花森安治伝 日本の暮しをかえた男 の商品レビュー
花森安治については全く知らなかった。『暮しの手帖』の創刊者と言われれば、その雑誌をどこかで見た記憶があるような気がする程度。名コピーライターと言われてもピンと来ない。そもそも私とは同時代人ではなく、同氏は明治生まれ。 では、何故、本書を読んだのかというと他の本で気になった、戦争...
花森安治については全く知らなかった。『暮しの手帖』の創刊者と言われれば、その雑誌をどこかで見た記憶があるような気がする程度。名コピーライターと言われてもピンと来ない。そもそも私とは同時代人ではなく、同氏は明治生まれ。 では、何故、本書を読んだのかというと他の本で気になった、戦争中に大政翼賛会の宣伝部で「ぜいたくは敵だ!」という戦時標語を作ったのが花森安治だったという話(確かではないらしい)。もう一つは、『暮しの手帖』の目玉として、徹底的な商品テストを行い、買い手側に正確な商品の比較評価を提供していた事。日経トレンディや価格ドットコムの先駆けである。 どんなものかなと読み始めたが、いきなり写真で度肝を抜かれる。写真は、どう見ても女性。本文を読むと、女装家だったらしい。早速、興味が増す。 ー 女性にたいする罪の意識のねじくれた表現という説があった。「花森が、敗戦直後、女のように髪をのばし、スカートをはいていたというのも、花森の屈折した内面の表れだったのではないか」「花森さんの場合、戦前との訣別の思いがつよかったんじゃないでしょうか」「大政翼賛会で積極的にメシを食い、いがぐり頭で国民服を着て颯爽としていたーというととで、彼は自らを苦しめていたのです」 ー なぜ広告をのせないのか。 広告をのせることで、スポンサーの圧力がかかる、それは絶対に困るからである。暮しの手帖は、暮しの手帖なりに、一つの主張があり一つの志がある。それがほかの力でゆがめられるとしたら、もっての外である。ことに商品テストの場合、その結果に対して、なにかの圧力がかかってゆがめられたりしては、折角のテストの意味がなくなってしまう。商品テストは絶対にヒモつきであってはならないのである。 今日日の様々なメディア、政党にも聞かせたい言葉だ。「火事をテストする」として、ストーブを倒すような壮絶な商品テストもしたらしい。話題性のある人、名前が残る人というのは、芯が通っている。
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ずいぶん前に 途中まで読んで そのまま であった一冊です 改めて 再読し始めたのですが いゃあ これは 凄い 花森安治さんという 一人の生きてきた軌跡から その時々の時代の様子、雰囲気が 紙面から湧き上がってくる 「風土」ではありませんが その時代であったからこそ その人物(...
ずいぶん前に 途中まで読んで そのまま であった一冊です 改めて 再読し始めたのですが いゃあ これは 凄い 花森安治さんという 一人の生きてきた軌跡から その時々の時代の様子、雰囲気が 紙面から湧き上がってくる 「風土」ではありませんが その時代であったからこそ その人物(安森さん)が行動したこと その時代があったからこそ その人物が次なる行動にのめりこんでいったこと その 一つ一つが ありありと 想像できてしまう 改めて 津野海太郎さんの筆力に 脱帽です
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ぼくのツイッターを見てくださっている方なら、よくご存じと思うのですが、「月イチ2文」という、「月に1回本屋さんに行って、2冊文庫を買おう」という個人的なキャンペーンを始めました。そのために、毎週土曜に文庫本を買っているんですが、その中の1冊です。 花森安治というのは、『暮しの手...
ぼくのツイッターを見てくださっている方なら、よくご存じと思うのですが、「月イチ2文」という、「月に1回本屋さんに行って、2冊文庫を買おう」という個人的なキャンペーンを始めました。そのために、毎週土曜に文庫本を買っているんですが、その中の1冊です。 花森安治というのは、『暮しの手帖』という雑誌を立ち上げて、100万部売れる雑誌にした名編集者なんですよね。その人の一生のことを書いているんですけど。これは素晴らしくおもしろかったですね。津野さんは何冊か、この手の自伝やノンフィクションを書いているんですけど、この本は特にいいんじゃないかな。 (石田衣良公式メルマガ「ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』」23号より抜粋)
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トト姉ちゃんにそろそろ唐沢寿明が登場すると聞いたことで、読んでみた。 生活の手帖で、大森鎭子と一緒に仕事をした人物が過去の戦争時において行った政治活動に対してとても反省していたことが書かれている。反省した結果、戦後の生活に関わる仕事に就くあたりは、好感が持てる。広告を載せない...
トト姉ちゃんにそろそろ唐沢寿明が登場すると聞いたことで、読んでみた。 生活の手帖で、大森鎭子と一緒に仕事をした人物が過去の戦争時において行った政治活動に対してとても反省していたことが書かれている。反省した結果、戦後の生活に関わる仕事に就くあたりは、好感が持てる。広告を載せないといった主張も近年のワンマン経営者と何か通ずるものがあると感じられた。 ただし本著からは花森安治のデザインセンスやそのルーツなどが実はあまり書かれていないよう気がする。もっとどうゆう人間であったか実像を深堀りした証言を集めてほしいと感じた。
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偶然、津田さんの『百歳までの読書』と同時にこの本を買った。津田さんは編集者で、それだけ『暮らしの手帖』の編集長を長年やった花森さんの生涯は魅力的であったのだろう。それでも、津田さんは花森さんのような編集長にはついていけないともらしている。それだけ花森さんという人は個性が強く、人を...
偶然、津田さんの『百歳までの読書』と同時にこの本を買った。津田さんは編集者で、それだけ『暮らしの手帖』の編集長を長年やった花森さんの生涯は魅力的であったのだろう。それでも、津田さんは花森さんのような編集長にはついていけないともらしている。それだけ花森さんという人は個性が強く、人をぐいぐい引っ張っていく人だったのだろう。本書はその花森さんがいかにして戦後の日本人の暮らしを変えた男となったのかと言う話。花森さんといえば、その相棒だった大橋鎮子さんとの二人三脚が有名だが、本書では鎮子さんのはなしはあまり出てこない。それより、花森さんが松江の金持ちの娘であったももよさんに求愛し、その後もらぶらぶだった様子が描いてあってほほえましく思った。本書での圧巻はやはり『暮らしの手帖』でさまざまな商品テストをしたくだりであろう。かれらの事務所が出版社でなく研究所であったわけもわかるというものだ。このテスト、本当に徹底している。スポンサーからびた一文もらわずやるわけで、同じものをいくつも買い込んだり、パン焼き器のテストでは天井までつみあがるほどのパンを焼いて実験したり、ストーブでは初期消火には水が効果的であると主張し、消防局とぶつかった話とか。戦後の人々の消費生活が大きく進歩したのは、まさにこの雑誌が引き金になったことがわかる。
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「暮しの手帖」は常にそばにあった。小学生のころ、私は意味がよく分からないのに、母が購読していた雑誌を読んでいた。商品テスト、懐かしい。
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