店店主を中心とした物語 皆が助け合って生活して行く 若きも老いも、ただ過疎地には嫁が来ないからと言って娘を嫁に置くのは嫌と言う親心もわかるこう言った事に関しては田舎大変だと思う。二百万出して中国にツアーで行き嫁を探してくる状態始めは村の人と会うのが嫌な様子だったがそのうち慣れる。その反面助け合う気持ちはなかなか今の街では難し良い本であった。

Posted byブクログ

2021/01/27

50代の理髪店店主を中心に、過疎の町の良くも悪くも濃い人間関係にまつわる物語。 子育て、介護、よそ者、田舎出身で同世代の私は全てに共感でき、一気に読めた。

Posted byブクログ

2021/01/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

北海道の過疎の町で起こるハートフルな物語。50代の理髪店主がこれはこれはいい人。 冬は大変だけど理想郷ですね… 穿った見方をすれば、きれいごと過ぎる。 様々な事件もあるけど。実際の過疎の町は本当に何も無いのでは。

Posted byブクログ

2020/12/20

身につまされて、ちょっとほっとする。背景には深刻な過疎地の実情があるけど、若い人たちが頼もしく成長している姿に、ほのかな希望を感じさせてくれる。 いい物語だなぁ。

Posted byブクログ