ミラノの太陽、シチリアの月 の商品レビュー
イタリアンカップチーノをどうぞは とても面白い知識的な本であったので他の本も期待したけれど、それ以外の彼女の本はどうも馴染めない。読みにくい文章。 文章をうまく書こうという意思が伝わり分かりづらい。
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好きな文体です。登場人物の描写が実に良いです。全部の話が大好き。強いて言うなら「祝宴は田舎で」です。理由は読んでて涎が出そうなくらい料理が美味しそうだから(笑)読後、イタリア繋がりだからか、須賀敦子さんの本を読み返したくなりました。
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相変わらず文章が美しい。 エッセイなのに創作みたい。 内田洋子さんが描くと、普通の人も普通の生活も、途端に尊いものになる。
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「ミラノに仕事相手の信用を得たかったら、まずは箱を構えたらどうですか」と通信社の仕事で挨拶に行った先の編集局長に言われ、ミラノで住まいを構えた『ミラノの箱』。場所を探している矢先にある大学教授から自宅を半分にするので、買わないかど誘われ、景色のいい方の半分を買ったのだが、手入れ、...
「ミラノに仕事相手の信用を得たかったら、まずは箱を構えたらどうですか」と通信社の仕事で挨拶に行った先の編集局長に言われ、ミラノで住まいを構えた『ミラノの箱』。場所を探している矢先にある大学教授から自宅を半分にするので、買わないかど誘われ、景色のいい方の半分を買ったのだが、手入れ、改修が必要だった。だけど、まさか窓の大きさ一つ変えるにも役場の許可がいるなんて。 イタリアには観光で行ったことがある。昔からの石畳に石造りの建築、洞穴のような地下を利用したレストラン。そんな何百年前の街の作りを壊さないように大切守ってこそ、“らしさ”が保たれるんだなあと感動した記憶がある。日本では古都京都の町中だって、木造に鉄筋、瓦、その他色々思いのままの建物でバラバラだ。道は年度末の工事でいつもデコボコのアスファルトだし。 家にまつわる物語が多い(エッセイだけど)。 『ディアーナの守りたかったもの』はミラノから車で1時間もかけて農村の何百年前からの荘園領主の家に帰る、売れっ子コピーライター、ディアーナの話。その家は豪華でもなければ凝った装飾もない、ただ頑丈なだけの作りだが、ヴェルディが生まれた農村の自然に魅了され愛した人と選んだ家だった。 鉄道の駅舎をそのまま自宅にしている三人家族の話『鉄道員オズワルド』も素敵だ。北イタリア、リグリア州のある海辺の地味な町。一日に電車が二本しか止まらない駅で、オズワルドと妻は駅員として働いている。そして住宅手当を半分にしてもらうかわりに駅舎の使っていない部分を住宅として改修して住ませてもらっている。自分たちで敷石を貼ったり、カーテンをつけたりと工夫した、ささやかな幸せな住まいだ。 一番好きなのは『鏡の中のナポリ』だ。内田さんのご友人が住む、ナポリに16、17世紀からある由緒ある家。門を入ると住んでいる人さえ、何処まで続いているか分からないほど大きな家。その建物の中に百世帯くらいが住んでいる。そんな大きな家なのにその友人の家の台所はこじんまりとしていて、スプーンもフォークもお皿もコップも椅子も一つとして揃っているものはないが、皆年代物で味わいがある。 その家はナポリに代々伝わる名家で、界隈に潜む様々な問題解決……例えば孤児の身元を引き受けるなど…に手を貸し、大人たちはいつも忙しい。だからそこの娘マリーナは暗い部屋がいくつもある家の中に居場所はなく、門から玄関に続く回廊のような鏡の間で妹と二人いつも空想の世界で遊んでいた。マリーナが恋したのは同じ建物の上のほうの階に住む、使用人の息子。彼の家はマリーナの家と違い、一瞬で家の中が見渡せてしまうが、家族写真が所狭しと貼られた明るい家だ。だけどその狭い家はまるで彼自身の人生みたいだとその青年は思っている。明るいが吹けば飛ぶような軽さ。それと対照的に歴史の重みがあり、大きいが、光と影が見え隠れするマリーナの家。二人は互いに自分たちに無いものに惹かれたのだった。 家だけでなく、人も味わいがある。ミラノの運河地域で洋品店を長く営む婦人。彼女は地域の顧客の誕生日や家族構成、好みや記念日を細かくノートにつけていて、いつも気の利いた商品を気の利いたタイミングでセレクトしてくれる『六階の足音』。 イタリアの胃袋を支えている農村のレストランでは、地元の食材を使った熱々の料理やワインをお腹いっぱい食べさせてくれるだけでなく、お客の老人が休めるベッドまで二階に用意しているという心配り。ベッドカバーの刺繍もカーテンの刺繍も壁の絵も全て手造りで、それが窓から見える青空と合っている『祝宴は田舎で』。 イタリアはセンス良くて、お洒落で人が皆おおらかだと思っていた。だけど、お洒落というのは自分を捨てて人の真似をして新しいものを身につけることではなく、自分の周りの歴史や環境や人や自然を大事にすることで育まれるものであり、不便なものでもそのまま不便さを楽しむくらいの気持ちがイタリア人を温かく、おおらかにしているのではないかと思った。 歴史があり、心があり、光があり、影があり、色彩があり、そして人間が滋味に溢れていた、絶品のエッセイ集だった。
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コロナ前、新婚旅行で訪れ明るく楽しい国、イタリアにまた旅したい!そんな気持ちで手に取った本。 もちろんその様な典型的(というと語弊もあるが。。ラテン系の)イタリアのイメージを思い出させる話もあったが、意外にも淋しさが漂う村、閉塞感を感じる狭い世界の話も少なくなかった。これらが全て...
コロナ前、新婚旅行で訪れ明るく楽しい国、イタリアにまた旅したい!そんな気持ちで手に取った本。 もちろんその様な典型的(というと語弊もあるが。。ラテン系の)イタリアのイメージを思い出させる話もあったが、意外にも淋しさが漂う村、閉塞感を感じる狭い世界の話も少なくなかった。これらが全て実話というのが信じられないような、羨ましいような、エッセイ集だった。
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土地と人の懐に入り込む能力?性質?が常人離れしていると思う。観察して伝える力も、これはジャーナリストならではか。 ホントかいな!とたまに感じるけれどこの際どうでも良いと思える面白さだった。 『祝宴は田舎で』パワフルなおばさま、会場に着くまでがもう楽しい。次々にたたみかけるパスタ...
土地と人の懐に入り込む能力?性質?が常人離れしていると思う。観察して伝える力も、これはジャーナリストならではか。 ホントかいな!とたまに感じるけれどこの際どうでも良いと思える面白さだった。 『祝宴は田舎で』パワフルなおばさま、会場に着くまでがもう楽しい。次々にたたみかけるパスタの数々の描写も楽しい。
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内田洋子さんの本は、「ジーノの家」に続いて2冊目。前作に負けず劣らず、とても楽しい読書ができた。 エッセイとなっているが、短編小説のよう。というか、エッセイと言おうが、小説と呼ぼうが関係ない。とにかく読みものとして面白い。 10の短編が収められている。どれも素敵な話だが、特に気に...
内田洋子さんの本は、「ジーノの家」に続いて2冊目。前作に負けず劣らず、とても楽しい読書ができた。 エッセイとなっているが、短編小説のよう。というか、エッセイと言おうが、小説と呼ぼうが関係ない。とにかく読みものとして面白い。 10の短編が収められている。どれも素敵な話だが、特に気に入ったのは、「シチリアの月と花嫁」、それと、「鉄道員オズワルド」。 「シチリアの月と花嫁」は、シチリア島での知り合いの、結婚式と披露宴の様子を描いたもの。両家の人たちの絆や、幸せが伝わってくる話だけれども、小説の最後の部分、披露宴で、月明かりを浴びて踊る人達を、本当に幻想的に書いている。この場面の描写は、本当に美しいと感じた。 「鉄道員オズワルド」は、ラスト数行の、驚きと感動。書くとネタバレになるので、書きませんが、涙が出てきそうだった。
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これはエッセイではなく短編小説集でしょう。鉄道員はまだ読めましたが、あまりに作り過ぎていてちょっと現実離れ。思い入れも過剰になると嫌味に思えます。
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イタリア旅行の前後に読んだ本。 旅行で訪れるイタリアとはまた違った、地に足のついた生活者としてのイタリアが綴られる。よくこんなに溶け込み、そこにいる人を生き生きと描けるものだと感心した。どの短編にも物語があり、ただのエッセイともまた違って良かった。
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何より文章と話の構成力と、当地の人と交流する力と、引っ越しする回数に圧倒される。 「駅舎を一生守ることを、貴君への特別業務として命ずる」 「音で始まったご縁でしょう。今度は、ぜひ音を出してもらえるような贈り物がいいと思いますわ」 イタリアに行ったことがないからか、ややイメージ...
何より文章と話の構成力と、当地の人と交流する力と、引っ越しする回数に圧倒される。 「駅舎を一生守ることを、貴君への特別業務として命ずる」 「音で始まったご縁でしょう。今度は、ぜひ音を出してもらえるような贈り物がいいと思いますわ」 イタリアに行ったことがないからか、ややイメージがわかなかったのは否めない。
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