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困難な成熟 の商品レビュー

4.3

37件のお客様レビュー

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2023/04/09

たまには頭を使いながら読む本を、と思い手にした。文体が、公開講義で話すような砕けたものなので読み進めやすい。著者は若い方なのかな?と思ったら、書かれた時点で60代だったので意外。分類的には哲学書だと思うが、肩肘張らずに読める。しっかり考えながら読むと、面白いのだが仕事疲れのせいか...

たまには頭を使いながら読む本を、と思い手にした。文体が、公開講義で話すような砕けたものなので読み進めやすい。著者は若い方なのかな?と思ったら、書かれた時点で60代だったので意外。分類的には哲学書だと思うが、肩肘張らずに読める。しっかり考えながら読むと、面白いのだが仕事疲れのせいか眠くなる…。後半は、自分なりに理解・納得出来たと感じられなくても読み進めた。何気に合点のいっていなかった様々に対して、成程、こう考えれば・表現すれば腑に落ちるのか!と思える点、多々有り。同意出来ない点なども有るが、出来れば時を置いて読み返した方が良さそうな書物だと感じた。

Posted byブクログ

2023/03/29

これは良書!中学校の道徳の時間に1つずつ読んだらいいんだ。内田樹さんは本当に芯があるから、その芯を伝わる言葉で丁寧に語る。芯が曖昧な人は「それっぽく」聞こえるために格好つけた言葉に頼る。 たぶん、「信じるに値するもの」はそれを身銭を切って信じてみせる個人の宣誓と信託によってはじめ...

これは良書!中学校の道徳の時間に1つずつ読んだらいいんだ。内田樹さんは本当に芯があるから、その芯を伝わる言葉で丁寧に語る。芯が曖昧な人は「それっぽく」聞こえるために格好つけた言葉に頼る。 たぶん、「信じるに値するもの」はそれを身銭を切って信じてみせる個人の宣誓と信託によってはじめて「信じるに値するもの」になる、 これなんて名文! 全部に納得しなくていい。「こういう考え方」を丸っと知れる事。それがいい!

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2022/06/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

生き延びるための技術。 全ては自己の考え方次第であり、 それ次第で自分の生涯価値は変わるし 成熟するか否かも変わると感じた。 中でも、理不尽なことが起きたら、私にも他者にも 「どうして私たちはこんなに頭が悪いのか?」と問いたいと思う。 よくある 「半分しかない、いや半分もある」と考えるか。 自分の不幸を嘆く人は実は危機的状況と捉えてなくて、どんなときでも「それでも、オレは運がいいほうだよ」と思うか否か。「努力できる」なんてすでにかなり幸運だからと感じるかどうか。 感じる、想像する、世の中は人間の創造物だ。 フェアネスもアンフェアも人間が作ったもの 消費するから、労働を作る。最適な組織の人数は昔から変わらない。 気づくか気づかないか、そこでも作れるものの幅は変わる。 「床のゴミ」気づいてる?誰も気づかないそれを拾うことは新しいフェーズへとつながる。 他者と私においては、 「あなたの欠如を埋めるもの、それは私」 やりたいことをやるだけでは私ではない。 発する言葉ひとつでも、自分以外の人でも言いそうなことはできるだけ言わない。極論、だったら自分はいなくてもいいに繋がるから。 素直な身体づくり。 愛するとは理解と共感の上でなく、理解も共感もできないものへの寛容と、そのような他者に対する創造力の行使の上基礎づけられるほうが持続する。 ゆるい連帯が合理的であって、異物の排除にならない。 予測していたトラブルは自分で招いている。 問題じゃなくて答えであって、ファクターが作り上げた作品なのだ。 ★ユーミンに学ぶこと。 「目に映るすべてのことはメッセージ」誰もがメッセージは送ってないから。まわりを見渡して目に映る全てのことはメッセージと感じること。 人の善意に期待しない。 「収奪と奪還」ではなく「贈与と喜納」システム 贈与は主体じゃない、受けるもの。 ★わらしべ長者から学ぶこと。 貨幣そのもの、交換することに意義あり。 ★大人とは私にとっての大人像である。 ★嘘と寿命は一致してる。時間がない。 ★失われた時を求めてのマドレーヌのように。五感使う。 死がドーナツの穴としたら、ドーナツのことを考える 明日死ぬかもしれない。 ★子育て 葛藤なき創造はありえない 子供の成長は自己成長 適切な葛藤におくこと 仲裁する立場に立たされること=成熟 父親と母親でバランスが取れてたらいい 育児戦略が一致してなくていい 子どもは葛藤のうちに成熟する ★常識は一時的なもの。 ★国家問題は、しずくを見てコップを見ていない。

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2021/10/08

ずっと自分が漠然と描く『大人』にいつまでも追いつけないし、そもそもそんなものはないのかもしれない。 『泥鰌鍋紳士』のエピソードのところはとても印象的だった。

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2021/09/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

問い 成熟とは何か 答え 成熟とは捉え方 題名の通り、広い意味では「成熟」についての本ではあるが、多様なテーマを取り上げ、いつも通り内田流に一般的な認知構造をひっくり返す議論が満載の本。 テーマは、 責任、正義、ルール、フェアネス 労働、組織の最適サイズ、執着、矜持 格差論、贈与、大人 嘘、死、青年、教育、メンター、子育て 愛国者、トラブル、常識 などだが、テーマが大切なのではなく、成熟した人間がいるとすれば、どう捉えるべきかという視点を持つことで、有用な読みができる。 テーマとしては、関心を引いたのは、とりわけ、以下の三つ。それぞれ成熟した見方を持つためのポイントがあり、それらを通して見ると成熟とはどういうことかが見えてくる。 成熟した人間は表現をどう捉えるか 死を思うことにより、生を充実させるアプローチを軸にすることを論じた下りは、成熟の起点にふさわしい。まさに同感。自分ならではの表現で、自分ならではの考えを生きている間に残すことを、かたく決意したい。 成熟した人間は教育をどう捉えるか 教育するということは、おせっかいと忍耐という相反する要素を持つ点は、参考となる。特に、共同体のためだからこそ、身銭を切っておせっかいにも教育するというくだりは、おせっかいの正当化につながる。 成熟した人間はトラブルをどう捉えるか トラブルへの対応において、問題が生じる前から仕込まれていたと捉えるのは、なるほど成熟の要件だ。トラブルでいがみ合うのは、未熟の最たる例だ。それは、トラブルを他責と捉えるかところから生じる。全ての人間関係的トラブルは自責であると捉えるのなら、それが生じた時点で、ペナルティを払うべきというのは、理にかなっている。 題名にもなっている成熟の定義は、なぜか途中で出てきてしまうが、上記3つとはやや次元が異なる理解をすべきだろう。 成熟は役割であるというのは、慧眼。

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2021/06/07

この本はこれから何度も読み返したい。 自分の人生の規範となるべき文章がたくさんあった。 考えの具体的な内容というより、どうやって考えるかを示してくれているような。 ウチダ先生は勿論実際の師ではない。ただ本を読んでいるだけなのだが、こちらの腑に落ちることをよく言う。その理由はこ...

この本はこれから何度も読み返したい。 自分の人生の規範となるべき文章がたくさんあった。 考えの具体的な内容というより、どうやって考えるかを示してくれているような。 ウチダ先生は勿論実際の師ではない。ただ本を読んでいるだけなのだが、こちらの腑に落ちることをよく言う。その理由はこの本の最後に書いてある。「まあこれが普通に考えたら人間として常識的だよね」ということを判断基準にしているからだと思うのだ。 そして、同じことは養老孟司先生が「バカの壁」の最初に言っている。「それが絶対的な真実かどうかは別として、

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2019/09/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【気になった場所】 全体を貫く議題 =いかにして市民的成熟を達成するのか 責任を取ることは誰にもできない →人を傷つけたり大切にしているものを損なったりした場合、それを復元することは原理的に不可能だから →被害者側は「責任を取れ、なぜならお前には責任を取ることができないから」と言って責める →どこかで無限責任を停止しなければならないため、法律で限度を定めた 責任は自分で引き受けるもの →「オレが責任を持つよ」と言うこと →全員がそう言えば、誰かが責任を取らなければならないようなひどいことが起こる確率が低くなる 正義が成り立つ条件 →個体の識別をしないこと →個人的事情を知ると、惻隠の情が生まれるため →赦しは裁きのあと 惻隠の情とは =不正によって傷つき、損なわれた人に対する慈愛や共感 ルールとは →他者と折り合って暮らすための方便 →その社会集団が生き延びるために作られたもの 生きる目的=生き延びること フェアネス(公平・公正)とは →ゲームをするための恣意的な取り組み →フェアな社会はフェアな人間を再生産する 最悪の場合に備えて心の準備をするのは、危険なこと →いつか大変なことが起きることを無意識に望んでしまうため 自責で考えられる人が場を主宰する →責任と決定権はセットであるため 労働の対立概念は消費 →人間はまず消費して、その後に労働を始めた →人間が労働するのは、人間の消費量が自然からの贈与分を超えたから →労働の目的は、安定的に消費できること 労働の本質 →自然の恵みを人為によって制御すること →有用な資源を豊かにすることではなく、それらの生産や流通を管理すること 共同体の最適サイズ=150人 →生物学的な答えで、組織にも適応可 資本主義における本当のプレイヤーは投資家 →現場の人間が簡単にリストラされる理由 言語と親族と経済の共通点は、交換 →交換の目的は、存在していることの根拠を与えること 贈与=反対給付 →すでに贈与を受けたと感じた人が贈与する →目に映るものすべてがメッセージであり、その贈与のサイクルに参与することが、市民的成熟の条件である 貨幣の本質=交換を加速すること →貨幣そのものに意味はなく、交換することに意味がある 誰でも言いそうなことはできるだけ言わない →自分は他と代替可能=自分はいなくても良いという暗示 教育=お節介+忍耐力

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2019/01/22

成功ではなく葛藤にこそ成熟は育まれる。 中途半端な日々でも、迷いとためらいが宿れば、僕を少しずつ大人にしてくれる。

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2018/12/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・ルール(他者と折り合って暮らす方便)を見きわめる。どこは変更可能か?運用するためにルールが作られた「真実」をおさえる ・人間が労働するのは消費〉自然の贈与となったから。組織は150人が限界。 ・まず欠如があり、「私」はその後に登場する。子供はやるべきこと・やりたいことをするが、大人はやれることをする。 ・頭が悪いのと邪悪であるのは違う。前者は説得すればよい。後者は暴力である。例えば年金問題は邪悪。暴力的な奪還を正当化しているから、取り返したとしても公平に分配はされない。 ・贈与は「された」と思ったら生じる。自然の恵みに感謝。周りを見渡す力。 ・教育とはお節介と忍耐力。共同体を生き延びさせるために学ぶ⇆自己利益・費用対効果 ・ゼノフォーブ(外国人嫌い)⇆理解も共感もできないものに対する寛容さ ・トラブルは問題ではなく答えである(すでに種は撒かれている)

Posted byブクログ

2018/11/04

・責任というのは、誰にも取ることができないものです。にもかかわらず、責任というのは、人に押しつけられるものではありません。自分で引き受けるものです ・「なぜルールがあるのか?」を問わない人間がルールを管轄し、違反者を罰するということをしていると、集団の「生き延びる力」は必ず弱まっ...

・責任というのは、誰にも取ることができないものです。にもかかわらず、責任というのは、人に押しつけられるものではありません。自分で引き受けるものです ・「なぜルールがあるのか?」を問わない人間がルールを管轄し、違反者を罰するということをしていると、集団の「生き延びる力」は必ず弱まってしまう。「絶対に変えてはいけない大切なところ」と「どうでもいいところ」が識別できなくなると、人間は「絶対変えてはいかないところ」を変え、「どうでもいいところ」に固執するようになる ・恐怖、不安、後悔といった感情が身心の働きを高めることは絶対にない ・労働の本質は「生産」ではなく「制御」。人間は生産することに疲れるのではなく、制御されることに疲れる ・管理部門が現場の創意工夫やイノベーションを全部抑え込んでしまうと、あちこちで組織の壊死が始まり、組織は生命力を失い、しだいに硬直化し、ある日土台から崩壊する ・銃弾は前からも飛んでくるし、後ろからも飛んでくる。みんな「自分だけでも生き残る」ために必死 ・どんなときでも「それでも、オレは運がいいほうだよ」というふうに言える人は、生き延びなければならないということを本気で考えている人 ・「愛する」という行為は理解と共感の上にではなく、「理解も共感もできないもの」に対する寛容と、そのような他者に対する想像力の行使の上に基礎づけられたほうが、持続する

Posted byブクログ