黄昏の彼女たち(上) の商品レビュー
第一次世界大戦後のロンドン。戦争で父と兄弟を喪い、広い屋敷で母と二人で暮らすフランシス。生計のために、レナードとリリアンという若い夫婦を下宿人として住まわせることに。女性が恋愛対象のフランシス。一つ屋根の下で、母と夫の目を盗みながらフランシスとリリアンは秘密の関係になっていく… ...
第一次世界大戦後のロンドン。戦争で父と兄弟を喪い、広い屋敷で母と二人で暮らすフランシス。生計のために、レナードとリリアンという若い夫婦を下宿人として住まわせることに。女性が恋愛対象のフランシス。一つ屋根の下で、母と夫の目を盗みながらフランシスとリリアンは秘密の関係になっていく… ツイッター(X)で二度と読み返したくない本みたいなハッシュタグを見ていて見つけた本。(なんかそういう本を時々無性に読みたくなる)上巻では、フランシスとリリアンの関係性がじわじわと縮まっていき、とあるきっかけで急速に燃え上がっていく様子が描かれる。もう破滅の予感しかないんですけど…! 翻訳ものにしてはすらすら読みやすい文体だけどなぜか全然ページ数が進まない不思議な本だった。女性同士の描写が結構がっつりあるので注意です。 フランシスとの愛におぼれながらも、夫のレナードとの関係も、世間体や経済的理由で断ち切ることができないリリアン。そしてリリアンの妊娠が発覚したところで下巻に続く。裏表紙にミステリって書いてあるけど上巻はミステリ的な要素なかった。これから事件が起こるのかな。
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☆3.7 小さな描写・何気ない表現がいくつも降り積もり、いつの間にか少しずつフランシスに自分が寄っていて、ふとした時に彼女が私になる。 そんな経験をさせるのがとても上手な作家だと思う。 フランシスとリリアンの間には幻想味のあるエロティックさが感じられて、少し陶酔してしまう。そ...
☆3.7 小さな描写・何気ない表現がいくつも降り積もり、いつの間にか少しずつフランシスに自分が寄っていて、ふとした時に彼女が私になる。 そんな経験をさせるのがとても上手な作家だと思う。 フランシスとリリアンの間には幻想味のあるエロティックさが感じられて、少し陶酔してしまう。そして杭を抜くシーンの鮮烈さよ。
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1920年代、第一次世界大戦後と第二次世界大戦の間のイギリスが舞台。戦後の喪失と未来への希望が見えない世界への不安。まして西欧といえども女性の地位が低かった。女性の選挙権もまともになかったようだな時代が舞台。 戦争で逝ってしまった兄や弟。そして父も借金を残してなくなってしまった...
1920年代、第一次世界大戦後と第二次世界大戦の間のイギリスが舞台。戦後の喪失と未来への希望が見えない世界への不安。まして西欧といえども女性の地位が低かった。女性の選挙権もまともになかったようだな時代が舞台。 戦争で逝ってしまった兄や弟。そして父も借金を残してなくなってしまった、古い大きなお屋敷に母と暮らせば、維持するために、部屋を貸していくしかなかった。 お嬢様だった「フランシス」、なのに屋敷を管理するのは当然、お手伝いさんも雇えないので、自分で掃除も何もかもしなければならない変化。26歳の独身、鬱々たる毎日になる。しかも過去に女性問題事件を起こしている秘密があった。 貸室に来たのは若いご夫婦。その妻はちょっと変わっていて魅力的だった。自然と親しくなり…。 と、ミステリアスというより、危なっかしい展開になる。 独特の雰囲気だった『半身』や『荊の城』に続く、サラ・ウォーターズ節なるか? 上巻はやや普通だね、というところかな。
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終盤で必死になるフランシスに不安になる。 リリアンが言ったように、スティーヴィーがこぼしたように、フランシスはすでに一度、愛する人との人生を選ばなかった。 うーん、下巻はどうなるんだろう。 幸せになる未来が見えない。。
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いつ二人の関係が周りにばれるのかとヒヤヒヤして、読むのが辛い。 ウォーターズの作品やから、このままで終わるとは思えへんけど、今のところ恋愛小説にしか思えない。 早く下巻も読んで、ほっとしたい。
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サラ・ウォーターズの新作ときては、読まないわけにいかない(感想書くのは遅くなりましたが) 翻訳されないわけではなく、寡作なんですね。 第一次大戦後の1922年。 戦争で父親と兄たちを喪い、老いた母と二人で暮らすフランシス。 屋敷を維持するのも難しく、下働きも雇えないので自ら労働...
サラ・ウォーターズの新作ときては、読まないわけにいかない(感想書くのは遅くなりましたが) 翻訳されないわけではなく、寡作なんですね。 第一次大戦後の1922年。 戦争で父親と兄たちを喪い、老いた母と二人で暮らすフランシス。 屋敷を維持するのも難しく、下働きも雇えないので自ら労働する日々でした。 やむなく下宿人を置くことにして、若夫婦がやってきます。 レナードとリリーの夫妻。 ちょっと嫌味だけど明るいまあ普通の夫。 綺麗で繊細なところのあるリリー。 初めて家に他人を入れてギクシャクする描写も綿密で、これがいつしか思いがけない恋へと転化していきます。 フランシスの母親が生活のためにも娘の結婚を望むのは、ある意味では当然のこと。 しかし、フランシスにとっては重過ぎる難題。 時代もあり、周りにも理解は求められない閉塞状況。 それでも、惹かれあい‥ 気恥ずかしいぐらい甘い恋愛の揺れ動きと盛り上がり。 ところが‥! ミステリというより文学といったほうがいいかもしれないウォーターズ作品ですが、事件は起こります! 捜査も裁判も最近のものとは違う雰囲気で、ちょっと距離がある描写のなか、窮地に立つ主人公たちの不安、緊張、悲しみ、思いがけない面‥ 救いはないでもないのですが~胸が締め付けられるようでした。 綿密な描写が巧みなだけにね☆
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大戦後のロンドン郊外、兄弟と父を亡くし母と二人暮らしになった屋敷の娘フランシスは、生計のために家に下宿人をおくことにした。それに応じてきたのは、若い夫婦で、フランシスは妻と交流を深めていく。 …サラ・ウォーターズなので…(お察しww) と思ってたら、やっぱりサラ・ウォ...
大戦後のロンドン郊外、兄弟と父を亡くし母と二人暮らしになった屋敷の娘フランシスは、生計のために家に下宿人をおくことにした。それに応じてきたのは、若い夫婦で、フランシスは妻と交流を深めていく。 …サラ・ウォーターズなので…(お察しww) と思ってたら、やっぱりサラ・ウォーターズだった。 まぁ、そこのところはおいておいて、大戦終了後のあらゆる価値観が根底から覆る中の混乱が、足元から登ってくる冷気のようで怖い。その中で必死に抗おうとしているフランシスの姿は潔く見える。 が、それも虚構といえなくもない。
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第一次世界大戦後の1922年。ロンドン近郊のカンバーウェルのお屋敷に住むフランシスの一人称で話は進む。 彼女の住む地区は上流で元は裕福だったらしいが、今は母親と二人で使用人も雇えない貧しい暮らしとなっている。 お屋敷の2階を貸して収入を得ることにした母娘に、レイとリリアン夫婦が申し込んで来て住み始める。 ---あらすじ終わり レイは、なんていうんだろう、ちょっと嫌だけど憎めない感じの男性。 その友人であるチャーリーも同様。 一方の妻であるリリアンはよくわからない。悪い人じゃなさそうだけど。フランシスより少し年下らしい。見た目も愛らしい?? だんだん親しくなっていていくうちに、フランシスはリリアンに恋心を抱く。 そしてなんだかこそばゆいというか、純情な恋物語が始まったと思ったら、あるパーティからぐっと二人の距離が縮まるどころか一気に官能小説のような...。 この部分はちょうど電車で座って読んでいて、思わず隣の人の目線が気になった。 ここまでが第一部。 第二部は恋する二人の高揚感に、もう読んでいられないような、この後事件が起こるのが明らかなので読まずにはいられないような感じだった。 二人は一緒には住んでいるが、同性なので関係を公に出来ないし、リリアンはそもそも結婚してるしで、焦れったいとというか障害がある恋なので、ますます二人は盛り上がる。 旅行先でリリアンがフランシス書いた手紙の内容といったら。ねえ。 で、リリアンの衝撃の告白で上巻終了。
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上巻と下巻ではかなり趣が違います 女性間のロマンスから殺人事件に… ただ 殺人を犯した意図は明らかにされていません、それに女性二人がその後 どうなったかも… そういう色々と謎を残したまま終わってしまいます ですが、そこがまた魅力になっているような気もします 下巻は一気読みでした…
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サラ・ウォーターズ最新刊。前作『エアーズ家の没落』が出たのが2010年(しかも品切れになっている……何たることか!)なので、随分と間が開いてしまった。正直、次の邦訳は出ないのではと不安だったので、まずは新作が刊行されてほっとした。 本作は第一次大戦直後の英国を舞台にした作品。東京...
サラ・ウォーターズ最新刊。前作『エアーズ家の没落』が出たのが2010年(しかも品切れになっている……何たることか!)なので、随分と間が開いてしまった。正直、次の邦訳は出ないのではと不安だったので、まずは新作が刊行されてほっとした。 本作は第一次大戦直後の英国を舞台にした作品。東京創元社の公式サイトでは『ミステリ』に分類されているが、上巻では主人公と下宿人の妻とのラブロマンスがきめ細かく描写されている。時代的にも社会的にも、また、片方が既婚者という立場的にも隠すしかない立場で、秘められた恋心が一気に燃え上がり、逢瀬を重ねる様子は読んでいてちょっと恥ずかしくなるほどw 下巻巻末の解説を先に読んだところ、上巻とはがらりと雰囲気が変わるそうなので、続きが楽しみだ。因みに、上巻のラストの台詞は、展開としてはかなりベタながら、下巻への『引き』としては完璧。
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