私の日本地図(1) の商品レビュー
吉祥寺の街々書林で見かけ購入。この本をレジに持って行ったら店主から「飯田線ものがたり」を勧められ合わせて購入。確かに次に読むのがたいへん楽しみだ。宮本常一さんを初めて知ったが著作集53巻が出ている民俗学者。この本を読みながら天竜川沿いを歩きたくなる、たいへん素敵な内容でした。
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宮本常一の目で、 彼が歩いた、昭和30年代の写真とともに、 景観を見て感じたことが書いてある。 当時の住民や政府の意思が、感じられる。 例えば、伊那谷は多くの場所で、天竜川やその支流により、 また、建材や製紙のための木の伐採に伴う山地荒廃で、 暮らしの風景に土砂・岩が多かった。 政府は、そうした自然の脅威を克服すべく、 河川・砂防行政としてダムを造った。 その資本ストックが地域を安全にしたし、 また、そのフローの公共投資が地域を潤しもした。 (水害後にテレビを買う人が多かった、など) そしてそれが天竜川沿いの景観も変えた。 そうした、当時の一生懸命な活動の上に 現在の地域の姿があるのだ、と思うと感慨深い。 そして今は、その地域に住む人は減少傾向にある。 こういう変遷。 善悪でもなく、劇的な物語でもなく、 生きるために行われてきた自然への働きかけ。 それをその時のスナップとして切り取った文章と写真。
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