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共産主義黒書〈ソ連篇〉 の商品レビュー

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2019/12/05

本書の目的は、第二次大戦で見せたソ連の犠牲的精神によって西側諸国に見過ごされた共産政権のナチスにも劣らない罪を白日にさらすことである。 歴史家が多方面から収集した資料を基に、ソ連共産政権が民衆に対していかに非道な弾圧を行ったかを時系列で列挙していく。あまりに多くの数の事件に読者と...

本書の目的は、第二次大戦で見せたソ連の犠牲的精神によって西側諸国に見過ごされた共産政権のナチスにも劣らない罪を白日にさらすことである。 歴史家が多方面から収集した資料を基に、ソ連共産政権が民衆に対していかに非道な弾圧を行ったかを時系列で列挙していく。あまりに多くの数の事件に読者としては数字の羅列にしか見えなくなっていくところは戦記と同様に戦慄を覚える。 各事件の犠牲者数を掲示することで著者たちの目的は果たしているのだが、個人的には「何故こうなったのか」という考察が欲しくなる。 なぜテロルと虐殺を繰り返す政党が政権を奪取できたのかの観点から次の本を探したい。

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2019/02/25

原書名:LE LIVRE NOIR DU COMMUNISME 共産主義の犯罪 第1部 人民に敵対する国家―ソ連における暴力、抑圧、テロル(十月革命のパラドックスと食い違い;「プロレタリア独裁の武装せる腕」;赤色テロル;「醜悪な戦争」;タンボフから大飢饉へ;息継ぎから「大転換」...

原書名:LE LIVRE NOIR DU COMMUNISME 共産主義の犯罪 第1部 人民に敵対する国家―ソ連における暴力、抑圧、テロル(十月革命のパラドックスと食い違い;「プロレタリア独裁の武装せる腕」;赤色テロル;「醜悪な戦争」;タンボフから大飢饉へ;息継ぎから「大転換」へ;強制的集団化とクラーク撲滅;大飢饉;「社会的異分子」と抑圧のサイクル;大テロル(一九三六‐一九三八);収容所帝国;勝利の陰に;グラーグの最盛期と危機;最後の陰謀;スターリン主義からの脱却;結びに代えて) 著者:ステファヌ・クルトワ(Courtois, Stéphane, 1947-、フランス、ロシア史)、ニコラ・ヴェルト(Werth, Nicolas, 1950-、フランス、ロシア史) 訳者:外川継男(1934-、東京、ロシア史)

Posted byブクログ

2019/02/14

ナチスを超える犯罪 先月、タイ・バンコクを拠点に活動する、AKB48の姉妹グループBNK48のメンバーが、ナチスのかぎ十字が描かれたとみられるシャツを着てリハーサルに参加する動画がネット上に投稿され、タイのイスラエル大使館がツイッターで遺憾の意を示す騒ぎになった。このメンバーは...

ナチスを超える犯罪 先月、タイ・バンコクを拠点に活動する、AKB48の姉妹グループBNK48のメンバーが、ナチスのかぎ十字が描かれたとみられるシャツを着てリハーサルに参加する動画がネット上に投稿され、タイのイスラエル大使館がツイッターで遺憾の意を示す騒ぎになった。このメンバーは「自分が無知だった。二度としない」などと謝罪した。 一方、昨年11月、映画『鈴木家の嘘』の公開記念舞台挨拶が東京都内の映画館で行われ、出演俳優や監督が、キューバ革命の指導者ゲバラの肖像をあしらった、おそろいのシャツを着用して登壇した。ところが、この行為はなんの非難も浴びなかったし、ゲバラのシャツが劇中にも登場することを理由に、公開が中止されることもなかった。 何が言いたいか、わからないだろうか。そうだとしたら、BNK48のメンバーを歴史に無知だと笑うことはできない。ナチスの犠牲者よりも、ゲバラらが信奉した共産主義による死者のほうがはるかに多いからだ。本書によれば、前者が2500万人だったのに対し、後者は8500万から1億人に達する。 ソ連、中国、北朝鮮、カンボジアなど「共産主義体制は自分たちの権力を確立するために、大量殺人を真の統治システムにまで高めた」と共著者の一人、クルトワは指摘する。死刑は銃殺、絞首、溺死、撲殺などさまざまな手段で行われ、人為的な餓死、強制収容所送り、強制移住の際の死、強制労働による死もあった。カストロやゲバラが率いたキューバも例外ではない。 ナチスがニュルンベルク裁判で裁かれたのに対し、共産主義はナチス以上の大量殺人を犯しながら、今なお断罪されない。それどころか、道徳的に優れた思想であるかのようなイメージが知識人やメディアによって振りまかれる。ゲバラのシャツを着たり、共産主義の父マルクスの銅像を建てたりしても、けっしてかぎ十字のような問題にはならない。 ナチズムと共産主義に対するこの扱いの違いは、現代における最も恥ずべき政治的ダブルスタンダード(二重基準)の一つである。本書はその欺瞞に気づかせてくれる。

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2018/07/02

ナチス・ドイツの犯罪は多くの検証がなされて断罪されているのに、 共産主義が犯した罪の責任追及がおろそかになっているのではないか。 ナチスのホロコーストより多くの人を死に至らしめたソビエト連邦の、 共産主義国家としての犯罪を詳細に追ったレポートである。 「人道に対する罪...

ナチス・ドイツの犯罪は多くの検証がなされて断罪されているのに、 共産主義が犯した罪の責任追及がおろそかになっているのではないか。 ナチスのホロコーストより多くの人を死に至らしめたソビエト連邦の、 共産主義国家としての犯罪を詳細に追ったレポートである。 「人道に対する罪」のオンパレードである。否、それ以前に人権なんて ことはまったくないのだ。ソルジェニーツィンの名作『収容所群島』な らぬ、国家全体が収容所国家である。 「序」のあとに掲載されている主な収容所所在地の地図を見るだけで 分かる。確かにソ連は広大な領土だった。それでも「どんだけ~」と 言いたくなるほど、収容所が各地にあった。 共産主義はユートピアなんかじゃない。正反対のデストピアだ。それも 権力者が自国民に牙をむくデストピアである。 集団化に反対した、教会に行っている、自分で作った農作物を売った。 そんな理由で逮捕され、強制的に移住をさせられる。 秘密警察と密告制度、裁判なしの処刑、ラーゲリ(収容所)送りは スターリンが始めたのではない。レーニンから受け継がれた支配 体制なのである。 ニキータ・フルシチョフがスターリンの死後に批判を行ったが、ひとり スターリンだけを断罪すればことが済むのではない。スターリン批判を 行ったフルシチョフ自身が、スターリン体制化で頭角を現しているの だから。 収録されている図版は多くはないが、飢饉の様子を捉えた写真からは 目を背けたくなる胸糞悪さをを感じた。幻想が生んだデストピアの 現実が「これでもか」と詰め込まれた1冊だった。 「アジア篇」もあるのだが、こちらはしばらく時間を置いてからでない と読めないな。

Posted byブクログ

2017/01/25

『黒書』と題された通り、共産主義の暗黒面、弾圧と粛然にフォーカスしたソ連史。 同じくちくま学芸文庫から『アジア篇』も刊行されているが、原書には『南米篇』も存在するらしい。邦訳は全て出るのだろうか……。

Posted byブクログ

2017/01/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

共産主義社会を実現し維持していくのに、とんでもない悪行を積み重ねてきたことがよく分かります。残虐の限りを尽くしたのはレーニンだとばかり思っていたのだが、著者は「スターリンの「犯罪」のほとんどはレーニンが始めたところで、レーニン主義こそソ連共産主義の犯罪の根源であると」繰り返し強調している。毛時代の中国も同じようなものだ。大国の統治のいかに困難なことか!多民族国家の統治のいかに困難なことか!

Posted byブクログ