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ある神経病者の回想録 の商品レビュー

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2016/01/31

ある朝に、女性になってみたらどんなに素晴らしいかという思いを持った男の回想録。そうした思いに病気のさまざまな症状が重なった結果、異様な妄想世界が作り上げられている。彼は今でいう統合失調症と診断されてはいたものの、しかし現にこれだけまとまりのあるものを理性的に書きあげている点で正常...

ある朝に、女性になってみたらどんなに素晴らしいかという思いを持った男の回想録。そうした思いに病気のさまざまな症状が重なった結果、異様な妄想世界が作り上げられている。彼は今でいう統合失調症と診断されてはいたものの、しかし現にこれだけまとまりのあるものを理性的に書きあげている点で正常であると言える。(実際に裁判でも、この手記を基に禁治産者宣告が解除されている。) 彼は本当は正常なのか、それとも異常なのか。そうした正常と異常の境界を問う格好の材料となる書物であり、理性的なものを強く打ち建てようとする西洋思想の中でも重要な書物。

Posted byブクログ

2015/11/19

『シュレーバー症例』として知られる一連の精神分析の元になった本。 シュレーバー本人の経歴を読めば解る通り、元々は高等教育を受けた教養ある人物だと思われる。事実、本書も論理的でしっかりした文章で構成されている……が、その中に、明らかに『オカシイ』ことが普通に混じっているのが凄い。何...

『シュレーバー症例』として知られる一連の精神分析の元になった本。 シュレーバー本人の経歴を読めば解る通り、元々は高等教育を受けた教養ある人物だと思われる。事実、本書も論理的でしっかりした文章で構成されている……が、その中に、明らかに『オカシイ』ことが普通に混じっているのが凄い。何と言うか、色々と圧倒される内容だった。

Posted byブクログ