あしたは戦争 の商品レビュー
「戦争」をテーマとしたSFの短編集だが、それぞれの作品に立ち現れてくる「戦争」は史実上の戦争、観念の戦争、未来の戦争など多種多様で切り口も多様だった。 鮮やかなオチが気持ちいい作品や作家の表現力に唸らせられっぱなしの作品もあり、エンタメとしてもとても優れた作品群だった。 また、戦...
「戦争」をテーマとしたSFの短編集だが、それぞれの作品に立ち現れてくる「戦争」は史実上の戦争、観念の戦争、未来の戦争など多種多様で切り口も多様だった。 鮮やかなオチが気持ちいい作品や作家の表現力に唸らせられっぱなしの作品もあり、エンタメとしてもとても優れた作品群だった。 また、戦争を緒言として社会システムやいわゆる「市民の平和ボケ」など、さまざまな物事に警句を発している作品も多く、戦争がいかに多様なものごとと絡み合い、様々なものが要因になり、さまざまなものの要因になっているかを一考させられた。
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中編、地球要塞/海野十三は1940年の作品。1970年を舞台に、1999年の金星から謎のメッセージを受けるところから始まります。60GHz帯の放送、成層圏航空機、第三次世界大戦など、戦後の作品と変わらないアイディアがたくさんでてくるのがすごいです。
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(このディストピア小説(含コミック)アンソロジーは次女の意外なお気に入り。普段は坂木司や辻村深月のような日常系のミステリを好むのに、このシリーズも中学生の時から繰り返し読んでいるらしい。お気に入りは「カンタン刑」)
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日本のSF作家による戦争をテーマとした短編のアンソロジー。その多くが、いつの間にか冗談のようにして始まる戦争をテーマにしており、より若い世代による『隣町戦争』にも同じテーマが連続していることを考えると、良くも悪くも「どこかで誰かが始め巻き込まれるもの」が日本人の多くに共通する感覚...
日本のSF作家による戦争をテーマとした短編のアンソロジー。その多くが、いつの間にか冗談のようにして始まる戦争をテーマにしており、より若い世代による『隣町戦争』にも同じテーマが連続していることを考えると、良くも悪くも「どこかで誰かが始め巻き込まれるもの」が日本人の多くに共通する感覚なのだろう。そこから一歩先に進んだものを描けるかが、ずっと課題なのかもしれない。 そうした中で小松左京の「召集令状」(1964)は戦後平和を謳歌する若者たちの下に戦前からの置手紙のような赤紙が届き始めるというあたりにぞっとする不気味さを感じさせる。そしてなによりも1929年に書かれた江戸川乱歩「芋虫」がえぐりだす人間の残酷さ。 しかし戦争というテーマに関してはむしろここ近年の若手SF作家たちの方がより切実感に満ちた作品を発表しているのではないか。このアンソロジーは、むしろ戦後日本の戦争イメージの貧しさを示しているともいえそうだ。
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乱歩から筒井・星先生まで、既読のものも有るが、「東海道戦争」などは多分40年以上前(当時は関西という地域さえ良く知らなかった)に読んだものだが、実に現代にもマッチしている。今のシン・コロナ騒動を見ていると、当時から日本社会の空気に支配された感覚を筆者は風刺対象として感じていたし、...
乱歩から筒井・星先生まで、既読のものも有るが、「東海道戦争」などは多分40年以上前(当時は関西という地域さえ良く知らなかった)に読んだものだが、実に現代にもマッチしている。今のシン・コロナ騒動を見ていると、当時から日本社会の空気に支配された感覚を筆者は風刺対象として感じていたし、21世紀の日本もその状況は全く変化していないと感じる。「ああ祖国よ」は収録を見ると読んでいるはずなのだが記憶にない。この短編は今読んでみれば判るが、少年には早いから記憶に残っていないのかもしれない。汨羅の淵に波騒ぎだの、七生報国だの、千人針だの小学生では訳が分からなかっただろう。他の作品(特にSF)も、当時よくこんな発想が出来たものだと感心しつつ、面白く読んだ。この「巨匠たちの想像力」シリーズは良さそうだ。他の巻も読んでみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
米国の大統領は基本、軍人。その5、60年代SFはほとんどが戦争テーマか、戦後の荒野が舞台だったが朝鮮戦争の講和懇願、ベトナムからの撤退で敗者の明察が含まれるようになった/日本に戦記物SFは少ない。が日本SF御三家は戦争を銃後で体験した世代。思春期に価値が逆転したルサンチマンが生んだ『東海道戦争』は裏に米軍に行使される恐怖。星作品は何もしてくれない米軍。小松は戦争の日常性。解説の斎藤美奈子は平成28年時点で「ひたひたと押し寄せる戦争」と現状を見る、平和主義でいたから隣国に侵略され財産人命を奪われているのに。
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戦争関係の短編集 江戸川乱歩の「芋虫」は、圧巻だね。戦前(太平洋戦争直前)に書かれた海野十三の作品も面白い。
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召集令状 / 小松左京 著 戦場からの電話 / 山野浩一 著 東海道戦争 / 筒井康隆 著 悪魔の開幕 / 手塚治虫 著 地球要塞 / 海野十三 著 芋虫 / 江戸川乱歩 著 最終戦争 / 今日泊亜蘭 著 名古屋城が燃えた日 / 辻真先 著 ポンラップ群島の平和 ...
召集令状 / 小松左京 著 戦場からの電話 / 山野浩一 著 東海道戦争 / 筒井康隆 著 悪魔の開幕 / 手塚治虫 著 地球要塞 / 海野十三 著 芋虫 / 江戸川乱歩 著 最終戦争 / 今日泊亜蘭 著 名古屋城が燃えた日 / 辻真先 著 ポンラップ群島の平和 / 荒巻義雄 著 ああ祖国よ / 星新一 著
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いろんな作家さんたちの、戦争にまつわる短編集。好きなものもあれば、そうでもないものもあり。筒井康隆はやっぱり表現が苦手。星新一は鋭いが後味が軽い。手塚治虫と江戸川乱歩はやはりもう別格だと再確認。好きだったのは2話目の異次元からの電話のやつ。人の行動は、思想よりも人情に基づくべきな...
いろんな作家さんたちの、戦争にまつわる短編集。好きなものもあれば、そうでもないものもあり。筒井康隆はやっぱり表現が苦手。星新一は鋭いが後味が軽い。手塚治虫と江戸川乱歩はやはりもう別格だと再確認。好きだったのは2話目の異次元からの電話のやつ。人の行動は、思想よりも人情に基づくべきなのだ。
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手塚治虫作品が読みたくて借りる。 小松左京/筒井康隆両氏の作品が印象的。 SFは好まないジャンルなので小松左京作品は読んだことがなかったが、「召集令状」は秀逸だった。 筒井康隆氏もはじめて読んだ。 テンポよく、面白おかしいが、強烈に恐ろしい。 あっという間に読んだ。 この2...
手塚治虫作品が読みたくて借りる。 小松左京/筒井康隆両氏の作品が印象的。 SFは好まないジャンルなので小松左京作品は読んだことがなかったが、「召集令状」は秀逸だった。 筒井康隆氏もはじめて読んだ。 テンポよく、面白おかしいが、強烈に恐ろしい。 あっという間に読んだ。 この2作だけでも十分だった。
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