マンモスのつくりかた の商品レビュー
クローン・マンモスに「現実味」を感じるかどうかは別として、技術的には突破可能な状態に近づきつつあり「マンモス」の復活は現実になりつつあることがよく理解できた。 完全なるマンモスのクローンはかなり難しいようだ。そこで本書ではマンモスのクローンを作成する目的を「生態系の回復」として...
クローン・マンモスに「現実味」を感じるかどうかは別として、技術的には突破可能な状態に近づきつつあり「マンモス」の復活は現実になりつつあることがよく理解できた。 完全なるマンモスのクローンはかなり難しいようだ。そこで本書ではマンモスのクローンを作成する目的を「生態系の回復」として「脱絶滅」という視点から、どのようにマンモスに近い行動や社会性を持つゾウをシベリアで増やすか、という方向から「完全でないクローン」にチャレンジする。すでに準備段階にあるマンモスの飼育環境や論理と法制度や悪影響についても触れられている。また飼育環境におけるストレスから発生するエピゲノムの問題は避けて通れない点など、現実感のある話題がほとんどで一気に読み終えた。 くわえて琥珀の中の昆虫から恐竜のクローンを作成するといった空想科学についても一通り触れている。たとえば「ジュラシックパークは不可能」という事実の説明は、文章はこれみよがしでなく「実際に試してみた。できない」という自身の経験から説明があるので好感が持てる。つまりはクローンを単なる技術として捉えて「できる・できない」という内容ではなく、目的を達成することの重要性を説き、「リスクを許容して一歩踏み出すべきである」と結論する。 マンモスだけでなくクローン技術全般についてもよく理解できた。 https://twitter.com/prigt23/status/1054703523949031424
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脱絶滅(De-Extinction)の最先端を、堅苦しくない文章と、科学的、倫理的、経済的、あらゆる視点からの考察を交えて紹介してくれる好著。 ただ残念なことに、結論としては、マンモスのクローン作製の実現の可能性は小さく、絶滅した生物の復活には、戻し交配か、ゲノム編集による絶滅種に“似た特徴”を現存種の中に蘇らせる程度が現実的だという。 もちろん、これは現時点の生物科学力を持ってしのてことであるが、無傷の細胞の確保の困難さ、DNA情報だけでは分からないことや、仮に復活させたとしても生活していく環境の問題やら、周辺への影響の考察など、科学の分野だけでない様々な障害あることが、次々と紹介されていく。『ジュラシックパーク』は夢の夢、ということがだんだん分かってくる。 一方で、そうした多大なるハードルの存在を知りながらも、絶滅種の復活による“種の多様性”の回復や、絶滅種が担っていた役割の復活によって、よりよい生態系を生み出そうという崇高な想いには、大いなる賛辞を送りたくはなる。 でも、やはり。。。 それって、人間のエゴでしかない、ということも分かってくる。絶滅種が 「恐ろしい病気の治癒物質を持っていたり」 と期待するが、そんな為に蘇らせて欲しいとは、マンモスもモアもドードーも思わないだろう。 「きれいな海を保つためにきわめて重要だったりしたら?」 それは人間が汚染したことの尻ぬぐい? ならば絶滅種の復活の前に、汚染源を止める活動をしたほうがよいのでは、と思ってしまう。 おそらく、ゲノムの設計図の解析や、遺伝情報の研究は、絶滅種の復活以外に、もっと別の発見を伴うことがあるから、さらなる探求・発展を止めることにはならないだろう。すでに、 「マンモスの毛深さを指定(ロード)するDNA配列を突きとめたうえで、現存するゾウのゲノム配列を変えてもっと毛深くすることは可能だ」そうだ。 個体そのものを復活させずとも、必要な形質を持った種を誕生させればこと足りる、とも言う。それが、いずれは 「損なわれた生態系を復元、回復」に繋がり、「生態学的な相互作用の復活こそが、わたしの考えでは、脱絶滅技術の真価」となるのだろうか。 読んでいて、脳裏に浮かぶのは、ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つというギリシャ神話の怪物キメラの姿でしかなかった。
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進化生物学者で古代生物のDNA解析の第一人者である著者がマンモスのクローンを作るためにはどうすればいいかを、解説しています。絶滅種と似た種のDNAをかけ合わせてクローンを作る工程は、実際にできてしまうのではないかと錯覚してしまいそうですが、実際に野生環境に放すためにクリアすべき問...
進化生物学者で古代生物のDNA解析の第一人者である著者がマンモスのクローンを作るためにはどうすればいいかを、解説しています。絶滅種と似た種のDNAをかけ合わせてクローンを作る工程は、実際にできてしまうのではないかと錯覚してしまいそうですが、実際に野生環境に放すためにクリアすべき問題にも触れていて、クローンの必要性を考えさせられます。
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絶滅動物をクローン技術を使って再生させようと真剣に検討。 興味深く読んだけど真面目すぎて面白いとは言えなかった。 途中、何度か眠ってしまった。
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絶滅は生命の一部である。そう述べられている。それでありながら、脱絶滅、すなわち絶滅した種を再び蘇らせるということが、どういう条件ならいけそうなのか。倫理と技術をいったりきたり。 脱絶滅とは、しかし時計の針を戻して祖先の間違いを正す手段ではなく、よい未来を能動に生み出すのだそうだ...
絶滅は生命の一部である。そう述べられている。それでありながら、脱絶滅、すなわち絶滅した種を再び蘇らせるということが、どういう条件ならいけそうなのか。倫理と技術をいったりきたり。 脱絶滅とは、しかし時計の針を戻して祖先の間違いを正す手段ではなく、よい未来を能動に生み出すのだそうだ。絶滅に向かっている種を遺伝子組み換えで環境変化に耐え、生息域を拡大できたら…って、これ、よい未来か? そこにあった別の生き物がいることがよい未来なんじゃないだろうか。 あえてもう一度書くが、絶滅は生命の一部である。うまく行った種は残り、うまく行かなかった(大抵の)種は絶滅する。そこに遺伝子操作側からアプローチするのは乱暴というかチートというか、どうにも引っかかる。 マクロ経済学が、結果的には経済の全容を予期も把握も出来ないように、生物多様性というのもまた、何かの耐性とかそういうものだけじゃないんだろうなあ、と思う。人類も含めて、本書で語っている範囲以上のたくさんの何かがあっての絶滅だ。絶滅という生命の一部はさわらないほうがいい。遺伝子組み換え食品に怯えながらマンモスや恐竜に焦がれるなどナンセンスの極みだ。こと、遺伝子操作に関しては僕はコンサバティブである。マンモスの作り方を研究するのは大いに結構だが、研究したら、やっぱり実践したくなるだろう。けど、マンモスは、氷漬けに感動するぐらいにしておきたい。
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面白いし、わかりやすい。マンモスをはじめとする絶滅した種を、再び蘇らせるための生物学的な手法ばかりでなく、「脱絶滅」がもたらすものや、復活した種にどのように生活圏を与えるか、といった視点まで幅広い。絶滅種の復活に関連して、何が可能で、何は難しいか、何が必要で、問題は何かを整理する...
面白いし、わかりやすい。マンモスをはじめとする絶滅した種を、再び蘇らせるための生物学的な手法ばかりでなく、「脱絶滅」がもたらすものや、復活した種にどのように生活圏を与えるか、といった視点まで幅広い。絶滅種の復活に関連して、何が可能で、何は難しいか、何が必要で、問題は何かを整理するためにはよい本。 一方で、ちょっともやもやする。 本書で語られるバイオテクノロジーは、マンモス復活以外に使いみちがいっぱいある。病気の治療や予防にも使えるし、農作物の改良にも使える。世界を変える技術だ。そういうことをすべきかどうかという論理的、哲学的な問いかけは別にして、マンモスより先に考えるべきことがたくさんあるんじゃない?という気がする。天文学や考古学などと違い、単にロマン、で片付けられない、 ちょっと生臭い技術であるがゆえのモヤモヤ。だいたい、絶滅した動物を復活させる金があったら、絶滅しそうな動物の保護に金を使ったほうがいいのではないだろうか? もう一つ。たとえばネアンデルタール人の復活が可能だったとして、ぼくはネアンデルタール人として生まれたいだろうか? アジア象にマンモスを生ませることが可能だったとして、アジア象の子供は、マンモスではなくて、アジア象として生まれたほうがやっぱり幸せなのではないだろうか? 滅びたマンモスが口をきけたとしたら「ほっといてくれ」と言いはしないだろうか? 幅広い観点から「脱絶滅」を語る本書だが、「脱絶滅」される当事者の意見は聞いてくれない。
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ゲノム工学、クローン技術を用いて、絶滅した動物をこの世に蘇らせること(「脱絶滅」)はできるか? こんなSFみたいな取組みの最前線を、専門家が一般のド文系人間にも分かりやすく解説してくれている一冊。 そもそも脱絶滅を行う意義は? どんな品種なら可能か? どのような技術を用いて可能...
ゲノム工学、クローン技術を用いて、絶滅した動物をこの世に蘇らせること(「脱絶滅」)はできるか? こんなSFみたいな取組みの最前線を、専門家が一般のド文系人間にも分かりやすく解説してくれている一冊。 そもそも脱絶滅を行う意義は? どんな品種なら可能か? どのような技術を用いて可能か? 最初の一体を蘇らせる具体的なステップは? その後、数を増やし、野生環境に戻すには? 倫理的、生態学的、その他問題はないのか? ・・・等、「脱絶滅」に関する様々な障壁と、その乗り越えられる可能性や論拠を幅広く紹介している。 著者自身がマスコミ等からあまりにもしょっちゅう「マンモスは復活できるんですか?」と聞かれるがゆえに、その答えとして本書を著したという。 そのため、私のようにズブの素人でもなんとか理解できるよう平易に、かつ楽しく読めるよう執筆されているのがまず嬉しい。 この分野の完全な素人からすると、何となくDNAやらゲノムやらが解析できるようになって、クローンも生み出せるようになっているなら、そのうち達成できるんじゃない?ぐらいに考えていたが、さにあらず。 詳細な説明は本書に譲るとして、各局面でこんなにも高い高いハードルが聳えているとは思わなかった。 そもそも、過去に生息していた生物と完全に同一な種を蘇らせることはどうやっても不可能で、目指すべきは現存する近縁種に絶滅種の形質を組み込むことが現実的な方法である、というのが現実的な手段だということ自体、目から鱗。 その他、考えてもみなかった様々な論点に言及していて非常に頭の体操にもなった。 取り上げている題材も、執筆態度も含め、良質な科学読み物だ。
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