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コロボックルに出会うまで の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2024/04/29
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【サットル氏の物語】 1928年生まれの佐藤さとるさんの、自伝的目眩まし小説…。 佐藤さとるさんの作品は、小学校の図書館での存在感が強く、きちんと読んだことはもしかしたらなかったかもしれないけれど、おそらくほとんどの水戸が目にしたことがあるのかと思う。 当時はその作者についてという、メタ認知的なことは考えたこともなかった。 でもこれを読んでみたら、この自伝自体も小説化しているというか、とにかくとても面白かった。 ・・・ コロボックルが出てくるのは広範なのだけれど、 神奈川県横須賀市に生まれた佐藤さとるさんが、戦後に横浜の市役所での新卒採用されるところらへんからどんどんお話が進む。 佐藤さんの、少し控えめで、話すよりは心に留めて置くところ、自分を自戒し謙虚なところ、でもここぞというときにはっきり言って決断するところ、全体として落ち着いた、そんな人柄がうかがえる。 同時に、戦後間もない日本の貧しさ、食べる物着るものもかなり限られている状況も、リアルに伝わってくる。 佐藤さんが想像力がとても豊かなところがうかがえる。ファンタジックな童話が、彼の中から湧き出てくる。本の中で抜粋される原稿を読んで知る。(やはりこれまできちんと読んだことがなかったのでした。)はっとしたのは、初めに紹介された搭のお話。 __全部が同時にかわっていくと、なにもかわらないと同じになる。...(本文より) 普通だったら思いつかないようなストーリーが構造化され、文章化されていく過程を少し知ることができる。そう、その構成の工夫がとてもおもしろい。そして、もともと書く才もあったようだけれど、さらに書く機会が増えるたびにそのスキルが磨かれていく過程。 そして、人に誘われたり、彼の人生において重要な人に出会う力。人生の伴侶だって、そうやってお互いが自然と結びつくように現れた…。それは著者の物語りスキルでそうなっているのか分からないけれど、師匠みたいな先生や、一緒に同人誌を作る仲間など、コロボックルを生む彼の人生に欠かせない登場人物。 横浜市で一番小さい中学校の教師を経て、雑誌の編集者として働くことになる。作家として本腰を入れるそんな時期までのお話。 「作品というものは、書こうと思い続けていると、必ず生まれてきます。」 書きたいと思っているテーマがあったら、消して離さず捕まえて、作品にすること、書こうと思い続けていると必ず作品は生まれる、という師匠の言葉。仕事をしながらも思い立ったら書き続けた佐藤さとるさんの姿は、まさにこの言葉を実践し続けた姿であり、そうして童話作家となり、本当に素晴らしい作品が生まれたのか―…

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2023/10/11

図書館本。佐藤さとるの作品を読んだ事はあったが経歴は知らなかった。知ってる名前の作家が何人も登場して驚きました。

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2022/07/11

佐藤さとるの自叙伝。 戦後の混乱期から市役所に職を得て藤沢の中学校に移り、童話創作活動を続けた筆者。戦争の影が色濃く映し出される中で希望を持ち続けた著者だからこそ最後には美しい伴侶にも恵まれて童話の世界で花開いたのであろう。決して平坦な道ではないが淡々と進む著者の姿が描かれている...

佐藤さとるの自叙伝。 戦後の混乱期から市役所に職を得て藤沢の中学校に移り、童話創作活動を続けた筆者。戦争の影が色濃く映し出される中で希望を持ち続けた著者だからこそ最後には美しい伴侶にも恵まれて童話の世界で花開いたのであろう。決して平坦な道ではないが淡々と進む著者の姿が描かれている。

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2020/08/18

2020年8月18日 子どもの頃大好きだった佐藤さとる。 こんなあれこれを経て童話作家として成功したんだ。 作家修行も生活も大変だったんだ。 戦後の窮乏生活の中で、自分の実力筆力を高めるべく、焦らずあたためてきた、井戸のはなし、おこりむしのはなしは、何度も推敲されてきたんだ。 ...

2020年8月18日 子どもの頃大好きだった佐藤さとる。 こんなあれこれを経て童話作家として成功したんだ。 作家修行も生活も大変だったんだ。 戦後の窮乏生活の中で、自分の実力筆力を高めるべく、焦らずあたためてきた、井戸のはなし、おこりむしのはなしは、何度も推敲されてきたんだ。 引用された童話は、説明的な部分が結構多くて、童話ってこんなだった?読むのに苦労する、なんて思いながら文字を追ったが… 情景を美しく表現する言葉は童話作家ならではだし、何より思いがけない結末があり、その発想に驚いた。 構成についても構造を箇条書きしていく作風。 ちゃんとどうやって読者を旅させるかを考えて作るのだということがわかった。 佐藤暁、加藤馨 どっちが本人? 佐藤さとるが本人って最後の最後で明かされたわ

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2017/06/27

佐藤さとるの自伝的小説。 昭和二十四年の春、二十一歳の加藤馨が、市役所に就職したところから、教員になり、編集者になり、やがて代表作となる『コロボックル』の物語の着想を得るまでを描く。 作中で青年「加藤馨」が、ペンネームとして「佐藤暁」と名乗り、同人誌活動をしたり、物語の構想を...

佐藤さとるの自伝的小説。 昭和二十四年の春、二十一歳の加藤馨が、市役所に就職したところから、教員になり、編集者になり、やがて代表作となる『コロボックル』の物語の着想を得るまでを描く。 作中で青年「加藤馨」が、ペンネームとして「佐藤暁」と名乗り、同人誌活動をしたり、物語の構想を練ったりする、作者曰く『自伝的目眩し小説』。 発想のかけらが、あちらと繋がりこちらに飛躍して物語になっていく過程が面白い。 畑違いの仕事にも落ち着いて取り組み、運命の相手に出会っても有頂天になるでもなく、どこか飄々とした馨は、本当に「せいたかさん」そのもの。 もう新しい作品が生み出されることがないのは残念だけれど、読み返すたびに瑞々しい感動がある、佐藤さとる作品。 コロボックルはもちろん、赤んぼ大将や、おばあさんの飛行機も大好き。 子供の頃に、出会えて幸せだったなぁ。

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2017/02/27

プロの作家になる前の佐藤さとるさんが過ごした場所は、自分にもなじみのあるところが多くて、ああ、ここを歩いたのかな、なんて思いながらゆっくりゆっくり読みました。幸せな読書でした。

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2016/10/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なつかしい「コロボックル」の作者による自伝小説(^-^)! 「佐藤さとる」の本名は「加藤かおる」だと・・・これだけでもう楽しい たくさんのすばらしい逸話のすえにやってきた大きな転機  上司との出会いで 相手から握手をもとめられる (上司は2世であった) 昭和20年の敗戦後 朝鮮戦争による特需景気 まだ西洋文化が日本に定着する前 生まれてはじめての握手だった 佐藤さとるはこの握手を「 約束」の意味があり 日本の『指きりげんまん』と同じだ・・・と考える 佐藤さとるの童話的発想だ。(^-^) お父さんのことを書いた本も読んでみたい

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2016/05/07

「誰も知らない小さな国」の作者、佐藤さとるの自伝的小説。 戦争後、専門学校を卒業したさとるが、市役所職員となり、さらに教員を経て編集者になるまでの生活と、その暮らしの中で考えていたこと。 さらに、その時代に出会った幾つかの物語。 そう、彼にとって物語は、あちらの方から書いてく...

「誰も知らない小さな国」の作者、佐藤さとるの自伝的小説。 戦争後、専門学校を卒業したさとるが、市役所職員となり、さらに教員を経て編集者になるまでの生活と、その暮らしの中で考えていたこと。 さらに、その時代に出会った幾つかの物語。 そう、彼にとって物語は、あちらの方から書いてくれとやってくるものであって、無理やり作者が拵えるものではなかったようです。

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