海峡の鎮魂歌 の商品レビュー
海で生きていく主人公がさまざま形で海に向き合っていく。函館の大火と荒れる海、戦争の海の特高隊、青函連絡船洞爺丸事故、その中、子供たちがつながっていく。後半、若干駆け足に感じたが、読み応えのある作品でした。
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大先輩のおすすめ本。普段ならあまり手に取らないタイプの本だったが、これは読んでよかった。 函館の潜水夫、泊敬介を主人公に、函館の大火から洞爺丸沈没事故まで、運命に翻弄される家族が描かれている。終盤いろいろなことが繋がっていき、過去のしがらみや苦しみが解消されていくのに、救われる。過去に踏み出すことが未来につながっていて、希望の持てる話だった。
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東日本大震災後の小説。 「脊梁山脈」もそうですが東日本大震災は作家の方々に特別なモチベーションをもたらしたように思えます。 災害に生活が翻弄される、または災害によってもたらされる虚無にどう立ち向かうか。 この本を読んでいる今も地震が熊本を襲っている。いずれ自分自身が当事者になるこ...
東日本大震災後の小説。 「脊梁山脈」もそうですが東日本大震災は作家の方々に特別なモチベーションをもたらしたように思えます。 災害に生活が翻弄される、または災害によってもたらされる虚無にどう立ち向かうか。 この本を読んでいる今も地震が熊本を襲っている。いずれ自分自身が当事者になることを覚悟しなければならない。
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昭和の函館を舞台に、函館大火、大空襲、洞爺丸沈没と3つの大災害を生き延びた夫婦を主人公にした物語。 やはり熊谷さんは、平穏な世界を舞台にしたものより、こうした緊迫感を描くのがお得意なように思います。 もっとも次から次に起こる危機は面白いんですけどね、少々やり過ぎという気もします。...
昭和の函館を舞台に、函館大火、大空襲、洞爺丸沈没と3つの大災害を生き延びた夫婦を主人公にした物語。 やはり熊谷さんは、平穏な世界を舞台にしたものより、こうした緊迫感を描くのがお得意なように思います。 もっとも次から次に起こる危機は面白いんですけどね、少々やり過ぎという気もします。特に最後の息子と娘の話はちょっと強引すぎます。その分現実感に欠け、物語として安易な感じが残ってしまうのです。
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著者の作品は好きだが、どちらかというと地味で抑えた表現というイメージがある。それはそれで良いと思うのだけれど、本作は少し作風が変わっていて、とても荒々しい表現だ。プロットだけ考えるとかなり非現実的な話ではあるけれど、それはそれでよいのではないかと感じさせるくらい迫力があり、かつ感...
著者の作品は好きだが、どちらかというと地味で抑えた表現というイメージがある。それはそれで良いと思うのだけれど、本作は少し作風が変わっていて、とても荒々しい表現だ。プロットだけ考えるとかなり非現実的な話ではあるけれど、それはそれでよいのではないかと感じさせるくらい迫力があり、かつ感動できる内容だと思う。それは何といっても、描いている職業への敬意ではないかと思う。これまでの作品にも一貫している。マタギ、蓑売り、そして今回の潜水夫。更に、3.11から5年目の今日読了するにふさわしい内容だったと思う。
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