ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日 の商品レビュー
前半は機械やソフトウェアによって、 単純作業だけでなく、創作活動まで コンピュータができるようになりつつあるという 例が豊富で面白く読めた。 後半は労働市場の話でイマイチ頭に入らず。
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労働市場は、労働者のスキルと能力の観点からは、常にピラミッド型をしていた。頂点の比較的少数の専門職と起業家は、創造とイノベーションに関わる仕事の大半に従事し、その他大多数の労働者は、比較的ルーティンな繰り返しの多い仕事に就いていた。経済の様々な部門が機械化され、自動化されるにつれ...
労働市場は、労働者のスキルと能力の観点からは、常にピラミッド型をしていた。頂点の比較的少数の専門職と起業家は、創造とイノベーションに関わる仕事の大半に従事し、その他大多数の労働者は、比較的ルーティンな繰り返しの多い仕事に就いていた。経済の様々な部門が機械化され、自動化されるにつれ、多くのルーティン労働者は、別のルーティン労働にシフトしていた。だが、ロボットや機械学習アルゴリズムをはじめとする自動化の波が、次第にこのピラミッドを底辺から蝕んでいる。そして、人工知能のアプリケーションが、徐々に高スキルの職業まで侵そうとしており、ピラミッドの頂点の安全な領域も時間とともに減っていく。教育訓練への投資は、縮小するピラミッドの上位領域へシフトさせようとするものだ。また、自動化の進行を食い止めようとするのも現実的でなく、政策に目を向けるしかない。最も効果的な政策は、ベーシックインカム、最低限所得保証である。ペルツマン効果により、最低所得が保証されれば、大きな満足感の得られる仕事をしたいと考え、安全な勤め口を辞め、よりリスクの高い起業を行い、経済をより動的で起業家精神に富んだものにする可能性がある。逆に、最低所得を保証すると、人は働かなくなる、という意見もある。働くことをやめることを選んだ人たちの判断は、すべて自己選択で、野心や勤勉さが足りない人間である。これらの人が働かないことによって、進んで働こうとする人たちの賃金は上昇するはずだ。
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日本経済新聞社 小サイズに変更 中サイズに変更 大サイズに変更 印刷 この一冊ロボットの脅威 マーティン・フォード著 多くの職が奪われる未来を考察 2015/12/6付日本経済新聞 朝刊 映画『ターミネーター』の暗澹(あんたん)たる未来像に比べるなら、本書で...
日本経済新聞社 小サイズに変更 中サイズに変更 大サイズに変更 印刷 この一冊ロボットの脅威 マーティン・フォード著 多くの職が奪われる未来を考察 2015/12/6付日本経済新聞 朝刊 映画『ターミネーター』の暗澹(あんたん)たる未来像に比べるなら、本書で描かれる近未来像は、一見遥(はる)かに穏やかなものだ。しかしそれは、その未来像が明るく楽観的なものだということを意味するわけではない。 もちろん本書は単純な技術批判ではなく、かといって単純な技術礼賛でもない。いろいろな技術の中で特に焦点があてられるのは、指数関数的な発展を誰もが実感している情報関連技術の総体である。 なお本書で「ロボットの脅威」といわれるものは、その種の自動化技術の全体が社会にもたらす問題点のことを指している。 例えばファストフード店での単純労働は、あまり高いスキルを持たない労働者の重要な受け入れ口の一つだった。しかし自動化が進めば、肉を焼いたり、注文を受けたりなどの作業がロボット・自動化技術に肩代わりされ、多くの労働者が職を失うと本書は危惧する。 しかも、本書の重要な論点の一つは、その種のいわば機械による人間労働者の駆逐が、情報関連技術の成熟に伴い、より予見困難で創造性や臨機応変性をもつ、高次のサービス業全般にまで及ぶかもしれないという重大な予想なのだ。円熟した自動化技術がたいていの人間労働を追い抜いてしまう。それには金融関係の仕事さえ含まれる。 だが、そうなると、極めて多くの労働者の職の安定性が脅かされることになる。情報技術はわれわれに多くの利便性を与えてくれたが、ある日気が付けば、自分がそれなりに普通にこなしていた仕事から追い出されるということになりかねない。 そうなると何が起こるのか。それはごく一部の圧倒的な成功者と大部分の失職者という、凄(すさ)まじい格差社会の出現だ。だが、労働者は働くからこそ、消費行動ができるようになる。つまり大多数が失職者になれば、未来は何も買えない人間が大部分という社会になる。図抜(ずぬ)けた大富豪とて、一家で千台もの自動車を買うことはない。 だが、それならそもそも何のために企業は先端的な情報技術で早く優れた製品を作り続けるのだろうか。これでは社会を自動化することの根拠自体が揺らいでしまう。著者は、主にハイエクの理論に依拠しながら、この大きな逆説をある程度補填できる社会哲学を、最後の方で提示している。それは社会に独特なセーフティネットを張るための構想だが、その際可能的な反論に対しても、著者は丁寧に答えている。本書は充分(じゅうぶん)な味読に値する良質の本である。 原題=RISE OF THE ROBOTS (松本剛史訳、日本経済新聞出版社・2400円) ▼著者は米国の起業家。ソフトウエア開発会社ファウンダー。著書に『テクノロジーが雇用の75%を奪う』。 《評》東京大学教授 金森 修
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第二次世界大戦後25年間続いた技術の発達に伴う企業と労働者に蜜月が1973年には終わりを告げ2013年までにインフレ調整後の労働者の所得は13パーセントも下落したと始まり、ロボットやICTそしてAIなどの近年の発達を紹介し、労働市場が脅かされていると警告、更に教育や医療にもなどは...
第二次世界大戦後25年間続いた技術の発達に伴う企業と労働者に蜜月が1973年には終わりを告げ2013年までにインフレ調整後の労働者の所得は13パーセントも下落したと始まり、ロボットやICTそしてAIなどの近年の発達を紹介し、労働市場が脅かされていると警告、更に教育や医療にもなどはそこで働く労働者だけではその仕組み全般に問題を投げかける。医療については現在の民間の保険を否定して政府管掌、ようするに日本方式が望ましいと書かれているのが印象的。テクノロジーにより労働市場が侵食されることをいわば告発(むろんラッダイト運動のようにテクノロジーを否定しているわけではない)する立場、人間はより創造的な仕事に向かうことができるなどと綺麗ごとではなく、現在も減少中の中間層がいなくなることで、購買層が減少しそもそも経済が成り立たないと力説し、ベーシックインカムを提唱する。AIなどの発達で働き方が変わるならそれに対応できるように自分自身を変えることはとても重要なことですが、社会の制度も変えていくことも合わせて考えていく必要があることを示唆します。今まで、そしてこれからのIT,AIそしてロボットの進化を経済や社会の観点から掘り下げた良本でした。ベーシックインカムの是非はよくわららないが目を向けることは重要だと思う。
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