1,800円以上の注文で送料無料

文系学部解体 の商品レビュー

3.5

15件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/02/05

国立大学に限った話。タイトルにある件の是非はわからないが、日本に余裕がなくなっていることと大学が抱える課題はわかった。 文系科目は世界最先端を目指すとか性能やコストを競うとか、そういう価値観に合わないマッタリ感があるので、理系と同じよう枠組みでの評価はキビシイね。

Posted byブクログ

2022/01/11

最後まで読んでみるとタイトルがミスリードであることが理解できる。正しくは「国立大学の文系学部解体」であって、少なくとも本書では私立大の文系学部に対する文科省の施策はほとんど語られていない。戦前の旧制大学のほとんどが理系学部しかなかったことは知らなかったが、確かに今や文系学部の授業...

最後まで読んでみるとタイトルがミスリードであることが理解できる。正しくは「国立大学の文系学部解体」であって、少なくとも本書では私立大の文系学部に対する文科省の施策はほとんど語られていない。戦前の旧制大学のほとんどが理系学部しかなかったことは知らなかったが、確かに今や文系学部の授業料は国立と私立とでそんなに差がないわけだから、人文系の学問を学びたければ私学に行けばよいとの文科省の考え方は理解できなくもない。国立大に文系学部を残せという主張は、国立大の授業料をもっと安くしろ、という主張とセットでないと説得力がないわな。 残念ながら本書で語られている事(施策がうまく行っていないとか、成功した例がないなど)が事実なのか著者の単なる感想なのかが事実で検証されていないので、全体として著者のノスタルジーとルサンチマンにしか聞こえない。もう少しロジカルに論を進めないと著者のお仲間以外には広く共感は得られないと思う。

Posted byブクログ

2020/12/13

文系学部全体の解体に関する話かと思ったらそうではなかった。 教員の需給の調整弁たる需要に柔軟に調整するための、教員養成系大学の『新課程』が廃止されることに対しての異論が書いてあった。 文系学部、特に国公立のものは必要最低限で、私立も優秀な人材を集めて教育するだけに必要な補助金だ...

文系学部全体の解体に関する話かと思ったらそうではなかった。 教員の需給の調整弁たる需要に柔軟に調整するための、教員養成系大学の『新課程』が廃止されることに対しての異論が書いてあった。 文系学部、特に国公立のものは必要最低限で、私立も優秀な人材を集めて教育するだけに必要な補助金だけに限るべきだと思う。 著者が大学に行くことで明確な何かの役に立つものでは無いという意見には賛同する。 具体的な技術なりを身に着けるのであれば、専門学校とか高専とかに行けばよい。 https://seisenudoku.seesaa.net/article/472425862.html

Posted byブクログ

2019/12/14

大学が職業訓練校化するのには反対。 技能や知識を身につけることも大事だけど、大学という場には、それだけではない意義が有る。 問題があるとすれば、その意義を学生に理解させられていないことじゃないか?と僕は思う。

Posted byブクログ

2019/01/22

今年の6月に文科省から出された通達がきっかけとなり、大学関係者ではない人びとのあいだでも大きく議論されるようになった国立大学の文系学部廃止について、そこに至るまでの経緯、背景にある事情、および筆者の考える問題点が綴られている。 一般の読者に主眼を置きながらも、幅広い読者層を想定...

今年の6月に文科省から出された通達がきっかけとなり、大学関係者ではない人びとのあいだでも大きく議論されるようになった国立大学の文系学部廃止について、そこに至るまでの経緯、背景にある事情、および筆者の考える問題点が綴られている。 一般の読者に主眼を置きながらも、幅広い読者層を想定しているのではないかと思う。その点、第5章と終章では一般の読者にはなかなか伝わりにくい(理解されんくい)だろうなと思われるようなことも書かれている。室井先生も自覚的にそうしているのだろうから、それはそれでいいと思うけど。

Posted byブクログ

2018/02/18

文科省による国立大学への文系学部(特に人文学系)再編要請に対して、国立大学改革の実情や歴史、そして大学の役割等の観点から、その要請がいかに不合理なものであるかが、横浜国立大学教授の著者によって喝破されている。 社会で「役に立つ」学問の教育に力を注ぐべきと政府は煽るが、国が定めた...

文科省による国立大学への文系学部(特に人文学系)再編要請に対して、国立大学改革の実情や歴史、そして大学の役割等の観点から、その要請がいかに不合理なものであるかが、横浜国立大学教授の著者によって喝破されている。 社会で「役に立つ」学問の教育に力を注ぐべきと政府は煽るが、国が定めた「あるべき」像に隷従した果てに社会の進歩が見えてこないのは私だけではないはず。 本文でも言及されている通り、進歩とは前に進むことであり、「前」がどちらなのかが分かっていなければ逆走だってあり得る。人・コミュニティ・組織・地域・社会によって「前」は多様であるはずだから、一人ひとりが考え、対話し、うっすら見えた「前」に向けて行動していくことを促す場づくりが大学の役割だと思う。 社会で正解とされていることを疑ってみる目を養い、正解は一つではないこと、むしろ正解などないことを経験・学習したうえでそれぞれのフィールドに飛び立つ。このような人が本当の意味で社会で「役に立つ」のだと感じた。

Posted byブクログ

2017/11/13

横浜国大の先生が近年の国立大学への文科省の方針を容赦なく斬る。痛快であるものの、実際にこの方向へ国が進んでいるということは憂慮すべき状態なんだ!「国家や企業に奉仕する人材を育てるのではなく、人間を育てる」とは全くその通りで、分かり易い文科省批判の言葉だろう。「人類が長い時間をかけ...

横浜国大の先生が近年の国立大学への文科省の方針を容赦なく斬る。痛快であるものの、実際にこの方向へ国が進んでいるということは憂慮すべき状態なんだ!「国家や企業に奉仕する人材を育てるのではなく、人間を育てる」とは全くその通りで、分かり易い文科省批判の言葉だろう。「人類が長い時間をかけて蓄えてきた文化や藝術、思想や哲学、自国や他国の歴史に愛着も興味ももたず、ひたすら株式会社化した大学や社会に自分を最適化させ、ただ自分の人生をグローバル資本主義におけるさまざまな課題解決だけに捧げる学生しか育てない」とはその通りである。大学における理系重視はその方向を助長させているに違いない。国立大学の学長に理系が増えてきたことも繋がってくる。世界の大学ランキングは理系のことでもある。物事を深く考える文系の軽視は物事を考えることを衰えさせる方向にあることは間違いない。「大学設置基準の大綱化」という用語はよく目にしたが、自由化のこと、つまり、ざっくりさせた!それだけ大学の質は低下したということになるだろう。

Posted byブクログ

2017/08/15

以前、娘の受験のために、いろんな大学のカリキュラムを調べていたことがあった。その中に、ずいぶん面白い取り組みをしている大学があり、ここなら、学生も自分の興味を深く掘り下げて勉強できるだろうと思ったのだが、次年度でその課程がなくなる、と書いてあり、残念に思ったものだ。 この本は、ち...

以前、娘の受験のために、いろんな大学のカリキュラムを調べていたことがあった。その中に、ずいぶん面白い取り組みをしている大学があり、ここなら、学生も自分の興味を深く掘り下げて勉強できるだろうと思ったのだが、次年度でその課程がなくなる、と書いてあり、残念に思ったものだ。 この本は、ちょっと前に話題になった本で、やっと手にとってみたのだが、読み進めていくうちに、まさに、ここに書かれているのが、私が以前見つけた大学のことだったとわかり、大変驚いた。よい教育をしていても、問答無用でつぶされるなんて・・・。 今、大学は本当に難しい局面にきている。大学で働いているので、内情はよくわかる。この本を読んで、「まさにそのとおり!」と思う人もいるだろうし、「何を甘いことを・・・」と思う人もいるだろう。どちらにも一理ある。でも、やはり、大学は、「今すぐ役に立つ勉強」だけをするところであってはいけないと思う。今の社会の枠組みの中でしか通用しないことだけしか知らなければ、これから何が起こるかわからない未来に対し、有効な対策も打てなければ、見たこともない素敵な世界を作ろう、というような意思が生まれることもないだろう。世の中の、様々な価値観を知り、相対的に自分の立ち位置を見つめることができなければ、異質なものを排除する方向でしか物事を考えられなくなるだろう。今すでに、あちこちでそういう事例が増えてきつつあることを感じてしまう。 とはいえ、多分まだできることはある。この本の最終章も希望を残して終わる。あきらめない人が居る限り、なんとか持ちこたえるだろうし、もしかすると、大学が、大学という場を超えて、違う形で知を守っていくことになるのかも知れない。そういう「余地」がない社会は、息苦しいばかりだ。

Posted byブクログ

2016/12/10

必要でなくても神学部や学科を作るとお金がもらえる。環境、情報、国際とかの学部はどれもうまくいってない。結局文理融合なんてできない。どこもかしこも破綻している。 大学の先生はたこつぼ化しており、それが改善されることはない。隣の先生が何をやっているかなんて興味ない。 大学の受益者は学...

必要でなくても神学部や学科を作るとお金がもらえる。環境、情報、国際とかの学部はどれもうまくいってない。結局文理融合なんてできない。どこもかしこも破綻している。 大学の先生はたこつぼ化しており、それが改善されることはない。隣の先生が何をやっているかなんて興味ない。 大学の受益者は学生ではなくて、社会や国といった共同体。

Posted byブクログ

2016/07/31

某国立大学で客員教授をやったことがあるので,大学の教官と話す機会があり,「手続き型合理性も基づく余分な仕事」が山のようにある実態を垣間見た経験がある.諸悪の根源は文科省の官僚たちだが,大学としてお金を絞られることは嫌なので,しぶしぶ対応している.無駄なことだ.文科系学問に存在する...

某国立大学で客員教授をやったことがあるので,大学の教官と話す機会があり,「手続き型合理性も基づく余分な仕事」が山のようにある実態を垣間見た経験がある.諸悪の根源は文科省の官僚たちだが,大学としてお金を絞られることは嫌なので,しぶしぶ対応している.無駄なことだ.文科系学問に存在する「隙間」や「ノイズ」の重要性を,少なくとも一定数の大学教官が認識していることに安堵しているが,それらを無視するような政策を押し付ける行政の力を打破する手段の構築が必要だと痛感した.

Posted byブクログ