フォグ・ハイダ の商品レビュー
ヴォイド・シェイパシリーズ第四弾。今作でもゼンは色々な事を考え手にし、そうして失ったものもあった。けれどそれこそ成長した証と言えるのではないだろうか。最初の「ヴォイド・シェイパ」の頃と比べると飛躍的に成長しているように思える。ゼンはどこへ行き着くのか、それは次作でわかるのかもしれ...
ヴォイド・シェイパシリーズ第四弾。今作でもゼンは色々な事を考え手にし、そうして失ったものもあった。けれどそれこそ成長した証と言えるのではないだろうか。最初の「ヴォイド・シェイパ」の頃と比べると飛躍的に成長しているように思える。ゼンはどこへ行き着くのか、それは次作でわかるのかもしれないしわからないかもしれないが、それでも彼のその先を見てみたいと思う。
Posted by
「侍の道理なんて、結局は、大勢で戦うための決まりだというわけですね。一対一の勝負になると、違ってくるように思います。自分がこうしようと決めていても、途中で違う筋を思いつく。相手の剣が少し違って見えてくることもあります。そんなときに、すぐにやり方を切り換えることが、とても大切なんで...
「侍の道理なんて、結局は、大勢で戦うための決まりだというわけですね。一対一の勝負になると、違ってくるように思います。自分がこうしようと決めていても、途中で違う筋を思いつく。相手の剣が少し違って見えてくることもあります。そんなときに、すぐにやり方を切り換えることが、とても大切なんです。それがなければ、自分への忠義のために命を落とすことになりかねません。潔くては、勝てないときがあると思います。」 「ただ、こんな話をしておいてなんですが、あまり思い詰めない方が良いこともあります。ほどほどにされるのがよろしい。お見受けしたところ、ゼン殿は、正直すぎる。素直すぎる。あまりにも、澄み渡りすぎている。それでは、世の中を生きにくい」 「正直すぎると、人に誤解をされるということは知っています」 「坊主の私が言うのも、だいぶ筋違いと思いますが、少しくらいの濁りは、あった方がよろしい。この世にあるものは、如何なるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでも、それを綺麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像します」 そもそも、いろんな人間がいることが不思議だ。 わからない。本当にわからないことが多い。 ただ、世の中には、それだけ沢山の人間がいるということだけは、わかってきた。 みんなが同じではない。それぞれが、自分の命を持っている。なにかを楽しみにして、生きているのだ。苦しみだけで生きている者は、たぶん少ないだろう。それでは生きていけないように思われるからだ。 たとえば、都を離れ、故郷へ帰ったり、山に籠ったりするのも、それは、都にはない暮らしを求めた結果だろう。そちらの方が、自分に良いと判断したのだと思う。キクラとフミがそうだったではないか。 自分も、都に失望して、また山に籠るのではないか、という予感がずっとある。それは、山を下りるときからあったものだ。ただ、カシュウの遺言と、知らないことを知りたいという気持ち、この二つが、今は山に帰る気持ちよりも大きいというだけだ。
Posted by
強さに焦がれ、剣の道の向こうに見えているものを追い求めてきたはずなのに、虚しさばかりが胸を打つ。 だけどまた守る為に斬らなければならない侍の宿命。 それは未来があるが故。 仕方なく奪うのと、奪ってもいいとの間にある隔たり。 ゼンのイノセントな目線を通して見るそれが何度も涙腺を刺激...
強さに焦がれ、剣の道の向こうに見えているものを追い求めてきたはずなのに、虚しさばかりが胸を打つ。 だけどまた守る為に斬らなければならない侍の宿命。 それは未来があるが故。 仕方なく奪うのと、奪ってもいいとの間にある隔たり。 ゼンのイノセントな目線を通して見るそれが何度も涙腺を刺激した。 これが正義だ、自分が正義だと開き直ることは簡単で、だけどそうすることで相手の事情が見えなくなるので気をつけたい。 人のことをもっとよく見ろと言うのは自分を肯定してほしいだけということもあるので気をつけたい。
Posted by
次の宿場町を目指すゼンは、峠の途中で盗賊に会う。恐ろしい程の腕前を持つキクラという名前の剣士と相対するも、敗北を悟るゼン。しかし、キクラは仲間を切られたにも関わらず、剣を鞘に納めた。
Posted by
剣豪シリーズ4作目 今回のテーマは出世か? というか、最後の方で坊さんと話してるのを読んで、どうもゼンさんは山に戻るんじゃないかと思えてきた 剣の腕を買われて出世するゼンさんの姿がどうしても想像できない 最初は山に戻って静かに暮らしたいとか思ってたのに、強くなるために人と手合わせ...
剣豪シリーズ4作目 今回のテーマは出世か? というか、最後の方で坊さんと話してるのを読んで、どうもゼンさんは山に戻るんじゃないかと思えてきた 剣の腕を買われて出世するゼンさんの姿がどうしても想像できない 最初は山に戻って静かに暮らしたいとか思ってたのに、強くなるために人と手合わせしたいと望むようになったけど 最終的には一人で自分と向き合って強くなる道を選ぶのではないかと推測 次巻で一区切りのようだし、どうなるのかね?
Posted by
ゼンが人間として目覚めだした第4巻。 感情が他人を認知し、揺り動かされる。成長が顕著な一冊。次巻は「いざ都へ」になるのか?楽しみです。
Posted by
「ヴォイド・シェイパ」シリーズ第4弾。 前作より意外な展開は少なかったが、より物語が深くなった印象。前は事件に巻き込まれて剣を振るっていたが、本作でのゼンは他人のため、自分の意志で戦いに入っていく。 刀を交えることでしか、得られないものがあると実感しつつ、相手の命を奪うことへ...
「ヴォイド・シェイパ」シリーズ第4弾。 前作より意外な展開は少なかったが、より物語が深くなった印象。前は事件に巻き込まれて剣を振るっていたが、本作でのゼンは他人のため、自分の意志で戦いに入っていく。 刀を交えることでしか、得られないものがあると実感しつつ、相手の命を奪うことへの疑問が更に大きくなっていく。それは山を下り、旅を続けることへの疑義となっていく。 「刹那」に得るものは、剣を通じるしかないのだろうか。 世間を知らず、純粋無垢なゼンも本作では、より人との繋がりが強くなっている。師カシュ―から愛されていたという想いは、相手を思い図ることを知った記憶となる。 そしてゼンの純粋さは時に呆られながら、悪人に生き方を変える転機を与え、陰惨な物語にホッと一息をつかせる。 大人数の敵との戦いは、小学生の時に読んだ吉川英治「宮本武蔵」の一条寺下り松の吉岡一門との死闘を思い出させた。武蔵ならこの後沢庵和尚に城の一室の閉じ込められて自省の時間を持つが、ゼンの持つ疑問は尽きない。やっぱり剣豪小説ではないんだろうな。 「ああ‥‥、侍ってのは、はぁ‥‥、しょうがないねぇ、本当に」というノギの科白が幕を引く。 最終巻は、一体どうなるんだろう。
Posted by
シリーズ、第四作。ゼンより強い侍現る。その名をキクラと云う。己より強い侍に対峙し、死を感じゼンはまた成長する——。次巻、完結巻だがゼンの成長物語がどう集結するのか全く分からん…。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【あらすじ】 山の中で盗賊に襲われたゼンは、用心棒らしき侍と剣を交える。強い。おそらく、勝てない―歴然たる力の差を感じながらも辛うじてその場を凌いだゼン。彼を戦慄させた凄腕の剣士には、やむにやまれぬ事情があった。「守るべきもの」は足枷か、それとも…。 【感想】
Posted by
子供の真っ直ぐさに近い感覚を持つゼン。考えすぎるきらいはあるが、見たもの、体験したものがどういうものかをじっくり考えて、これは自分にいるもの、いらないもの。そうやって成長しているようにも思える。「自分の命をいつも第一に考え、危険を避け、無理をするな。意地を張ったり、名誉のため、義...
子供の真っ直ぐさに近い感覚を持つゼン。考えすぎるきらいはあるが、見たもの、体験したものがどういうものかをじっくり考えて、これは自分にいるもの、いらないもの。そうやって成長しているようにも思える。「自分の命をいつも第一に考え、危険を避け、無理をするな。意地を張ったり、名誉のため、義理のためといった目先のものに惑わされるな」いい師匠を持ったとうらやましくさえある。芯がぶれないから、どんな人にあってもどんな体験をしようとも。ゼンはゼンでいられるのかと。
Posted by
- 1
- 2