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教養としての認知科学 の商品レビュー

4.2

13件のお客様レビュー

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2024/07/15

面白かった。要所要所で実際にトライできる課題と共に知見が示されるので、納得しやすい。認知科学に興味を持っていなくても生きるうえで大事な知識も多く得られ、このタイトルはふさわしかった。

Posted byブクログ

2023/09/25

「教養としての」という枕詞がついた本は、大体、難しい内容をわかりやすく噛み砕いてくれた本が多いと思っているが、本書はなかなか、そうはいきません。 私なりの解釈を言えば、本書は、人間がハマってしまう「思い込み」についての本だという風にざっくり理解しています。しかし、それなりに難解。...

「教養としての」という枕詞がついた本は、大体、難しい内容をわかりやすく噛み砕いてくれた本が多いと思っているが、本書はなかなか、そうはいきません。 私なりの解釈を言えば、本書は、人間がハマってしまう「思い込み」についての本だという風にざっくり理解しています。しかし、それなりに難解。 「アハ体験」という、静止画を注意深く観察していても気が付かない、画の変化に気がついた時に愕然とするあの感覚の理屈を科学的に説明してくれる本とでも言うのか。 (実際、上記の事象を「チェンジブラインドネス」として本書でも紹介され、You Tubeで検索すれば沢山ヒットする) 知的好奇心を刺激される、様々な人の認知に関するエピソードが紹介されています。 人間の脳は、超・高性能だけれど、それでも人間は馬鹿な判断をしてしてしまうということが、多くの実例、実験結果で証明されていきます。 「自分だけは、正常に判断できている」というふうに感じている人が多いかもしれませんが、それこそ大きな誤解で、IQの高さとは別の次元で、人間は自分の脳に騙されます。 認知、思考、記憶なんかの、脳みその、知っていそうで知らなかった能力とその限界を、かなりアカデミックに説明してくれてます。 それはそれで面白いのですが、説明内容はなかなかに高度な理解力が必要と思われます。 それは、筆者もよく自覚していて、安易にわかりやすさに走るのではなく、長くなってしまっても正確に伝えようという真摯な姿勢の裏返しだとのことです。 ということで、ある程度の難解さはありつつ、認知という世界の入り口にして、幅広いテーマでの解説を網羅的に説明してくれる本書はおすすめです。

Posted byブクログ

2021/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表象と計算という伝統的な認知のフレームワークを見直し、「生物学的シフト」つまり知性を生物学的な特質をもつものとみなす考え方にもとづき、多様なリソースの中で絶えずゆらぎながら生成と変化を繰り返すという、知性の姿にせまる本。 認知科学は学際的である。心理学、哲学、言語学、教育学、人類学、生理学、神経科学、動物行動学、生態学、人工知能研究、ユーザインタフェース研究などが集まってできあがってきた。その共通の基盤が「情報」という考え方である。 大きな潮流としては「生物学的シフト」つまり知性を生物学的な特質をもつものとみなす考え方を基盤にしている。つまり、生成的であるという知性の特徴と変化、成長、発達できるという特質が背景にある。 情報という概念=表象と計算 情報の取得と保持=記憶。記銘、保持、想起。記憶を中心に知性はたえず生成される。人工的な記憶装置とは全く異なるイメージ。 記憶や知識ははかない。状況な中で絶えず揺れ動き、変容、組み換えを繰り返しながら動的に生成される。 情報の利用=思考。人間の思考は、さまざまなタイプがあるが、合理性、論理性とはかけ離れたものである。 表象=representation。 知覚表象 記憶表象=概念、エピソード、手続き的知識 有用な知識:一般性、応答性、関係性(特に階層性) 知識をうまく利用、表現するための試み ・構造をもった知識=スキーマ、フレーム、スクリプト ・プロダクションシステム=手続き表現のための基本的枠組み(アーキテクチャー)プロダクションルール(if-then形式で表現) ・ニューラルネットワーク=ニューロンとグリア細胞による並列分散処理(PDP)、コネクションニズム 錯視:表象を支持する現象 ・ミューラー=リア―の錯視:長さの異なる代理物。育った環境によって世界が変わってみえる ・カニッツァの三角形:三角形という見えないものが見える ・ネッカーの立方体:アイデンティティが不成立 文の理解は単語と文法だけでは説明できない。状況=外延的次元の理解の必要性 記憶 ・記憶はつながりである 想起、検索方法 感覚記憶:アイコニックメモリ、エコイックメモリ 短期記憶: ビット:二進数一桁、つまりゼロと1だけで表せる情報=場合の数が2の場合。。例:男女の区別 一般に情報量は、2を底とする場合の数Nの対数。log2Nで表現できる ・自由再生 ・手がかり再生 ・再認 チャンキング 長期記憶 ・エピソード記憶:時間順 ・概念:意味的な関係による組織化。例:入れるものと入れられるもの ・手続き的知識:行為、運動。例:文法も 短期記憶から長期記憶に移行させるには ・リハーサル:復唱 ・精緻化:推論を行うことで、与えられた情報に何らかの別の情報を付け加えること。カテゴリー情報、物語法、場所記憶法 符号化特定性原理 チェンジ・ブラインドネス 構造写像理論:対象と属性と値 表象は断片化されており、外の世界と相互作用をする 思考 ・推論:演繹、帰納、仮説推論、類推。与えられた情報から別の情報を生み出す ・問題解決:現状と望んでいる状態の不一致の解消。初期状態、目標状態、オペレータ、オペレータ適用制約。ハノイの塔 ・意思決定 ヒューリステッィクスの活用:山登り法 問題表象 効用、期待効用、再認ヒューリスティックス、 直近ヒューリスティックス、最良選択ヒューリスティックス、 利用可能性ヒューリスティックス、代表性ヒューリスティックス(カテゴリー判断、プロトタイプ、社会的ステレオタイプ、サンプリング) 確証バイアス 批判的思考: 主張の明確性、根拠の有無、根拠の種類、根拠と前提の関係、根拠の得られ方、代替仮説の検討、 トゥールミンの議論の図式。主張、根拠、保証(主張と根拠の関係性)、保証の妥当性、反論、再反論・限定 実用的推論スキーマ:許可のスキーマ、社会契約制における利得ー対価のスキーマ 人間の推論は文脈に依存する 洞察=ひらめき よい試行の発生頻度は、問題解決を続けるうちに徐々に増加していく 知覚的シンボルシステム:身体化しているので、 記号接地問題が起きない 世界への表象の投射 ・世界が覚えている ・世界が問題を変える インタープレイによる認知の拡張。外化 拡張された心概念

Posted byブクログ

2020/08/05

人間の「物事に対する認知」におけるプロセスや、それによって生まれる「思考のクセ」を様々な学問から科学的に証明している本。 【学び】 ・物事に対する認知  -表情フィードバック   └ある感情状態になると表情や身振りに出ると言われるが、これは逆だという主張 ◎セルフマネジメント...

人間の「物事に対する認知」におけるプロセスや、それによって生まれる「思考のクセ」を様々な学問から科学的に証明している本。 【学び】 ・物事に対する認知  -表情フィードバック   └ある感情状態になると表情や身振りに出ると言われるが、これは逆だという主張 ◎セルフマネジメントには理想的な感情により生まれるアウトプットを意識することが大事なのでは? 例)疲れていてしんどい→笑顔でせっせとこなしていく  -記憶定着   └接触回数の多さと意図的な記憶想起の連続 ◎意識の連続は無意識を生むが科学的に証明された    -記憶保持   └情報にどのような操作、処理を行ったか    …精緻化(せいちか)という   └他人が行う精緻化よりも自分が行う精緻化を行った暗記方法の方が成績が良くなる    …自己生成効果という ◎自ら暗記方法を生み出そう  └思い出すべき対象と思い出すときの手がかりが一致しているほど思い出しやすくなる原理  …符号化特定性原理 ◎その時の情景、時間、感情を付随して記憶すると効果的 →鍵が定位置の置き場になかった時、昨日の出来事を振り返って記憶から辿る行為はまさにこれ     -記憶想起   └構成的記憶: どこかから得た情報から全くないことが作り出される、記憶が捏造される ◎デジャブ    ・思考のクセ  -利用可能性ヒューリスティクス: 発生頻度の判断基準は思い出しやすさ  └思い出しやすい事象が、あたかも多く発生しているようにかんじられる現象   └繰り返し接触する→記憶に定着→想起が容易で高頻度→考えや価値観が形成される→確証バイアスに至る ◎マスメディアの特性上、めずらしい、変わったことに焦点を置き発信するため、誤った信念による確証バイアスを生み出しやすい →現代に必要な思考: 批判的思考  -フレーミング効果   └同じ事象を別の表現を使うことにより選好基準が変わる現象 ◎100人のうち10人が生きるボタンと90人が死ぬボタン、本質は変わらないのに前者を選びたがるクセ  -プロスペクト理論   └効用は確実性を重視した保守的な選択をとるが、ネガティブな状況下ではリスクを追求する ◎パチンコで負け続けていて注ぎ込む、勝っていればすぐ止めるのと同じ  -生死が関わる危機的状況下では逸脱者に対して不寛容になる  ◎コロナでマスクしてない人に対して暴力的になるなどもまさにそう  -サブリミナル効果   └知覚できないほど繊細な刺激を与えることで無意識に選択、行動してしまう効果  -思考にゆらぎを与える重要性   └一貫した考え方で物事を処理するのではなく、様々な考え方を試行錯誤することで思考が発達する ◎謎解きは思考を発達させる ・拡張  -記憶を維持するための努力が不要になると、認知的なエネルギーの探索や推論など別の処理に向けることができる ◎議事録、タスク管理の重要性  -持っている道具によって脳の働きが拡張される ◎常に最新技術を身にまといたい 【NA】 ・笑って、はたらこう。 ・覚えてもらうためにたくさん会い、たくさん思い出してもらう機会を作る。→自分のクイズを出すなど? ・自分なりの暗記方法を見出そう。 ・批判的思考を常に持とう。 ・伝え方には気をつけよう。自身も表面的な文脈だけで判断せずその裏の意図まで読み取るクセをつける。 ・謎解き1日に1回解こう。 ・議事録、タスク管理はかかさずに。 ・ウェアラブル端末への投資にはいとわない。

Posted byブクログ

2020/06/10

認知科学を専門としない読者を対象に書かれたと思われる初学者にわかりやすい入門書。論旨と実例のバランスが素晴らしく、読者を飽きさせない。

Posted byブクログ

2019/06/04

四章くらいまではだいたい知っている内容 五章あたりからドライブし始めて、人間の進化の行く末にドキドキしてきます

Posted byブクログ

2019/05/21

『認知科学を学ぶならまずはこの本』 認知科学を非常にわかりやすく、また面白く書いてくれている本。といってもエンタメ方向に走っているのではなく、本当に知的好奇心を刺激してくれる本です。 他人に認知科学の基本を伝えたいという場合にも使いやすい本。この中からトピックを選択して話してもい...

『認知科学を学ぶならまずはこの本』 認知科学を非常にわかりやすく、また面白く書いてくれている本。といってもエンタメ方向に走っているのではなく、本当に知的好奇心を刺激してくれる本です。 他人に認知科学の基本を伝えたいという場合にも使いやすい本。この中からトピックを選択して話してもいいし、直接本をワタシても良い。 ■ 認知科学について知りたい! ■ 認知科学について教えたい! ■ ちょっと学問に触れてみたい! そんな人はまずこの本を開きましょう!

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2017/12/16

認知科学の入門書。門外漢の私でも読めるくらい平易に解説されてる。 ロボット工学、教育学、心理学、哲学など、いろんな分野を横断している分野で、それゆえに分かりにくい部分もあるけど、学ぶという機能の広さを感じられて、興味がわいた。 今後もこの分野をフォローしてみたいと思います。

Posted byブクログ

2017/07/02

大学の心理学の啓蒙書? 前半はなかなか頭に入ってこなかったが、後半は結構スムーズに読めた。 暗示を繰り返すと新たな記憶が作り出せるという実験から、この国の23日間拘留して取り調べることで「自白」が作り出せるという流れはかなり腑に落ちた。 その他、p. 208, 214, 258...

大学の心理学の啓蒙書? 前半はなかなか頭に入ってこなかったが、後半は結構スムーズに読めた。 暗示を繰り返すと新たな記憶が作り出せるという実験から、この国の23日間拘留して取り調べることで「自白」が作り出せるという流れはかなり腑に落ちた。 その他、p. 208, 214, 258など

Posted byブクログ

2017/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

おもしろい。「知性」という曖昧な概念を科学的に位置づけることができる。この本を踏まえた上で昨今のAI=人工知能の議論に目を向けると、また違う視点で見ることができそう。内容としては『サブリミナルインパクト』を既読だったため、驚きは大きくなかった。

Posted byブクログ