戦後入門 の商品レビュー
敗戦国に共通した敗戦後の心理文化的推移(シベルブッシュ) 夢の国、目覚め、不純な勝利、勝者の精神、復讐と報復、再生、勝者からの模倣 太平洋憲章 1941/8 英米が戦争遂行のために発明した認識上の一大武器、第一次大戦後のウィルソンの平和14箇条を踏襲 枢軸国 ローマとベルリン...
敗戦国に共通した敗戦後の心理文化的推移(シベルブッシュ) 夢の国、目覚め、不純な勝利、勝者の精神、復讐と報復、再生、勝者からの模倣 太平洋憲章 1941/8 英米が戦争遂行のために発明した認識上の一大武器、第一次大戦後のウィルソンの平和14箇条を踏襲 枢軸国 ローマとベルリンが東経12度、13度と近かった ローマベルリン枢軸 国際連盟からの脱退除名は日本ドイツイタリアとソ連 スターリン自身が4国同盟に乗り気だったこともある 1943/11 大東亜会議、大東亜共同宣言 重光葵が準備 当時中華民国大使 ベルサイユ会議での日本 サイレント・パートナー 人種差別撤廃条項の提案をした 1945/9/18 朝日新聞 48時間発行停止 兵士の非行記事をたびたび載せたことと、米国の原爆投下にふれた有力政治家鳩山一郎の談話を掲載した 米国による原子爆弾の使用と無辜の国民殺傷つまり国内200都市無差別爆撃が、病院船攻撃や毒ガス使用以上の国際法違反、戦争犯罪であると鳩山は述べた 8/10の日本政府の対米非難声明とまったく同じ論理 原爆投下に関して、日本では長い間、うらみでも赦しでもなく、批判を示すことが投下した者に対する積極的なコミットを意味するという観点が示されなかった 下山判決 広島と長崎の被爆者5名が国を相手に損害賠償(原爆投下による精神的損害に対する慰謝料と米国の原爆投下を国際法違反と認定することをもとめて訴えた 1963 結審 原告の請求は棄却。しかし米軍による広島長崎への原爆投下は国際法に違反するとし、被爆者個人は損害賠償請求権を持たないが、原爆被害における国の責任は大きいと認定 こうしようと言える日本 ドーア 矢部宏治 日本はなぜ基地と原発をやめられないのか フィリピン マルコス政権を打倒した後の憲法改正1987で、米軍基地の撤廃を定める条項を盛り込み、憲法をよりどころにして、主権回復を成就 近年フィリピンは対中国の領土紛争を視野に米国と防衛条約 対等の関係 1991米比軍事基地協定が満了した後、フィリピン国内に外国軍事基地は許可されない アメリカ交渉団団長 リチャード・アーミテージ フィリピン マングラプス外相 フィリピンの米軍基地はフィリピンを守るためのものではないことがわかった 1966 マレーシアとのサバの領有権をめぐっての衝突 両国との国交断裂にまで発展した時、マレーシアの同盟国の英国は艦船を派遣したが、フィリピンの同盟国のアメリカはなにもせず
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加藤さんには『敗戦後論』という本がある。細かくは読んでいないが、今度の戦争で日本は加害責任を問われていて、それは否定しようのない事実だが、それに抵抗を示す日本人が多いのは、日本人犠牲者をまず悼むということをしていないからではないかという論であった気がする。本書はその『敗戦後論』で...
加藤さんには『敗戦後論』という本がある。細かくは読んでいないが、今度の戦争で日本は加害責任を問われていて、それは否定しようのない事実だが、それに抵抗を示す日本人が多いのは、日本人犠牲者をまず悼むということをしていないからではないかという論であった気がする。本書はその『敗戦後論』での弱点を克服しようとしたものである。結論から言えば、いわゆる平和憲法、第9条ができたときの理念、精神を生かすには、憲法を左に改正し、国際主義に立ってやるべきだということになろう。日本国憲法は戦後世界が、冷戦に到るほんの数年の平和の理念の一つの象徴、結晶であり、加藤さんは、その精神をもう一度とりもどすべきだというのである。ぼくも読んで感銘を受けたが、加藤さんは矢部浩治さんの『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか』の中の、フィリピンがアメリカの基地をすべて撤去した精神にならうべきだと考えている。それは対米従属をやめ、アメリカとの間に新たな関係をつくることである。この数年日本の対米従属ということは人々の常識化しつつあるが、安倍首相は人々の批判を意に介せず、むしろ強化をもくろんでいるようだ。本書でぼくがもう一つ感動したのは、アメリカの中で、戦後まもなく、原発を投下したことに対し、各界から反省が起こったことである。日本への原爆投下は本土決戦での犠牲を少なくするためであるという論がアメリカでは固定しているが、それは上のような反省論を封じこめるためであった。原爆投下はあくまでアメリカが、日本敗戦後のソ連に対抗して行われたものであり、戦争犯罪の一つであることは否定できない。それは、連合国の戦争理念を打ち砕くものであった。戦勝70年を祝う行事が中国やソ連で行われたが、良識があるなら、アメリカの原爆投下やシベリア抑留に目を向けるべきであった。600頁もの本であるが、いろいろ考えさせられることの多い本であった。
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「著者の集大成」などと思いたくないけど、「戦後」と「今に対する危機感」が強く伝わってくる。読み応え十分。
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