電球交換士の憂鬱 の商品レビュー
電球交換士のトビラさん、本名・十文字扉さんが主人公のお話です。吉田篤弘さんの小説によくあるタイプの街・「ミナト町」、ここも大好きになりました。電球、懐かしい白熱灯のような町、バー〈ボヌール〉を始めとするお店、常連さんたち…。寂れてしまいそうでありながら、LEDに取り換えられていく...
電球交換士のトビラさん、本名・十文字扉さんが主人公のお話です。吉田篤弘さんの小説によくあるタイプの街・「ミナト町」、ここも大好きになりました。電球、懐かしい白熱灯のような町、バー〈ボヌール〉を始めとするお店、常連さんたち…。寂れてしまいそうでありながら、LEDに取り換えられていくように新しく変貌していくことを悲観的に語っていないのが、私には心地よく感じられました。扉さんが遭遇する少しハードボイルドで結構驚きの事件には笑った! 手作りたまごサンド、〈青空軒〉のカレーライス、〈檜垣〉の破れ饅頭、アスカさんが燻したベーコン、美味しそうなものもこんなに登場しています。
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"電球を交換するという行為が、彼らのーもしくは彼女たちのーどこか奥深く隠されてあったものに触れてしまうのかもしれない。" "これから電球だけじゃないいろんなものを交換することになる" 普段何気なく見ているものの小さな声が聞こえてくるよう...
"電球を交換するという行為が、彼らのーもしくは彼女たちのーどこか奥深く隠されてあったものに触れてしまうのかもしれない。" "これから電球だけじゃないいろんなものを交換することになる" 普段何気なく見ているものの小さな声が聞こえてくるような、今まで気にしていなかったようなものが突然存在感をあらわしてきたような、なんかそんな気持ち ぼやけていた世界がくっきりはっきり見えた時、また始められる 私もこれからいろんなものを交換していく
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主人公の一人称が珍しく「俺」だからか、少しハードボイルドな印象。 主人公は自称不死身の電球交換士。その名の通り電球を交換するのが仕事。
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なぜだか引き込まれる不思議な物語。ゆるゆるとした登場人物、特に盛り上がるわけでもない構成、でも、引き込まれる。たまごサンドがいい。
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電球交換士…世界でただ一人に与えられた肩書き。読んで字のごとく、電球の交換だけを専門に引き受ける職業で、この一風変わった肩書きはいかにも吉田さんらしい。 電球を交換する際、いきなり強烈な電気ショックを食らっても平気だったことから、自分を不死身な男と自負する十文字の物語。 今宵も行きつけのバー〈ボヌール〉のカウンターに常連客が揃い、思い思いの飲み物を飲みながらとりとめのない話をする。 十文字に春ちゃん、マチルダ、ママ、西園寺。べったりじゃなくて程よく距離を置く。でも仲良し。 吉田ワールドはやっぱり穏やかな夜が似合う。 どこまてが嘘でどこからが本当か分からない、そんな話の間を行きつ戻りつ縫うような話が何故か心地よい。 私もみんなのお喋りに交じりたい。 そして十文字の作った卵サンドが食べたくなる。 不死身って一見羨ましいようで、実は厄介なもの。周りの知り合いがみんな居なくなっても、一人この世に居続けるのはやっぱり寂しい。 いつか終わりが来るから、今を楽しめる。限りある時間を精一杯に生きる大切さをしみじみ感じた物語だった。
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ハードボイルドのようなハーフボイルドのような。 ミステリアスとメランコリックが同居している。 電球は交換出来るけど眼球は交換出来ないから眼鏡で明るさを憂鬱から解放させるんだな。
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吉田先生作品にしては、すこしメランコリックというか、ほんのり暗めなおはなし多め。 まさに「憂鬱」なのかな。
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ちょっと気になっていた本、おそるおそる読んでいったらすごくおもしろいし、ぐいぐい引き込まれる。カラカラに乾いたようなミナト町を舞台にした、<電球交換士>を名乗る男の話で、ディストピア系かなと思ってたのだけれど、思ってたよりも現実的。でも過去に置いて行かれたモノや場所がたくさんで...
ちょっと気になっていた本、おそるおそる読んでいったらすごくおもしろいし、ぐいぐい引き込まれる。カラカラに乾いたようなミナト町を舞台にした、<電球交換士>を名乗る男の話で、ディストピア系かなと思ってたのだけれど、思ってたよりも現実的。でも過去に置いて行かれたモノや場所がたくさんでてきたり、奇妙な事が起こったりもして、なかなか現実は奇なり。 メガネをかけることで、視界が変わるのが印象的だった。憂鬱は視力もあったかも分からないけれど、その間にあった<電球交換士>としてのこれからの<永遠>をどうするかも大きく在ったわけで。時間の短さ・長さ、いつが人生の折り返しなんて誰にも分からないわけで。そこに<永遠>が付いてしまったら途方もなくなってしまうだろう。散髪のオヤジさんの話も深いなと思った。でもそうなかなか髪を切りには行かないな……申し訳ないけれど。 2話で出てきた偽者もまたあの人の仕業だとしたらあの人ほんと何者。
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あらすじ サーカスの軽業師から電球交換士に転職した俺。使用する電球は親友神崎が作る高級電球だけだ。働くのは主に夜で、昼間はヤブという名前の医者に通ったり、仕事の後はバーに行って炭酸水を飲む。美人には弱くて、映画館の未亡人や、博物館の美人学芸員やヤブの妹で精神科医に夢中になったりする。ところが神崎から、切れない電球を発明したと聞かされた。 吉田作品の中でも好み。登場人物が、ウソかほんとかでまかせか、とにかくマイペースで暮らしているのはいつものこと。電球交換士ってだけでファンタジーな雰囲気が出るよ。そのなかにミステリー要素をすごく細かく入れ込んである。食べ物もおいしそうだなー。今回は卵サンドイッチ。
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すっごく○○!(おもしろいとか不思議とか) ・・・ってのではなく、何かとじんわりくるやつ。 今度の休みは、たまごサンドを作ろうかな。 お供は珈琲、もちろん自分でドリップです。
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