クラウドクラスターを愛する方法 の商品レビュー
読み終えてから少し経ってからこの感想を書いているのだけど、わりと印象の薄い作品だったのかも、というのがひとつの感想。 中編が2つという構成の作品だったのだけど、表題作はものすごい事件が起こるわけではない日常の物語で、だけど小さな毒があちこちに潜んでいる。 仕事も恋愛もなんとなくう...
読み終えてから少し経ってからこの感想を書いているのだけど、わりと印象の薄い作品だったのかも、というのがひとつの感想。 中編が2つという構成の作品だったのだけど、表題作はものすごい事件が起こるわけではない日常の物語で、だけど小さな毒があちこちに潜んでいる。 仕事も恋愛もなんとなくうまくいかないアラサーの主人公・紗登子が、自分を捨てた(と思っていた)母と14年ぶりに再会したところから物語は始まる。 自分の恋愛がうまくいかないことを母との関係性のせいにしてしまいたくなったり、仕事と恋愛を公私混同してしまったり、彼女にはどこか境界線を曖昧にしがちなところがある。 そんな様々を含め、自分が産まれた家族や、自分が大人になって築いていく家族とうまくやることの困難さを描いている。 2つめの「キャッチアンドリリース」は小学校高学年の男の子と女の子が主人公。2人は棟違いの同じマンションに住んでいて、同じ塾に通っていて、そして片親の家庭であるという共通点がある。 多感な時期に差し掛かった彼らが、母と暮らしながらたまに父に会いに行ったり、父と暮らしながら祖母と仲良く過ごしたり、その中で性徴を感じる出来事に戸惑ったりしながら過ごしていく。 性的な変化に戸惑う描写が、何だか胸が痛んだ。変化していくことの恐ろしさは、子どもにも大人にもあるけれど、不安定なところに立っている子どもだとその恐ろしさもさらに大きい気がする。 こういう小さい毒が窪美澄節なのだけど、大事件が起きない分マイルドな印象で、だから読後の印象も薄かったのかもしれない。 厚みもそんなにない小説だったのでとても読みやすかった。さらっと読むにはぴったりでした。
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好きな作家である窪さんの作品。 クラウドクラスター=積乱雲というのを初めて知った。 内容としてはどうだったかな… 文章は相変わらず切ないセピアな描写が上手で切ない気持ちにはなったけど、とても感情移入するとか心が動くというよりかはさくさくと読んでしまった感じがする。
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素直になれない主人公がもどかしくもあり、共感するところもあり。 「理想の家族」をその中にいて実感できる人は、稀なんだと思う。
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理想の家族を夢みる人たちの、家族であることの現実や家族になることの困難と希望を描く2篇。 家族とは最も小さな集団でありながら、その維持や継続に困難さも持ち得る。損益を目的ともしないし、絆という言葉でも表せない不思議な共同体だ。登場人物たちも疑問を抱きながらも依存する。でもそれが家...
理想の家族を夢みる人たちの、家族であることの現実や家族になることの困難と希望を描く2篇。 家族とは最も小さな集団でありながら、その維持や継続に困難さも持ち得る。損益を目的ともしないし、絆という言葉でも表せない不思議な共同体だ。登場人物たちも疑問を抱きながらも依存する。でもそれが家族の在り方であり、時間の経過を共有するのが家族と思う。
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迷いくじらほどの衝撃はなかったけど。新しい家族を作りたいんじゃなくて、帰れる家族が欲しい ってなんか分かる。
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17/05/18 (35) クラウドクラスターはつまりはお母さんのことなのね。お母さんを愛する方法、か。むつかしいね。 ・私にも守護の天使がいるだろうか。 ベッドに横になって左手を天に向けた。守護の天使がいるのなら、手を握ってと心のなかで思う。ベッドの上には天井の木目模様があ...
17/05/18 (35) クラウドクラスターはつまりはお母さんのことなのね。お母さんを愛する方法、か。むつかしいね。 ・私にも守護の天使がいるだろうか。 ベッドに横になって左手を天に向けた。守護の天使がいるのなら、手を握ってと心のなかで思う。ベッドの上には天井の木目模様があるばかりだ。目を閉じると目の端から涙が流れて、耳の穴を濡らした。頭のなかに銀色のきらきらしたものが充満する。(P47 クラウドクラスターが愛する方法) ・「誰がどんなことを言ったって、さとちゃんが感じたことだけがほんとなんだよ。さとちゃんはね、もっとまわりに怒ったり怒鳴ったりしてもぜんぜんいいと思うよ。ときには荒れ狂う雨や風もないとね、青空は見えないもんなんだよ」(P140) ・ママが出ていった日、ばぁばは、クローゼットに隠れていた私を見つけて、私の前にしゃがんで言った。 「こういう日は大食いしてそのままぐっすり眠るのがいいのよ」(P167 キャッチアンドリリース)
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世の家族がみんなハッピーファミリーではなくて、もがいている。最初の話のさとちゃんの我慢ぶりが他人事ではなくつらい。
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家族であること、家族になることの困難と希望・・・か。 わかる部分もあるけれど、あまり共感したくない感じもするなぁ。 同じ状況になりたくないというか・・・w 普通とか、平凡とか、平常とか、一般的とか、認識にもよるけれど、そしてつまらなそうではあるけれど、そういうものって貴重だ...
家族であること、家族になることの困難と希望・・・か。 わかる部分もあるけれど、あまり共感したくない感じもするなぁ。 同じ状況になりたくないというか・・・w 普通とか、平凡とか、平常とか、一般的とか、認識にもよるけれど、そしてつまらなそうではあるけれど、そういうものって貴重だったりするのかもしれないな。
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キャッチアンドリリースの方が好き。 子どものヒリヒリ感がすごくあった。 ヒリヒリするけど、目が離せなくなる。
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窪さんの本は何冊か読みましたが、、いつもどこか揺さぶられる様な感覚を覚えます。 主人公のさとちゃんと同世代で、この物語も年末年始で、だから何かとてもリアリティを勝手に感じてしまいました。 元彼と一緒に住んでいた頃に「食器を洗ってくれるかな?」という一言さえ言えなくて思い悩み。 ...
窪さんの本は何冊か読みましたが、、いつもどこか揺さぶられる様な感覚を覚えます。 主人公のさとちゃんと同世代で、この物語も年末年始で、だから何かとてもリアリティを勝手に感じてしまいました。 元彼と一緒に住んでいた頃に「食器を洗ってくれるかな?」という一言さえ言えなくて思い悩み。 今の彼氏にも同じ様に小言に口をつぐみ、嫌いになるポイントが日々加算されはじめ、元彼の時と同じことを繰り返すことを危惧し。 何だか見に覚えがある気がしました。笑 家族という複雑な存在には私もけっこーひねくれた思いを持っているので、本文中の 自分が重そうに抱えている荷物を「ほかに、もっと重い荷物を持っている人はたくさんいるんだから。その荷物なんてまだまだ軽い方でしょ」とは言われたくなかったのだ。 …という言葉には思わず大きく頷いてしまいました。
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