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からだとはなす、ことばとおどる の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2023/01/16

石田千さんのエッセイ。自身の身体と心にまっすぐ向き合いそれらを言葉でとりむすぶ。体と心から淡々とゆらゆらと紡ぎ出されたその言葉たちは浮遊感があって 石田さん独特のことばの肌触りがあった。中身よりも、歌うように溢れるその言葉の羅列や雰囲気をずっと味わっていたい感じ。

Posted byブクログ

2018/01/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

石田千さんが選ばれた22の動詞から、季節の移ろいや石田さんの日常を垣間見るエッセイ。 最初の「ふれる」と最後の「おどる」が特に印象に残った。 心身とことばには時差がある。 こころに思い描いていることを、そのままことばにするのは難しくて、ついつきたくない嘘やつたない飾りをつけてもがいてしまう。 この不器用さ率直さが石田さんの好ましいところであり、共感するところでもある。 幼い頃から色々な踊りをおどっていた、という石田さんは、無意識無自覚にとにかくおどる。 唯一無心になれる行動「おどる」。 このエッセイのタイトルのように、石田さんの素直なことばが散りばめられた文章により、読んでる私も心穏やかに「おどれ」た気がする。

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2016/10/16

石田千さんの本は、読んでいると落ち着く。 言葉の静かさ、ゆっくりさ。 生活する時間の丁寧さ。 写真も含めて、昭和なかおりのする本。

Posted byブクログ

2016/08/05

『もしくは、かばいながら生きてきたはずの傷が、もうしみていなかった。いつかの、いつのまにかの結果が、頭ではない水路から流れてくる』ー『ふれる』 石田千の言葉はいつも尻つほみ。言いたいことを曖昧にして、言い切らずてばなす。肝心要のことは明らかにしないまま。時になまめかしく。時にう...

『もしくは、かばいながら生きてきたはずの傷が、もうしみていなかった。いつかの、いつのまにかの結果が、頭ではない水路から流れてくる』ー『ふれる』 石田千の言葉はいつも尻つほみ。言いたいことを曖昧にして、言い切らずてばなす。肝心要のことは明らかにしないまま。時になまめかしく。時にうら悲しく。もっぱら過去を悔やむように思い出しながら。 そんな内向きの言葉が妙に心地よい日がある。例えば、誰からもなにも頼まれない日。自分の存在が否定されたとまでは言えないけれど、石川啄木の歌が口をついて出そうになる日。石田千の言葉はしんしんと深いところに落ちてくる。 ほんとうは、本当は、と繰り返し後悔するけれど、ほんとうの自分てなんだろう。石田千の後悔はいつもそこに戻ってくる。それは一番分かっているようでわからないこと。人から言われて、驚いたり、憤慨したり、悲しくなったり、嬉しくなったり。だのにそんなことを言ってくれる筈の他人を遠ざける。 自分自身を無意識に映し出すだろう持ちものを次々に手放すのは、執着を断ち切るための行い。そのじつ、数少ない持ち物を手放して残るものに執着はより鮮明に浮き上がる。それが、ほんとうの自分だと知っている。 短く打たれる句読点。時折押し込まれる喘息というイコン。知らずしらず読むものの息もあがる。その呼吸の早さが、心と身体が折り合わない思春期の頃の記憶の中に、くたびれた自分を連れ戻す。誰の心の中にもあるサナトリウムをさらけ出し、治りかけのかさぶたを剥がす、その甘美さを石田千はどこまでもみつめる。魅入られたように、そこから視線を逸らすことが難しくなる。

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2016/06/03

天才。 時々難しくて読み進められなくなったり、 気付いたら字面だけ追っていて中身があたしの中に入ってこない『天才についていけない感』と、 時々襲い掛かる色濃く注ぎ込まれて湿度や色や風を感じるかのような『幸福感』のギャップがなんとも言えず面白くて。 子どもの頃の自分だけの秘密...

天才。 時々難しくて読み進められなくなったり、 気付いたら字面だけ追っていて中身があたしの中に入ってこない『天才についていけない感』と、 時々襲い掛かる色濃く注ぎ込まれて湿度や色や風を感じるかのような『幸福感』のギャップがなんとも言えず面白くて。 子どもの頃の自分だけの秘密や俯瞰していた感覚を思い出し、胸がぎゅっとなったのも良い体験。

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2016/05/13

いつもながら、サッパリしていて小気味いい。 彼女の文は潔くて好き。 この本で初の試み?である写真も効いている。

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2016/03/28

+++ ときにドキッとする描写や、微妙な女心も顔をのぞかせる、独特のことばの「肌触り」。けっして〈わたし〉とは言わない石田千の〈わたし〉が、抑制の利いた文章ながら、いままでで一番自分をさらしている。22枚の章扉を飾る石井孝典による著者の写真にも、本人も気づいていない〈わたし〉が写...

+++ ときにドキッとする描写や、微妙な女心も顔をのぞかせる、独特のことばの「肌触り」。けっして〈わたし〉とは言わない石田千の〈わたし〉が、抑制の利いた文章ながら、いままでで一番自分をさらしている。22枚の章扉を飾る石井孝典による著者の写真にも、本人も気づいていない〈わたし〉が写っている。 +++ これ以上ないくらい著者らしく、これまでに増して、さらに著者のことが愛おしくなる一冊である。写真もとてもいい。

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