ブロントメク! の商品レビュー
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ブロントメクという題名だが、ブロントメクはロボットで脇役にすぎない。物語の主役はモンクリーフと表紙の美女のスザンナとイミュノールという麻薬。最後までハラハラドキドキ、この窮地をどのように凌ぐのか?と思ったら、ちょっと拍子抜け。最後にスザンナの正体もばれて一件落着なのか。ハローサマー、グッドバイの方が後味は良かったような。なので星4つだが、1976年の作品とは思えない面白さではあった。
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暗黒メガコーポとの綱渡りのような駆け引き、絶体絶命のピンチに闖入して全てを焼き払う暴走ブロントメク…などの大スペクタクルを勝手に想像して読みはじめたので拍子抜けした。 主人公のヘタレギークはなぜかゲットした絶世の美女と四六時中盛るばかりで(これは最後に種明かしされるが)、危険な単独航海やコロニーの政治問題などの物語の核心については主体性のない態度を貫いており、一度奮起する場面もその動機にそれまでの主人公の描写から自然と納得できるものがない。 舞台やSF設定には魅力を感じるので、大活劇というよりも雰囲気やシリーズの世界観を楽しむつもりで読むがよいのだと思われる。海系のSF好き。
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『ハローサマー~』などがすごくよかっただけに、期待しすぎちゃったかも。ちょっと物足りなさを感じたまま読み終えました。 とはいえ、後でよくよく考えると、この小説で描かれているSF設定が、実はそんなにSF設定に感じられないからこそ、そこにぐっとこないだけなのかも。たとえば人口減少社会...
『ハローサマー~』などがすごくよかっただけに、期待しすぎちゃったかも。ちょっと物足りなさを感じたまま読み終えました。 とはいえ、後でよくよく考えると、この小説で描かれているSF設定が、実はそんなにSF設定に感じられないからこそ、そこにぐっとこないだけなのかも。たとえば人口減少社会であったり、地域の経済的支配の構図であったり、旅行者のリアルタイム配信など、すでにそこらへんにありそうな事柄。その意味では、先見性がすごく高かったのかも。(2019年11月17日読了)
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青春SF恋愛小説という超限定的なジャンルの名著「ハローサマー、グッドバイ」で有名なマイクル・コーニイの作品。ハローサマーにも言えることだけど、この作者は惑星内(国家)の不穏分子の広がりや不満の高まり方を描くのが異常なほど上手い。本気のディストピア小説を書いたらめちゃくちゃ読み応え...
青春SF恋愛小説という超限定的なジャンルの名著「ハローサマー、グッドバイ」で有名なマイクル・コーニイの作品。ハローサマーにも言えることだけど、この作者は惑星内(国家)の不穏分子の広がりや不満の高まり方を描くのが異常なほど上手い。本気のディストピア小説を書いたらめちゃくちゃ読み応えがある作品ができそう。 オチが全く予想できなかったハローサマーと違って、本作は途中からオチに薄々気付いてしまった…。気付かずに読み終えたら衝撃がもの凄そうだけど、作者自身も気付いてもらうためにあえて強調した表現を繰り返したんだろうな。
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『ハローサマー、グッドバイ』『パラークシの記憶』読んで、コーニイの小説もこれで3冊目。 宇宙を股に掛ける大企業が行き詰ってる田舎の惑星にやってきて、行政まるごと買い取っちゃう話。現実に照らすなら、〇〇県の議会と行政機構を全部Googleが買っちゃいました、という感じ。 保...
『ハローサマー、グッドバイ』『パラークシの記憶』読んで、コーニイの小説もこれで3冊目。 宇宙を股に掛ける大企業が行き詰ってる田舎の惑星にやってきて、行政まるごと買い取っちゃう話。現実に照らすなら、〇〇県の議会と行政機構を全部Googleが買っちゃいました、という感じ。 保守・革新で村は割れてしまる。Googleも住民に甘言を並べるが、だんだんと正体を現して、気付いたときにはもう……と、内容は大体想像が付くだろう。 恋愛要素は、一見パフェの上に載ってるシロップ漬けさくらんぼのような、取って付けた感じを抱いてしまうのだが、女性に盲目的になる男を傍から見たら、実際そんなもんなのかもしれない。それほどまでに美しいのが、今作のヒロインであり、ある意味で数多の恋愛小説のヒロインをぶっちぎる魅力を備えている。私は好きではないけれど。
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ハローサマー、パラークシと同様に後半の急展開&テンポの良さがすごい!始めの方は少し読み進めにくいかな?と思ったけど読了感は上記の二作よりも素晴らしかったかも
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これは好きだ。こういう作者が知識総動員で社会実験を脳内で組み上げるようなSFが好きだ。あとがきにあるgene mapperとエアも覚えておこう。 人口流出の危機に瀕した惑星アルカディア。それに歯止めをかけると名乗りをあげた宇宙の超巨大企業ヘザリントン。その手段とは惑星をまるごと買...
これは好きだ。こういう作者が知識総動員で社会実験を脳内で組み上げるようなSFが好きだ。あとがきにあるgene mapperとエアも覚えておこう。 人口流出の危機に瀕した惑星アルカディア。それに歯止めをかけると名乗りをあげた宇宙の超巨大企業ヘザリントン。その手段とは惑星をまるごと買い上げ実質的に惑星を支配するという植民型開発独裁みたいなことで、当然それに反発する人も出てきたりあれやこれや。平行して主人公ケヴィンはヘザリントンの移民誘致コマーシャル企画に巻き込まれる!みたいな。 惑星の人口流出の原因だとか、開発独裁の体制と人々の争いだとか、さらに相対する人間の理想型に変化するエイリアンとか、いちいち練られている。クライマックスにそれらの要素がまとめあげられ思いもよらない結末に導かれる様がたまらなくいい。非常に論理的なんだけども、それ以外のメインエピソードやラストシーンはスペクタクルでロマンチック。好きだー。キャラクターもいいなぁ。 タイトルは独裁の象徴でもある巨大な無慈悲危険トラクターの名前。こういうガジェットがぽんぽこ出てくるのもSFならではでやっとこさ慣れてきた感じ。
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コーニイと言ったら『ハローサマー・グッドバイ』よりも『ブロントメク!』派である。しかしそれも三十数年前の記憶。同様に若い頃、『ブロントメク!』に惚れ込んだという大森望による新訳がやっと登場。 他の惑星への移住に経済が係わってくるなんて観点は当時は新しいものだったのではないか...
コーニイと言ったら『ハローサマー・グッドバイ』よりも『ブロントメク!』派である。しかしそれも三十数年前の記憶。同様に若い頃、『ブロントメク!』に惚れ込んだという大森望による新訳がやっと登場。 他の惑星への移住に経済が係わってくるなんて観点は当時は新しいものだったのではないか。惑星アルカディアでは52年に一度、海洋生物が人間の精神に影響を与えて多くの死者を出す。このため、アルカディアから離れていく人々が増え、惑星の経済が破綻しかかっている。これを再建するのにもはや政府は役に立たず、民間企業へザリントン機構がはいってくる。企業に惑星全体が買われてしまったのだ。 タイトルのブロントメクとはへザリントン機構が農業開発のために導入した巨大機械、いうなれば自動式巨大トラクターである。本書では初出のときだけ雷竜機という訳語を使っているが、コーニイの造語である。しかし、ブロントメクは企業によって再開発される惑星という背景を象徴するものに過ぎない。主役メカではないのだ。 〈僕〉、ケヴィン・モンクリーフは最近アルカディアに移住し、リヴァーサイドという田舎町で小さな造船工場を経営している。ヘザリントンがアルカディア宣伝のために企画したヨットによる単独世界一周の企画で造船を請け負う。〈僕〉はキャンペーン・ガールとしてやとった利発な美女スザンナと恋に落ちる。ヘザリントンとリヴァーサイド住人との小競り合い、ヨット世界一周の実況中継、呑気な田舎町の出来事がだんだん焦臭くなってくる。 からんでくるのが惑星マリリンの不定形生物アモーフ。アモーフは防衛本能から相手の思考を読み取り、相手が理想とする存在に姿を変える。人間の場合なら高率に魅力的な異性に。ヘザリントン機構はアルカディアとの折衝役にアモーフが姿を変えた人物を送ってくる。人を傷つけることのないきわめて感じのいい人物になるからである。このアモーフはデビュー長編『Mirror Image』の主要主題だという。そして脇役の海洋生物学者マーク・スウェンドンは上述の海洋生物による大被害を描く第2長編『Syzygy』の主人公。そしてスザンナは本作のひとつ前の長編『カリスマ』に登場する謎の美女スザンナであることをほのめかす記述が結構前のほうからあることに今回初めて気がついた。 もうひとつ物語にからんでくるのが惑星アルカディアの生態系の特性。ヘザリントン機構はそれを狙ってきたのだ。 表紙はブロントメクではなく、ヒロインのスザンナである。この小説がラヴ・ストーリーだというのには同意できない。スザンナはいるだけ、〈僕〉と行動を共にするだけ。そんなのをラヴ・ストーリーというのか。いうのである。ラカンの有名なテーゼ「女は存在しない」に依拠するなら、スザンナは「いる」のだから。 「主役メカ」ブロントメクはエピローグで朽ち果てた姿で登場する。それもひとつの象徴。何とも苦い物語だ。
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「ハローサマー、グッバイ」 「パラークシの記憶」は若者カップルの瑞々しい 恋愛を柱に惑星、社会、生物の謎にだったが、 本作はしっかり成人した大人(だけ?)で構成しながら 大どんでんがえし、ネタバレ禁止。 最後まで読めば「そういえば」かもしれないが 途中まで、植民地(資本)支配、独立運動、 経済(資本主義?)個人と集団、タフガイの孤独な冒険 情報操作、などキャラクターが色とりどりに描くなか 心の支え、よりどころ、一筋の光の価値を一転させ 感傷的といえる余韻に引き込む。 他の関連作品も読んでみたいけど。 発表順に読んだら、この驚きと、胸の疼きは 得られるのだろうか。
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新訳・復刊の長編。 『ハローサマー・グッドバイ』のおかげで、リリカルな青春恋愛ロマンスの書き手というイメージがあったが、本作の雰囲気はどちらかというと社会派で、予想していたものとは違っていた。 しかしロマンス部分の、ある意味でのピュアさというのは健在で、こういう部分が、この著者を...
新訳・復刊の長編。 『ハローサマー・グッドバイ』のおかげで、リリカルな青春恋愛ロマンスの書き手というイメージがあったが、本作の雰囲気はどちらかというと社会派で、予想していたものとは違っていた。 しかしロマンス部分の、ある意味でのピュアさというのは健在で、こういう部分が、この著者を忘れがたい存在にしているような気がする。
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