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街場の文体論 の商品レビュー

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18件のお客様レビュー

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2023/07/24

内田老師の、大学教授としての最後の講義録。 最終第14講「『響く言葉』『届く言葉』『身体に触れる言葉』とはどういうものかということをめぐって語ってきた/僕たちがたどりついた暫定的な結論は、言葉にするとすごく簡単なのですが、それは『魂から出る言葉』『生身から生まれる言葉』だという...

内田老師の、大学教授としての最後の講義録。 最終第14講「『響く言葉』『届く言葉』『身体に触れる言葉』とはどういうものかということをめぐって語ってきた/僕たちがたどりついた暫定的な結論は、言葉にするとすごく簡単なのですが、それは『魂から出る言葉』『生身から生まれる言葉』だということです。」 ご本人のおっしゃる通り、言葉にすると当たり前で、なんならチープですらある。けれど、この本を読み終えたいま、その恐ろしく深い意味に打ちのめされる。 魂から出る言葉が大事だから、お勉強なんか意味がない、ということでは決してない(死ぬほど違う)。 現代日本語の運用能力の話だから、外国語や古典の知見は必要ない、ということでもない(ありがちな間違い)。 言葉は心を表すツールなのであって、言葉は拙くても心が綺麗なら良い、ということでもない(その心は自分の心の拙さに気づけない)。 私たちが、ほんとうに新しいこと、自分だけのメッセージを誰かに伝えたいのなら、まずは母語の「定型を十全に内面化」する必要がある。 なぜなら、誰も言ったことのないこと、つまり今の時点では「何を言っているか分からないこと」を言うためには、「何を言っているかわかる」枠組みを用いるしかないからである。 シビれる。

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2021/10/24

今回は、文章・文体作成のほん。神戸女学院で実施されていた「アクティブ・ライティング」という授業の講義録。内田さんの本は何冊も読んでいるが、大学の授業なのに、いつもの調子の内田節が随所に表れていてとても面白い。これだけ脱線してもちゃんともともとの授業が成立しているあたり、学びたいも...

今回は、文章・文体作成のほん。神戸女学院で実施されていた「アクティブ・ライティング」という授業の講義録。内田さんの本は何冊も読んでいるが、大学の授業なのに、いつもの調子の内田節が随所に表れていてとても面白い。これだけ脱線してもちゃんともともとの授業が成立しているあたり、学びたいものである。「マジョリティが正しい方向にいくという期待は幻想。もしそうだったら、世の中こんなにおかしくなっていない」「なぜ、村上春樹は世界中で読まれ、司馬遼太郎は日本人しか読まないのか。世界性を獲得しているか否かを判断すること」「エクリチュール・階層・自由・文化」「経済価値至上主義の国は、人口減少で滅びる」「メンタルストレスを自分の意思でオフにすることができるか」「檻に入っているせいで、檻に入っていないときにはできないことができる」

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2020/10/14

読書と執筆に確信と革命をもたらす、すばらしい本。執筆していて、ずっと芽生えてはいるが掴めないいろいろな感覚がくっきり完成品として示されていて、腑に落ちた。学問とは贈与。世の中に溢れていることは過去の人々と今のわたしと、未来の人たちとの連作、連鎖。

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2020/07/28

一周目 どうやって伝わる文を書くか、やはりそれは愛を持つことが大前提なのだなと、そんな当たり前のことを再認識させられました。 二周目 文章にまつわる、内田さんの自論がさまざまに繰り広げられる一冊。それは物を書くというところから飛躍して、生きる・死ぬまで。まだまだすべて理解できて...

一周目 どうやって伝わる文を書くか、やはりそれは愛を持つことが大前提なのだなと、そんな当たり前のことを再認識させられました。 二周目 文章にまつわる、内田さんの自論がさまざまに繰り広げられる一冊。それは物を書くというところから飛躍して、生きる・死ぬまで。まだまだすべて理解できているわけではないので、もう一周します。

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2019/12/14

 ああ、これこれ、待ってました。とか何とか云って、ミシマ社から出てもう十年近くなるんですが、書棚に転がってました。こたつから出るのが億劫な日々、ひょいと手に取るとやめられない、止まらない。いつから棚に転がっていたのか、ホント、買った本はさっさと読めよな!ああ、読んだのはミシマ社版...

 ああ、これこれ、待ってました。とか何とか云って、ミシマ社から出てもう十年近くなるんですが、書棚に転がってました。こたつから出るのが億劫な日々、ひょいと手に取るとやめられない、止まらない。いつから棚に転がっていたのか、ホント、買った本はさっさと読めよな!ああ、読んだのはミシマ社版の単行本です。  えっ?内容はって?ハイ、内容は「内田樹」です。まちがいありません。

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2019/08/06

2010年から11年にかけておこなわれた、著者の神戸女学院大学での最後の講義「クリエイティブ・ライティング」における14回の授業内容をまとめた本です。 「文体論」というタイトルをもつ本であり、ソシュールやバルトらの言語哲学にかんする言及はあるものの、文章の書き方指南の本ではなく...

2010年から11年にかけておこなわれた、著者の神戸女学院大学での最後の講義「クリエイティブ・ライティング」における14回の授業内容をまとめた本です。 「文体論」というタイトルをもつ本であり、ソシュールやバルトらの言語哲学にかんする言及はあるものの、文章の書き方指南の本ではなく、あくまで著者の考える他者論やエクリチュール論についての講義となっています。文章を書くことにおいてもっとも重要なのは、他者へことばを「届かせたい」という思いだという著者のメッセージが、さまざまにかたちを変えて変奏されており、著者の思索の柔軟性と一貫性がみごとに統合されている内容だと感じました。

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2019/05/31

やはり彼の語り口は「なんでそんな偉そうなん!?」と思わざるを得ないものの、結構面白い。 読みやすいから3日くらいでスラスラ読み終わる。スッと読めすぎてしまって、逆にお腹にたまってないのではないかと不安になる。結構考えさせられた、気付かされたこともあっただろうに(ほらもうぼんやり...

やはり彼の語り口は「なんでそんな偉そうなん!?」と思わざるを得ないものの、結構面白い。 読みやすいから3日くらいでスラスラ読み終わる。スッと読めすぎてしまって、逆にお腹にたまってないのではないかと不安になる。結構考えさせられた、気付かされたこともあっただろうに(ほらもうぼんやりしつつある)、もったいない。 そういうときに、講義形式っていいんだろうなとおもった。私が3日で読めてしまった内容を、内田樹は15週かけて話した。そうしたら、一週ごとに少しずつ彼の話が蓄積されていく。今週聞き終わって、1週間ぼんやりと頭のどこかにその話がとどまっていて、また講義の日がやってくる。そういう風にしていると、いつも頭に彼の話がたまっていることになる。 3日で読める内容を15週にもぐ〜んと引き伸ばしてやる意義ってここにあるんだなと、大学の授業ってそういう意味もあるんだなと、大学5年目にして気付かされました。

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2019/01/17

言語というものから歴史、思想、社会、人類あらゆるものに手が伸びていく。読書をする、言葉を聞く、語学を勉強する。今思えば、いずれも自分自身を豊かにしてくれたものだった。社会人となり本を読むことが減って「武器とするために」何かを学ぶことが多くなっていたが、そうではなく、自身を豊かにす...

言語というものから歴史、思想、社会、人類あらゆるものに手が伸びていく。読書をする、言葉を聞く、語学を勉強する。今思えば、いずれも自分自身を豊かにしてくれたものだった。社会人となり本を読むことが減って「武器とするために」何かを学ぶことが多くなっていたが、そうではなく、自身を豊かにするために、そして人類にその豊かさを贈与できるようになるために、学びたいと思えた。

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2018/10/25

私たちが何気なく使っている言葉というのはここまで奥が深いのかと驚嘆した。文章を読んでいるだけで筆者の熱量や伝えたいという気持ちが伝わってくる。 言葉は自分を飾り立てるためにあるのでなく、相手に伝えるためにあるのである。

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2018/03/29

著者が大学での「クリエイティブ・ライティング」という講義を起こした本です。伝わる言葉とそうでない言葉の違い、言語が人間の思考を縛る話、著者も気づかない無意識が文章に出る話などをまとめています。

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