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神の慰めの書 の商品レビュー

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2015/09/06

エックハルトが生きたのは日本でいう鎌倉時代前期。 鎌倉仏教が起こったと同時期にキリスト教圏でもこのような異端神学者が、実に超越的な説教をしていたことに驚きを禁じ得ない。 近代、現代哲学の行き詰まりを打破する、存在の根底にある無限の光の至福直感が、確実極まりないこと。 神との一致...

エックハルトが生きたのは日本でいう鎌倉時代前期。 鎌倉仏教が起こったと同時期にキリスト教圏でもこのような異端神学者が、実に超越的な説教をしていたことに驚きを禁じ得ない。 近代、現代哲学の行き詰まりを打破する、存在の根底にある無限の光の至福直感が、確実極まりないこと。 神との一致がここまで聖霊の血潮を持って語られたのは比類がない。 現代の宗教に決定的に欠けているものは、神学でも社会思想でも観想でも道徳でもなく、エックハルトのごとき、生きたほとばしる霊に他ならない。

Posted byブクログ

2011/11/27

名前だけは有名なエックハルトの著書・説教伝聞記録・「伝説」集、初めて読んだ。 13世紀から14世紀にかけての、中世ドイツの宗教家だが、「神秘主義者」と聞いていたものの、そんなに神秘主義的な感じはしない。ふつうに人生訓を説いている。ただし、やけに純粋で(ドグマチックでなく)、観念的...

名前だけは有名なエックハルトの著書・説教伝聞記録・「伝説」集、初めて読んだ。 13世紀から14世紀にかけての、中世ドイツの宗教家だが、「神秘主義者」と聞いていたものの、そんなに神秘主義的な感じはしない。ふつうに人生訓を説いている。ただし、やけに純粋で(ドグマチックでなく)、観念的な傾向はあるようだ。自己やあらゆる被造物への執着をすべて捨て、精神的に神性と合一しようとするあたりが、ちょっと神秘主義的なのかもしれない。 読んでいて、エックハルトがしきりに人間の「外面 vs. 内面」という二元論をかざしているのが気になった。これは「肉 vs. 魂」という伝統的なキリスト教の相克とかさなりあっているわけだが、近代以降「精神と身体との二極分離」がしきりにデカルトのせいにされているのは20世紀以降のステレオタイプな言説。 しかしこの二元論はデカルトに始まった物ではなく、中世時代にすでに極めて明確に現れていたわけだし、「肉と魂」という対比まで行くなら、それはそもそも聖書において既に打ち出されているのだ。 西洋パラダイムの根は深い。

Posted byブクログ