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兵士は戦場で何を見たのか の商品レビュー

4.4

8件のお客様レビュー

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2023/04/12

勇ましい戦闘シーンはほぼなし。イラク戦争における米軍一大隊の被害がドキュメンタリータッチで描かれる。 最後に大隊所属兵士の名前一覧を掲載。当たり前だけど全員生身の人間であることを思い知る。

Posted byブクログ

2022/11/26

死が間近にある戦地イラクでの緊張状態の中、実際に砲撃を受け続け米兵は精神も身体もぶっ壊されていく。生きて帰還してもPTSDで自死を選ぶ者も。入隊者が少なければ犯罪者を免責して取り込む。その犯罪者も極度のストレスに狂っていく。

Posted byブクログ

2022/08/02

「帰還兵はなぜ自殺するのか」の前に読むべき。 ノンフィクションだが、第三者目線ではなく当事者目線で語られるのでまるで映画を見ているよう。 米本土と戦地の兵士たちの温度差を感じる場面の度にやりきれない思いを感じた。 訳者あとがきにあった " 本書の原題「The Good...

「帰還兵はなぜ自殺するのか」の前に読むべき。 ノンフィクションだが、第三者目線ではなく当事者目線で語られるのでまるで映画を見ているよう。 米本土と戦地の兵士たちの温度差を感じる場面の度にやりきれない思いを感じた。 訳者あとがきにあった " 本書の原題「The Good Soldiers」直訳すれば、よい兵士、善良な兵士、立派な兵士、忠実な兵士、といった言葉になる。確かにここに登場する兵ひとりひとりはそういう兵士である。この言葉にフィンケルはまったく皮肉を込めてはいない。国のために戦っている若い兵士、遠い国で命を賭けている兵士はgood soldier以外の何者でもない。しかし、目を閉じれば脳裏には死んだ戦友の姿やいイラクの女の子の姿がスライド・ショーのように映り、不眠に苦しみ、不意に体が震えてくる。そこにいるのは兵士である前に、紛れもなく普通の若者である。" という文章は全ての兵士のことを指していると思った。この本に登場するアメリカ兵はもちろん、全ての戦争で戦ったほとんど全ての兵士が「普通の若者」だったはずだ。そんな普通の若者を戦地に送り込み「goid soldier」にすることの意味を全ての人間がよく考えなければならない。

Posted byブクログ

2019/08/20

なんで翻訳版では出版順ではなかったのだろう。『帰還兵は なぜ自殺するのか』の前作が本書である。原書ではこちらが 先に発行されているのに。 「バグダッドの治安維持とイラクの自由のために」。そんな 大義名分を掲げて、子ブッシュ大統領が行ったイラクへの 2万人の追加派兵。こ...

なんで翻訳版では出版順ではなかったのだろう。『帰還兵は なぜ自殺するのか』の前作が本書である。原書ではこちらが 先に発行されているのに。 「バグダッドの治安維持とイラクの自由のために」。そんな 大義名分を掲げて、子ブッシュ大統領が行ったイラクへの 2万人の追加派兵。この時に派兵されたある大隊に密着取材 して、戦場で何が起きてるかを伝えている。 いつ、どこで、誰に狙撃されるか分からない恐怖。隣にいた 兵士が次の瞬間には無惨な死体になっている現実。誰がテロ リストか、誰が一般人なのか、判断する基準のない混乱。 恐怖が、焦りが、怒りが、兵士を暴虐に駆り立てる。そうして、 繰り返される現地の市井の人々への虐殺。これが、アメリカへ の、アメリカ兵への憎しみを増殖させる。 平均年齢19歳の兵士たちが、どこが前線とも分からぬ戦場へ 送り込まれる。いくら訓練を積んでいようとも、戦場のリアル は実際にその場に立たなければ実感は出来ないのに。 戦争は人間を壊す。それは、戦場となった国の人々は勿論の こと、戦場に駆り出された兵士をも壊すのだ。だから、命を 失わずに故郷に帰還した兵士さえ、助かった命を自ら捨てる ことになるのだ。 最高司令官は戦場のリアルを知らない。だから、国の、自身の メンツの為にやすやすと兵士を戦場へ送り出す。その兵士の なかから「英雄」が生まれれば、プロパガンダとして利用する ことが出来るのだから。 全編が読んでいて苦しい。なかでも第5章で鷺池挙げられている ロイター通信の記者・カメラマンへのアメリカ軍の誤爆事件は、 パレスチナ。ホテル砲撃事件を思い出し、暗澹たる気持ちに なった。 朝鮮戦争の昔から、アメリカが介入すると碌なことがない。 朝鮮半島は分断されたまま、イラクもアフガニスタンもいつ まで経っても治安が安定しない。 そうして、心と体に深い傷を負った兵士たちと、アメリカへの 憎しみを募らせる人々だけを増やして行くのだ。

Posted byブクログ

2019/06/12

このノンフィクションはかなりの衝撃。 戦争の悲惨さをテレビなどとは違うアプローチで表現されている。 ページ数も多く読み切るのも大変だが、読み進めるとのめり込み、凄惨さがひしひしと伝わる。 アメリカ国内の政治利用と、現場のギャップは今も昔も変わらないのか。。

Posted byブクログ

2019/02/17

 『帰還兵はなぜ自殺するのか』と同じ著者の戦場ルポルタージュ。訳者によれば、『帰還兵〜』の前篇に当たるものだという。すでに読了していたその本と同様、ここにも、イラクの戦場で将兵たちが直面することになった現実が、淡々と、しかし確かな手触りとともに、描かれている。  読み終えて印象...

 『帰還兵はなぜ自殺するのか』と同じ著者の戦場ルポルタージュ。訳者によれば、『帰還兵〜』の前篇に当たるものだという。すでに読了していたその本と同様、ここにも、イラクの戦場で将兵たちが直面することになった現実が、淡々と、しかし確かな手触りとともに、描かれている。  読み終えて印象的なのは、イラクとアメリカの〈遠さ〉である。物理的な距離のことだけではない。アメリカの日常はイラクの戦場の〈真実〉を知る由もなく、ワシントンは個別的な出来事よりも「マクロ」な戦略と政略をめぐる饒舌に明け暮れている。各章トビラの部分に置かれたブッシュの発言と、16-2の将兵たちが直面した状況とはほとんどブラック・ユーモアのような落差を感じさせる。  アメリカもイラクも、それぞれ違った意味で、戦争が日常となっていた。しかし、アメリカでのそれは、兵士たちの現実を決して受け入れたり包摂したりしようとはしない強固な日常性を証し立てるものだった――。さて、日本ではどうだろうか? もし自衛隊がイラクのような場所に派兵され、不幸にも死傷者が出てしまったとき、この社会はいったいどう対応するのだろうか? そしてそれ以上に、日本国家は、このような戦場に隊員たちを派遣するつもりなのだろうか?

Posted byブクログ

2016/03/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「兵士は戦場で何を見たのか」それは、足先のない手の指のない体から分離された頭(顔には銃弾の穴が空いていた)が浄化槽の中に浮かんでいたり、戦闘服の上に脳内の一部が零れ落ちたり、EFP(自己鍛造弾)が爆発し右腕が切断され顎が砕かれ歯が無くなり顔が引き裂かれ頭が砲塔にぶつかって割れたり、脚が大腿の真ん中あたりからなくなっていたり、ジャーナリストや民間人がアパッチ・ヘリの誤爆によって殺されたり、ハンヴィー(軍用車両)がIED(致死型の即製爆弾)によって地上数メートル吹き飛ばされたり、テロリストを射殺するところを少女に見られたりとキリがない。このように死は常態化するとともに死を免れた者は「人を殺してその後普通に生きられる奴なんていねえよ。殺されそうになってその後普通に生きられる奴を見たことあるか?人間はそんなふうにできていねえよ」のとおりPTSDに苦しめられる。PTSDに苦しめられる何十万人もの兵士の治療費のほうが、戦争自体で使われる費用より大きくなりかねないという。

Posted byブクログ

2016/02/25

『帰還兵はなぜ自殺するのか』の前編ともいうべき本書。 『帰還兵はなぜ自殺するのか』が先に翻訳・刊行され、その後、『兵士は戦場で何を見たのか』が翻訳・刊行された。 内容は、『帰還兵は〜』が、イラク戦争に派兵されたアメリカ兵が帰国後、PTSDなどに苛まれることを描いたものであり、...

『帰還兵はなぜ自殺するのか』の前編ともいうべき本書。 『帰還兵はなぜ自殺するのか』が先に翻訳・刊行され、その後、『兵士は戦場で何を見たのか』が翻訳・刊行された。 内容は、『帰還兵は〜』が、イラク戦争に派兵されたアメリカ兵が帰国後、PTSDなどに苛まれることを描いたものであり、後者(本書=『兵士は戦場で〜』)は、そのイラク戦争での出来事を描いたものである。 イラク戦争の中でも「誰も来たがらないような場所」に記者である筆者が軍に同行・取材し、また、“負傷兵”が入院している病院へ赴き、追加取材している。 一部、筆者が見聞きしていない部分は、公文書やビデオ・写真、インタビューなどを行い、それに基づき記述している旨が巻末にある。 『兵士は戦場で〜』では、多くの若者(20歳前後である)が、戦場で死に、あるいは、四肢の一部(あるいは全部)をなくしてしまう。 その中には、結婚したばかりの者もいれば、従軍したばかりもいる。 「みんなの人生を永遠に変えていくんです。それが戦争というものなんです。」という言葉があるが、まさにその通りだと思う。 原著は2009年に『The Good Soldiers』としてアメリカで出版された。「イラク戦争」に関する本は多いが、今、2016年に、翻訳された意義は大きいと思う。 「戦争がもたらすもの」が何であるかということを考えるために。 『帰還兵はなぜ自殺するのか』を読んだ人は、ぜひ、この本も読んで欲しいと思う。

Posted byブクログ