ヒカルの卵 の商品レビュー
755 455P ★4.5・・・931 森沢明夫 1969年千葉県生まれ。早稲田大学人間科学部卒業。『ラストサムライ 片目のチャンピオン武田幸三』で第17回ミズノ スポーツライター賞優秀賞を受賞。著書に青森を舞台にした『津軽百年食堂』『青森ドロップキッカーズ』『ライアの祈り...
755 455P ★4.5・・・931 森沢明夫 1969年千葉県生まれ。早稲田大学人間科学部卒業。『ラストサムライ 片目のチャンピオン武田幸三』で第17回ミズノ スポーツライター賞優秀賞を受賞。著書に青森を舞台にした『津軽百年食堂』『青森ドロップキッカーズ』『ライアの祈り』があり、2011年、『津軽百年食堂』が映画化。映画『あなたへ』は小説版としてベストセラーとなる。『虹の岬の喫茶店』『あおぞらビール』『東京タワーが消えるまで』『夏美のホタル』など著作多数。 ヒカルの卵 (徳間文庫) by 森沢明夫 母ちゃんは、ふふ、と笑って目を細めた。 「読み終わったら、俺に回してくれ」 「今夜中には、きっと読み終わるよ」 母ちゃんと俺の共通の趣味は読書で、小説、エッセイ、評論、哲学、歴史……何でもこいの乱読だ。だから、昔から気に入った本はお互いに交換し合っている。 そう決めて、何気なく道端に視線を落とすと、タンポポやホトケノザなどの雑草たちが花を咲かせていた。人々が当たり前に踏みつけている雑草たちも、よく見てやれば、ひとつひとつの形はとても神秘的で美しい。そもそも動物も植物も、それぞれが個性的かつ 深淵 な美をまとっているものだ。この世のすべての生物は「命の器」として最適な形をしているのだから、美しくないワケがない。そして田舎は、そんな「美」の宝庫なのだ。 ぼくが陶芸作品に込めている「美」の本質とは、すべて自然界から学んだものだった。だから、ぼくの作る器は「命の源=食べもの」を盛ったときにしっくりくるし、美しく映えるのだ──と、なるべく自画自賛するようにしている。誰も 褒めてくれないから。 「卵って、すごいんだぞ。人間に必要な栄養素のほとんどすべてを含んでんだから」 「全部じゃなくて、ほとんど?」 「んだ。残念ながら、ビタミンCだけ入ってねえの。卵から 孵ったひよこは、自分の体内でビタミンCを作れっから、必要ねえんだ」 「自分の投げかけたものだけが、自分に返ってくるんだよね?」 「んだ。父ちゃんが、そう言ってた」 「わたし、それを忘れないように、ヒカルの卵を写真に撮っておく。んで、待受画像にする」 ムーさんの笑みから、淋しさの色が少し薄まった気がした。 「俺のこと、ムーさんって呼んでくれ。地元じゃ、みんな、そう呼んでっから」 「ムーさん?」 もしや……。 「んだ。俺、アニメのムーミンに似てっから、子供の頃からそう呼ばれてんだぁ」 まさかの、そのまんま、というやつか。 「分かりました。そう呼ばせて頂きます」 「うん。俺は、源さんって呼んでもいいかなぁ?」
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限界集落で卵かけご飯のお店を始める。いつでもハッピーな方にズレてるムーさん。何だかんだ言いながら協力してくれる村の人たち。いいなぁ。モデルとなったお店の“但熊さん”。いつか行ってみたい。
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誰も傷つかない。ただ、ただ、ほっこりとした田舎の農村に住む田舎の人達の温かいお話。 ありがちな話ではあるんですが、丁寧に書かれた文章が心地よくて、世界観にとっぷりと浸かってハマってしまいました。
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限界集落の村おこし、大好物のテーマです。 ただ、この作品の主人公のムーさんは ちょっと今までにないキャラクターでした。 ムーミンのようにのんびりしていて いつも誰かのために動くムーさん。 上手くいきすぎなのは予想通り。 それでも、ムーさんの性格もあって 温かい気持ちでのんびり楽...
限界集落の村おこし、大好物のテーマです。 ただ、この作品の主人公のムーさんは ちょっと今までにないキャラクターでした。 ムーミンのようにのんびりしていて いつも誰かのために動くムーさん。 上手くいきすぎなのは予想通り。 それでも、ムーさんの性格もあって 温かい気持ちでのんびり楽しく読める 森沢さんらしい作品でした。
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ずーっと気になっていて積読本が何冊もある初読み作家さん! とても良かった!面白かった! 自称ツイてる養鶏農家のムーさんが周りの反対を押し切り村に世界初の卵かけご飯専門店をオープン! 村の皆を笑顔にする為に、過疎の村を元気にする為に動き出したムーさんの計画は当初反対していた村民達の...
ずーっと気になっていて積読本が何冊もある初読み作家さん! とても良かった!面白かった! 自称ツイてる養鶏農家のムーさんが周りの反対を押し切り村に世界初の卵かけご飯専門店をオープン! 村の皆を笑顔にする為に、過疎の村を元気にする為に動き出したムーさんの計画は当初反対していた村民達の協力のもと飛躍、奇跡を起こす! なによりムーさんの人柄が良い! これがこの本の最大の魅力と勝手に思っている。 何か手を貸さずにはいられないムーさんの人間力が成功の元であろう。 どこか少し鈍感にも思えるムーさんだけど計画に抜かりはなく(大吉と直ちゃんに乗せられた感はあるが…笑)しっかりと軌道に乗せられたのはムーさんの卵と計画の力も大きい! 「裕福」と「幸福」は違う!…も、印象に残る言葉だった! 「誰かを笑顔に」…誰かを幸せにする為に自分も笑顔で生きる! ムーさんはまさに幸せの象徴だなぁ 心が温かくなりながら元気のエネルギーに満ちた森沢さんの小説、読んで良かった! これからもっとたくさん読んでいこう! 最近、好きだなぁと思う作家さんと次々出逢えてツイてるなぁー笑
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森沢明夫さんの作品。 今回もとても良かったです。 人の捉え方、優しさを見つけるのがとても上手いなと他の作品を読んでも思います。 後は人の弱さ、許す事も、学ばせてもらいます。 その本の世界で生きてみたいと思える作品ばかりです。 モデルとなった場所も行った事があり卵を使った美味しいプ...
森沢明夫さんの作品。 今回もとても良かったです。 人の捉え方、優しさを見つけるのがとても上手いなと他の作品を読んでも思います。 後は人の弱さ、許す事も、学ばせてもらいます。 その本の世界で生きてみたいと思える作品ばかりです。 モデルとなった場所も行った事があり卵を使った美味しいプリンを購入しました。また行きたいと思っていたお店がモデルとは!確かに美味しかったから納得です。
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ラストで裏切られないと信じて安心して読める。 話は期待どおりで面白い。 田舎を思い出して懐かしさにつつまれる。 ほっこりしたいならお勧め。
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モノの考え方が人とちょっとズレてて、しかも、それがいつもハッピーな方にズレてる愛すべき主人公。そして、まわりのこれまた愛すべき人々の視点で、次々と話が進んでいくこ気味良さ。 裕福と幸福は違う。あったかくなる作品。
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10月-14。3.5点。 田舎で養鶏場を営む主人公。限界集落の状況打破のため、ある商売を思いつく。大反対の幼馴染み、出戻りの同級生女子たちと頭を悩ませ・・・ 面白い、一気読みした。 二の手、三の手が上手いし、出戻り同級生やIターンの陶芸家やら、個性豊かなキャラクターが面白い。
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2023年79冊目 森沢明夫さん/「ヒカルの卵」 養鶏農家「ムーさん」が、限界集落の町おこしのために、卵かけご飯
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