寺田寅彦 科学者とあたま の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
物理学者、随筆家の寺田寅彦の入門編という位置付けの本。 自分の中では外山滋比古の本を読んでいるような感覚になりました。あ、褒めてます。 この本はなぜこの項目が取り上げられたのか背景などは存じませんが、確かに今でも通用する箴言はありましたが、そこまで感動・感銘を受ける箇所はなかったです。 「科学の中等教科書は往々にしてそれ自身の本来の目的を裏切って、被教育者の中に芽生えつつある科学者の胚芽を殺す場合がありはしないかと思われる。」「科学教育は・・・(中略)・・・法律の条文を暗記させるように教え込むべきではなくて、自然の不思議への憧憬を吹き込む事が第一義ではないか。」 教科書や授業はつまんないこと多いですしね。 「津波と人間」、「読書の今昔」は琴線に触れました。
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青空文庫にほとんどあるのだけど、それとは別に立派な本になっていると嬉しく思う。 【収録作品】 ・線香花火 ・科学者とあたま ・宇宙線 ・「手首」の問題 ・化物の進化 * ・烏瓜の花と蛾 ・津浪と人間 ・読書の今昔 * ・団栗 ・物売りの声 ・涼味数題 ・浅草紙 * ・自画像 ・蓄...
青空文庫にほとんどあるのだけど、それとは別に立派な本になっていると嬉しく思う。 【収録作品】 ・線香花火 ・科学者とあたま ・宇宙線 ・「手首」の問題 ・化物の進化 * ・烏瓜の花と蛾 ・津浪と人間 ・読書の今昔 * ・団栗 ・物売りの声 ・涼味数題 ・浅草紙 * ・自画像 ・蓄音機 「烏瓜~」の蛾を怖がる花嫁って夏子さんのことなんだろうな。
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私が私淑している寺田寅彦の本。 この人の頭の中を一度覗いてみたい。この人が見てる景色を見てみたい。きっと全く違う世界が広がっているのだろうと思う。知識の量によって入ってくる情報の量が変わると聞くので、普通の人が何気なく見過ごしている日常の中でも寺田寅彦ほど博学な人は些細な物事から...
私が私淑している寺田寅彦の本。 この人の頭の中を一度覗いてみたい。この人が見てる景色を見てみたい。きっと全く違う世界が広がっているのだろうと思う。知識の量によって入ってくる情報の量が変わると聞くので、普通の人が何気なく見過ごしている日常の中でも寺田寅彦ほど博学な人は些細な物事から多くの発見をし、いろんな考えや思いが巡るのだろう。 特に「浅草紙」は私の大好きな話。1枚のありふれた浅草紙からエマーソンのシェークスピア論やラスキンの剽窃問題論が思い起こされ、人も紙も作りが同じであることに彼は気がつく。 「価値のある独創は他人に似ないという事ではない。」「最大の天才は最も負債の多い人である。」「どんな偉大な作家の傑作でも――むしろそういう人の作ほど豊富な文献上の材料が混入しているのは当然な事であった。」 全ての人はあらゆる他人から影響を受けて、その切れ端で自分が作られている。同じように浅草紙もいろんな家庭のゴミ箱から集められた古紙やぼろきれで作られている。 浅草紙のような荒い紙は原料となる古紙やぼろきれがよくこなされずに残っているが、原料をよく精選しよくこなしよく磨けば、きめ細やかで美しい上質な紙となる。 人間も、沢山の人からいろんな部分を貰い受け、不浄なものを取り除いてよくこなされていてはじめて“上質”な人と言えるのだろう。 他人の意見を切り貼りしただけじゃない、それをもっと細かくして他と混ぜ合わせてよくこなしてようやく自分の意見が出来上がるのだろうかと思った。
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★SIST読書マラソン2017推薦図書★ ★科学道100 / はじまりは疑問 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11600209
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この人の興味の幅には感心する。 様々な分野の人間から偉大な人物として慕われていることに納得できる。 文章にも嫌みが無く、少し古めかしい部分を差し引けば、とても読みやすい。ちょこちょこと顔を出すユーモアもいい。 書物から他の商品へ繋がる「読書の今昔」、涼しさから自由へ広がる「涼味数...
この人の興味の幅には感心する。 様々な分野の人間から偉大な人物として慕われていることに納得できる。 文章にも嫌みが無く、少し古めかしい部分を差し引けば、とても読みやすい。ちょこちょこと顔を出すユーモアもいい。 書物から他の商品へ繋がる「読書の今昔」、涼しさから自由へ広がる「涼味数題」・・・、いつも身近な事柄から事象の起因へと広がっていく。 〈思考する〉とはこういうことなのだなあ。
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寺田寅彦さんについて多くを知らない。 それでも、昭和感漂うノスタルジアを、深い知識をもとにして自由に展開する文章を、存分に味わえるエッセイ(雑著としたほうがあっているかも)です。 「団栗」なんて、短編小説を読んでいるようでした。 STANDARD BOOKS シリーズ、コ...
寺田寅彦さんについて多くを知らない。 それでも、昭和感漂うノスタルジアを、深い知識をもとにして自由に展開する文章を、存分に味わえるエッセイ(雑著としたほうがあっているかも)です。 「団栗」なんて、短編小説を読んでいるようでした。 STANDARD BOOKS シリーズ、コンセプトからして素敵すぎる…集めたくなりますねー
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すごい。先見の明。 後半になるにつれて好み。「自画像」などは 人工知能や種々のセンシング技術にもつながる未だ新鮮な未来の話だ。
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「科学の歴史はある意味では錯覚と失策の歴史である。偉大なる迂愚者うぐしゃの頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である。 頭のいい人は批評家に適するが行為の人にはなりにくい。すべての行為には危険が伴なうからである。けがを恐れる人は大工にはなれない。失敗をこわがる人は科学者にはなれない。」...
「科学の歴史はある意味では錯覚と失策の歴史である。偉大なる迂愚者うぐしゃの頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である。 頭のいい人は批評家に適するが行為の人にはなりにくい。すべての行為には危険が伴なうからである。けがを恐れる人は大工にはなれない。失敗をこわがる人は科学者にはなれない。」 「科学者とあたま」を読んでふと道垣内先生の法律家の在り方を述べた話を思い出しました。「歴史上、世の中を変えた法律家はいないので、たかが法学と突き放すぐらいで良いと思います。世の中を変えているのは、哲学・政治・経済・科学技術ですね。せいぜい、そのような哲学者たちを邪魔しない法律家になってほしいです。法律というのは、どちらかというと社会の変化を邪魔しがちですからね。規制をすることにより、正常な発展が阻害される例はあまたあります。もちろん、あまり無茶なことが起きると困るので、『ここから先は駄目』という遠巻きの規制は必要ですが、必要以上の規制にならないように、自由度の高い社会にするという心懸けが必要でしょう。 では、法律学は人生を賭ける価値がないものかというと、そんなことはありません。社会にとって不可欠な存在であり、その操作に熟達している人はいつの社会でも必要な存在です。たかが法学、されど法学です。」
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冒頭の線香花火に科学者故の文章力を感じる。中谷宇吉郎の文章に、寺田寅彦との線香花火の実験についての記載が出てくることが興味深い。また、岡潔が団栗を絶賛していた。
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