教養としての認知科学 の商品レビュー
*認知記憶について 馬の絵をなぜ人は描けないのか?理由の一つとして言語の発達が挙げられる。言語があることによって、馬についての認識はすぐに理解できるし相手に伝えられるため鮮明な描写の必要性がなくなる。 *確証バイアスについて 人は「こうだ。」と思う確証について都合のいい情報には...
*認知記憶について 馬の絵をなぜ人は描けないのか?理由の一つとして言語の発達が挙げられる。言語があることによって、馬についての認識はすぐに理解できるし相手に伝えられるため鮮明な描写の必要性がなくなる。 *確証バイアスについて 人は「こうだ。」と思う確証について都合のいい情報には目が行きがちだが、都合の悪いそれにはあまり目が行かなくなる。第一印象が人を決定づけるのもこれに関連する。 *虚偽の記憶について 人は外界からイメージやストーリーを植え付けられるとあたかも本当に自身がそれを経験したかのように記憶を作り出してしますことがある、しかも鮮明に。自白の強要などもこれに関連する。 *神戸児童殺人事件について この残虐な犯罪が起こった時、世論は少年犯罪の増加を根拠に少年法の厳罰化を訴えた。しかし実際少年犯罪は激減していた。これが起こった原因はメディアの役割と人の記憶に関連がある。メディアにとって希少価値のあるニュースを取り上げることはひとつの役割であって、それによって一般人はこのニュースを頻繁に目にするようになる、結果記憶として引き出しやすくなり類似のニュースなどをめにすると「やっぱり少年犯罪やばい」というような確証バイアスのもと厳罰化を訴えるようになる。
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借りたもの。 現在の科学で解明されている“認知”についてまとめたもの。 それが導き出すのは人間の「知性」の姿だった。 人間の知覚するもの、記憶しているものが、いかに儚く不確かであるかを、実験データの紹介と解説と共に、丁寧に解き明かしていく。 ケース毎に章立てされ、章の末には補足や...
借りたもの。 現在の科学で解明されている“認知”についてまとめたもの。 それが導き出すのは人間の「知性」の姿だった。 人間の知覚するもの、記憶しているものが、いかに儚く不確かであるかを、実験データの紹介と解説と共に、丁寧に解き明かしていく。 ケース毎に章立てされ、章の末には補足や他参考文献も充実。 認知にはバイアスがかかり不公平であること、人間の知覚するものがいかに限定的で、限界があることが分かってくる。 (本田真美『医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン』/ http://booklog.jp/item/1/4334036899 も参考になる) 個人を特定するにも関わる、記憶が実はあやふやで、外部情報などから記憶の書き換えなども起こりやすいという事も。 (冤罪などが生まれる原因、日本の検察での長期拘留と閉鎖的な空間での尋問が疑似記憶などを生み出す危険性について、「ポール・イングラム事件」ローレンス・ライト『悪魔を思い出す娘たち―よみがえる性的虐待の「記憶」』/ http://booklog.jp/item/1/4760117288 など) また、「人間とは思考し、論理的な生き物である」と思っていたが、実は「人間の思考は論理的ではない」ものだった…… 使われている用語には、科学(一般的に理系と目される)だけでなく、哲学、心理学(文系)からの用語などもあり、人間が歴史の中でもいかにこの問題に疑問を持っていたかがわかる。 そして、文系的な分野だったそれらが今、科学的な統計をもって解明が試みられている。 これらの解明から、昨今の人工知能研究についても考えてしまう。人間の記憶(儚く、ネットワークの繋がり上で、その場で想起される)と機械の記憶(メモリ容量の問題)の根本的な違い、ネットワーク上で表象する概念を、機械で再現できるか、など。 応用は広がる。
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[関連リンク] 知の科学へようこそ『教養としての認知科学』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2016/07/post-7e1a.html
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