オーブランの少女 の商品レビュー
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「未知のものを怖ろしく思うとき、それを映しているのは自分の眼だということを忘れてはならない」ーーというようなことを自分に言い聞かせていなければ、無邪気に陶酔するか、恐怖でこころを凍りつかせてしまうかのどちらかだったと思う。精緻に組まれた謎はそれだけうつくしい。この特徴は表題作「オーブランの少女」と最後を飾る「氷の皇国」にひときわ目立った。 作者・深緑野分はたしかに、ひとのこころに「鮮烈な色」を刻んでいく作家だと感じた。
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どのはなしの少女も、特別なものがあるわけではないのだけど、印象的。 「オーブランの少女」は、映画「エコール」ぽいなあと思ったら、やっぱり念頭にあったらしい。 「片想い」も、「倒立する塔の殺人」ぽい。 どちらも好みのモチーフ。対になる少女たちの関係性も好き。 あまりミステリとは思わずに読んだけれど、最後のはなしの謎解きはおもしろかった。 架空の国の設定もよかったし、作中で過去にあったこととして語られるのもいい。 初めて読んだ著者さんだったけど、他のものも読もうと思う。
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少女が主要キャラとして出てくる以外、時代も国も舞台の異なるミステリ短編集。 風景描写が素晴らしく美しい。 特に表題作のキングサリや、最終作のランプの階段なんかは夢のよう。 なのに、起こる事件はえげつなく、その落差がまた面白い。
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オーブランの少女 1番面白くて印象に残ってる作品。今作のインパクトが強すぎて、他の作品が薄れるくらい強烈。 隔離された施設と少女、優しい大人たち。約ネバみたいな裏がありそうな雰囲気が好き。美しいヴィオレット先生が悪鬼に成り果てる様が怖かった。自我を失っても管理人の姉に復讐する執念が凄まじい。手記編のどこまでが真実か、私はどこまで脚色したのか、想像力を掻き立てられる。 仮面 美人だったアミラが自分で顔を築いてつけた理由が気になる。同情しやすくするためか、それとも表情を読めなくするためか。いずれにせよ、ポーリーンの仮面なんかよりも、アミラの顔面の方がずっと仮面っぽい。 大雨とトマト 2階の妻、1階には美人な娘と謎めいた常連の男。上下で翻弄される主人の慌てっぷりが面白かった。かつての浮気相手っぽい人が客だったらそりゃ焦るわな。しかも、外は大雨で出れずに缶詰状態とか地獄すぎる。 娘が名刺を捨てたは何故だろう。もう産むのを諦めたのかな。泣いてたって事は主人の息子にヤリ逃げされたとか。息子が店に居たら真相明らかになったのになー。とんでもない修羅場になりそうだが...。 片想い エスという関係がピンと来なかった。親友でもなくレズでもない...うーん、分からん。 得をしてるのが環だけでズルい。友子と岩様はすれ違いの片想いで切ない。でも、友子への片想いを受け入れる岩様はカッコよかった。両想いよりも片想いの方が強い絆を生み出すのかもしれない。 氷の皇国 1番面白くなくて途中で読むのやめた。建物や人物の描写がクドイ。名前もカタカナばっかで頭に入ってこない。読んでて疲れたので断念。
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重厚なストーリーと、細部までこだわった緻密な描写で定評のある深緑野分さんのデビュー作品集。深緑さんというと長編のイメージがあるけれど、本書はタイトル作品をはじめとする5編の短編小説で構成される。共通項は「少女」である。 大人でもなく、子どもでもない、どこか不安定な存在である少女...
重厚なストーリーと、細部までこだわった緻密な描写で定評のある深緑野分さんのデビュー作品集。深緑さんというと長編のイメージがあるけれど、本書はタイトル作品をはじめとする5編の短編小説で構成される。共通項は「少女」である。 大人でもなく、子どもでもない、どこか不安定な存在である少女。そして、大人の狡知と、子どもの残酷さを兼ね備えた存在である少女。本書は、時代も国も、はたまた住む世界さえ違う少女たちを描き、そのどれも高い物語性を帯びている。さすが深緑さん、デビュー作からしてこれか! 深緑さんの作品は、不思議とどこか海外文学のような雰囲気が漂う。考証を重ねて構築された世界観がそう感じさせるのか、どこか突き放したような視点がそう感じさせるのか、最新作はこれまでとはまた違うテイストのようなので、読むのが今から楽しみで仕方がない。
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オーブランの少女(表題作)を含めた短編集です オーブランの少女は描写が美しくてそれでいて残酷で最後までストーリーに意外性があるのに全体として纏まっているというかなりハイレベルな作品でした これがデビュー作とは、、、才能があるのでしょうね。 とくに"オーブランの少女&q...
オーブランの少女(表題作)を含めた短編集です オーブランの少女は描写が美しくてそれでいて残酷で最後までストーリーに意外性があるのに全体として纏まっているというかなりハイレベルな作品でした これがデビュー作とは、、、才能があるのでしょうね。 とくに"オーブランの少女"と"氷の皇国"は美しい描写と残酷さ、起承転結の巧さが光っていました。
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日本人が日本語で書いているはずなのに、 ディケンズの翻訳ものを読んでいるような 「高貴な」感じが漂っている。 舞台設定も、どことも分からぬ異国 (後に判明しますが)だったり、 大正時代(?)の女学校の寄宿舎だったりと、 今となっては誰も「正解」を知らない世界で... 中々の「異...
日本人が日本語で書いているはずなのに、 ディケンズの翻訳ものを読んでいるような 「高貴な」感じが漂っている。 舞台設定も、どことも分からぬ異国 (後に判明しますが)だったり、 大正時代(?)の女学校の寄宿舎だったりと、 今となっては誰も「正解」を知らない世界で... 中々の「異世界」感(^ ^; でもその設定の中で、 揺れ動く登場人物の心象が丁寧に綴られており、 また日常の何気ない生活の一コマが ありありと眼に浮かぶリアリティがあって(^ ^ ものすごい「名作感」がにじみ出ている(^ ^; 創元推理文庫だし、一応はミステリに分類しましたが、 「謎解き成分」は主ではない感じ。 何と言うか、もっと「純文学感」が前面に出てる(^ ^; ...やたらと「感」が多いですが(^ ^; それほど、読んでて色々と感じるところがある、 と言うことで、一つ(^ ^;
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面白かった。 本当に今までどこに隠れていたの? といいたくもなる物語の名手だと思う。 これからの活躍に期待している作家さん。 どこか日本人ぽくなく、海外作家的な雰囲気がある。
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少女にまつわる5つの短編ミステリー。 それぞれ全く異なった時代や国を背景にし、その描かれる世界観が魅力的。ミステリーだけれどファンタジーを読んでいる気分になる。 とくに自然の風景を伴う描写が好きでした。 解説でモチーフや発想の起点となった作品が紹介されていたのも個人的に嬉しいポイ...
少女にまつわる5つの短編ミステリー。 それぞれ全く異なった時代や国を背景にし、その描かれる世界観が魅力的。ミステリーだけれどファンタジーを読んでいる気分になる。 とくに自然の風景を伴う描写が好きでした。 解説でモチーフや発想の起点となった作品が紹介されていたのも個人的に嬉しいポイントでした。
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