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夜中の薔薇 新装版 の商品レビュー

4.1

30件のお客様レビュー

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2024/02/26

私はこの人の感性が好きだ。1929年生まれ。和暦だと昭和4年生まれ。今生きていれば95歳。私の亡くなった祖母と同世代。当時キャリアウーマン(すでに死語か?)として女一人で生計を立てるというのはかなり珍しくて新しい生き方だったと思う。少なくとも私の周りにはいなかった。 この本の中...

私はこの人の感性が好きだ。1929年生まれ。和暦だと昭和4年生まれ。今生きていれば95歳。私の亡くなった祖母と同世代。当時キャリアウーマン(すでに死語か?)として女一人で生計を立てるというのはかなり珍しくて新しい生き方だったと思う。少なくとも私の周りにはいなかった。 この本の中で性差による「らしさ」についてたびたび語られている。今どきの人は嫌悪感を示すのだろうかと思いながら読んだ。ジェンダーレスが叫ばれ「男らしさ」とか「女らしさ」とかいう言葉さえ使うことが憚られる世の中になってしまった。 私自身は、性別によって権利とか機会を奪ったり差別したりすることは間違っていると思うが、男らしさとか女らしさとかは、そもそも男女は生物学的に構造や役割が違うのだから、あって当然だと思う。そして良いとされる「らしさ」は歴史や文化によって考え方が違うと思う。(LGBTはまた別の話)。 そういう意味でもこの人の文章は受け入れやすい。日本で戦前に教育を受けた人の考え方であるが、スッと入ってくる。男だからそんなこと言えるんだと思われてしまうかもしれないが、女性の向田さんが言っているのだから心強い。

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2023/10/31

短編のエッセイ集、私にとって初めての向田邦子作品です。言葉ひとつひとつが正直で分かりやすく、尚且つとてもおしゃれで、他の作品も読みたくなりました。 爆笑問題・太田光さんの解説もとても良かったです。定期的に読みたい本に出会えました。

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2023/05/07

向田さんのエッセイ。「あ、うん」でこんなに登場人物が動いて見え面白い小説はないと感じ、興味を持ち、読んでみた。 アマゾンという節では「あ、うん」で感じた文章の楽しさが感じられ、手袋を探すの節ではこれも先の著作で感じた鋭い人間観察力を自分に向けて見せたり、他様々。 一冊読み終え...

向田さんのエッセイ。「あ、うん」でこんなに登場人物が動いて見え面白い小説はないと感じ、興味を持ち、読んでみた。 アマゾンという節では「あ、うん」で感じた文章の楽しさが感じられ、手袋を探すの節ではこれも先の著作で感じた鋭い人間観察力を自分に向けて見せたり、他様々。 一冊読み終えてみて向田邦子さんがどんな人だったか想像してみた。 故人は凄く勘が良くて、内に秘めたる感情が、優しさも厳しさもないまぜに起伏の激しい人だったのだろうなと推察する。声をかけ話を伺わずにはいられないほど魅力的で楽しそうな人ではある。その反面、いつか人間観察が自分に向き、つまらない人間だと判断されてしまいそうな蛇に睨まれているような怖さもある。 ひょっとしてこの感じは昔同じ職場にいたあの人似てるんじゃないか、ついつい横道に逸れる。いやああだったらちょっとだけ嫌だなとか、むしろ外面は怖くてもいいから中身はあの人の感じであってほしいなとか、あれこれ想像してみるのは楽しい。色んな想像ができて人物像が一向に定まらないのは、本書がそれだけ向田邦子さんの人となりを多面的に捉えられる良い書籍である証左な気がしてきた。 総合的な故人への人物像が良い印象なのか悪い印象なのかはさておいて、「あ、うん」を作った人の人となりに触れることができて、ひとまず良かった。他の著作も読み、向田さんをもっと知りたいと思った。

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2023/03/14

p79だけでいいから読んで欲しい。 ーーことばのお洒落は、(中略)無料で手に入る最高のアクセサリーである。ーー 読書好き、読書を始めたい、そんな方に絶対に刺さるエッセイが、たったの1ページに凝縮されています。 その他、背筋がしゃんと伸びることばの数々が詰まったエッセイです。...

p79だけでいいから読んで欲しい。 ーーことばのお洒落は、(中略)無料で手に入る最高のアクセサリーである。ーー 読書好き、読書を始めたい、そんな方に絶対に刺さるエッセイが、たったの1ページに凝縮されています。 その他、背筋がしゃんと伸びることばの数々が詰まったエッセイです。 読書好きの友人にもプレゼントした、私の相棒の一冊。

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2023/01/02

戦時中のエピソードから思わずいい匂いのしてきそうなご飯のお話まで、盛りだくさんのエッセイ。 芯のある美しい文章で、また読み返したいなと思います。

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2022/12/06

手袋をさがす。ないものねだりかもしれない、けれど好奇心を持って周りを探し続ける。満足できなくて常に不満を持っているかもしれないけど、探し続ける自分に誇りを持っていいんだと思えた。 時計なんか怖くない。時間を合理的に使うことは、時計の奴隷になっているだけではないのか。人生の大きな時...

手袋をさがす。ないものねだりかもしれない、けれど好奇心を持って周りを探し続ける。満足できなくて常に不満を持っているかもしれないけど、探し続ける自分に誇りを持っていいんだと思えた。 時計なんか怖くない。時間を合理的に使うことは、時計の奴隷になっているだけではないのか。人生の大きな時計で計れば、若い時の時間を無駄にしてしまったという絶望も、ほんの短いステキな時間ではないか。一生懸命生きていればどんな時間も無駄ではない。そう思えるように生きていきたいな。

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2022/09/02

向田邦子の最後の随筆集。 あちらこちらに、古き良き日本の息遣いを感じ、忘れかけていた男の優しさとは何かを再確認してしまいます。 言葉遣い、人間描写が巧みであり、間違いなく、向田邦子さんの本は、何回も読み返す事になるのでしょう。 向田さんは、だったひとつ私の財産といえるのは、いまだ...

向田邦子の最後の随筆集。 あちらこちらに、古き良き日本の息遣いを感じ、忘れかけていた男の優しさとは何かを再確認してしまいます。 言葉遣い、人間描写が巧みであり、間違いなく、向田邦子さんの本は、何回も読み返す事になるのでしょう。 向田さんは、だったひとつ私の財産といえるのは、いまだに手袋を探しているということと、かいておられます。ドンキホーテの歯車のように、運命の神様にゴマを剃らず、すこしばかりけんか腰で、欲しいものを探し歩く生き方を誇りに思っているとのこと。そんな向田邦子さんを愛し、憧れを抱きます。

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2022/05/06

「手袋を探す」が読みたくて購入。キリッとした文章。読んでいると、背筋がピシッと伸びる感じ。定期的に読み返したい。

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2021/12/15

エッセイを久しぶりに読んだ。 昔エッセイストになりたいと思ってたことを思い出した。エッセイはその人がそのまま出る。 我ながら畏れ多いことを考えてたものだ。 著者のドラマは、細かな描写、心の内側が現れる仕草などが、繊細で物凄いものがあるな、と昔観て思っていたけど、このエッセイを読ん...

エッセイを久しぶりに読んだ。 昔エッセイストになりたいと思ってたことを思い出した。エッセイはその人がそのまま出る。 我ながら畏れ多いことを考えてたものだ。 著者のドラマは、細かな描写、心の内側が現れる仕草などが、繊細で物凄いものがあるな、と昔観て思っていたけど、このエッセイを読んでなるほどと納得した。

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2021/09/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今年、作者 向田邦子氏が、台湾への飛行機事故で亡くなって、40年も経つのだと・・・ それでいて、この著者を母親のように思える所がある。 朝のまな板の音に鰹節を削る話等、・・・・ 今の若い方には、わからないかもしれない。 最初 題名を見た時は、夜中に薔薇を看るのだろうか?なんて、余計な気を使ったけど、最初に描かれている、シューベルトの曲の歌である。 只々、面白く、読ましていただいた。 200本のバラの水風呂、そして、紅に匂う夜中の薔薇~~~♬が、理解出来た。 話は、ずんずん面白くなる。 作者は、自然体で、それを描いているから、余計に読んでいる者は、楽しんで読める。 夜中の薔薇と同様で、手袋の話で、妹に手袋を編んであげるのを、ミトンでも、1日で、編んでしまうのにはビックリであり、そして、せっせと編んだだよ~~が、「節制と安打だよ~~~」に歌っていた人の話も笑ってしまった。 お洒落な方だったのだろう。 口紅の付け忘れや洋服のほころびに 気が付いたら、心臆してしまっている所が、女性らしい。 我母も、コティのコンパクトに赤い口紅を塗って、出かけていたのを思い出した。 ことばのお洒落 で、渋谷駅で、「渋谷一枚!」に受け答えした駅員さんの「ただですよ!」と静かな声で、白い歯をかすかに見せた・・・なんて、・・・・何て、ユーモアが、即座に出たのだろうか?と、思われる駅員さんの素晴らしさ。 料理好きで、お酒もいける口。 そして、観察力の強さに 好奇心強さで、海外旅行へ行っても、普通の人がやらない事を体験している。 ベルギー・アマゾンなどの旅行の話を読んでいても、・・・ 生存されていたら、人生100年の時代、沢山の話を記述してくださっただろうな~と、感じるばかりである。 40年の歳月が、経っても、まだまだ、このエッセーが、読まれている事が証拠であると、思う。

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