プラットフォーム の商品レビュー
オトラジシリーズ。 初のウェルベックさん作品。 過激な描写が多い中、にじみ出るような開放感と自由な雰囲気がとても魅力的だった。 燃えるような恋、性、そして…
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発達した西側文明の中で、アジアを性的に搾取しながらも幸福の絶頂にあった人々が、突如強烈な暴力によって足元を救われる。この話はいったいどこに行き着くのかと思い始めたところで、暴力によって一気に世界が破壊されるコントラストがすごい。 そんなに金を稼いで何になるのかという気持ちにはなる...
発達した西側文明の中で、アジアを性的に搾取しながらも幸福の絶頂にあった人々が、突如強烈な暴力によって足元を救われる。この話はいったいどこに行き着くのかと思い始めたところで、暴力によって一気に世界が破壊されるコントラストがすごい。 そんなに金を稼いで何になるのかという気持ちにはなる。 この本の出版が2001年で、2001年9月にアメリカ同時多発テロ事件があり、その後も2002年10月のバリ島爆破テロ事件などたくさんのイスラーム過激派によるテロ事件が起こっている。 https://ja.wikipedia.org/wiki/テロ事件の一覧 こちらを見ると90年代から目立ち始めているが、特に21世紀に入ってからの件数がものすごい。
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西欧先進国、発達した資本主義が生み出す孤独かより一層の欲望は、セクシャルのはけ口を海を越えた外へ向かわせるのかね。 そしてそこにはもちろん反感もある。 うんそりゃーテロが蔓延するわ。 全方位にケンカを売るウェルベック氏、これで読了したのは4作目(服従、闘争領域の拡大、セロトニ...
西欧先進国、発達した資本主義が生み出す孤独かより一層の欲望は、セクシャルのはけ口を海を越えた外へ向かわせるのかね。 そしてそこにはもちろん反感もある。 うんそりゃーテロが蔓延するわ。 全方位にケンカを売るウェルベック氏、これで読了したのは4作目(服従、闘争領域の拡大、セロトニン)これが一番面白かった。
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他者を避けることが最高の贅沢となった、個人主義が行き着く果てを描いた世界の物語。難解かと思いきや内容は非常に分かりやすく、絶望と諦観に彩られた筆致はリーダビリティが高い。物語性もあり、前半の観光ツアーからの出会いと性、そして欧米市場に第三世界の買春ツアーを持ち込むことで、西側世界...
他者を避けることが最高の贅沢となった、個人主義が行き着く果てを描いた世界の物語。難解かと思いきや内容は非常に分かりやすく、絶望と諦観に彩られた筆致はリーダビリティが高い。物語性もあり、前半の観光ツアーからの出会いと性、そして欧米市場に第三世界の買春ツアーを持ち込むことで、西側世界の価値観を揺るがそうとした男女がやがて悲劇的な結末へと流れ落ちていくさまは非常に読みやすく面白かった。多くの男が感じている現代女性に対する恐怖感が、はした金で娼婦を買う方向へ流れていき、その部分のニーズや解消されない性欲を第三世界の買春で埋めるというアンサーはかなり過激である。誰しもが倫理観や嫌悪感でブレーキをかける所を露悪的に暴きだしていく筆致は人を選ぶだろうが、無視できないリアリティに満ちているのだ。結局は生きにくさを性にすがりつくことで凌ごうとする、上手く生きられない人々のための物語であると思う。
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往来堂書店「D坂文庫2015冬」から。選んだ理由は選者の「日本にこんな意地悪な小説家は絶対いない!」というコメント。 さして取り柄のない仏人公務員ミシェルは、親の遺産でタイ行きのパッケージ・ツアーに参加し、少女を買う。そして、周囲のひんしゅくを買いつつ、そのツアーで知り合ったヴァ...
往来堂書店「D坂文庫2015冬」から。選んだ理由は選者の「日本にこんな意地悪な小説家は絶対いない!」というコメント。 さして取り柄のない仏人公務員ミシェルは、親の遺産でタイ行きのパッケージ・ツアーに参加し、少女を買う。そして、周囲のひんしゅくを買いつつ、そのツアーで知り合ったヴァレリーと恋に落ちる。帰国後はヴァレリーと一緒に彼女が勤める旅行会社で売春ツアーを企画するが、最後は…。 この小説の中でミシェルとヴァレリーは、もう数えきれないくらいセックスをして、その度にミシェルは西洋の性の退廃を、ひいては西洋文明の没落を嘆く。 少々乱暴なつかみ方ではあるけれど、西洋の高度資本主義への批判・警告を性を通して描いた、と言えるのかもしれない。 とは言え、この表現の仕方に読者はどこまでリアリティを覚えるんだろう。この小説にリアリティを感じる人は、この作家にのめり込むだろうし、反対にリアリティをまったく感じない人は、もうこの作家の作品を手にすることはないのだろう。もっとも、リアリティ云々の前に、官能小説とも言える性描写に辟易として、本書を投げ出す人も決して少なくないとは思うけれど。
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所々で唐突に西洋型社会に対する毒舌が出てきて、何度か吹き出してしまった。ペシミスティックでいてユーモアがある。この作家は初めてだったが、読みやすく感性も合う気がする。 厭世的でありながら性に関しては屈折もなく、初めから素直というのはある意味新鮮だった。おかげで、作中で主人公が展...
所々で唐突に西洋型社会に対する毒舌が出てきて、何度か吹き出してしまった。ペシミスティックでいてユーモアがある。この作家は初めてだったが、読みやすく感性も合う気がする。 厭世的でありながら性に関しては屈折もなく、初めから素直というのはある意味新鮮だった。おかげで、作中で主人公が展開する性の捉え方を結構面白いと感じながら読んでしまった(笑)。
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ウェルベック 4作目の小説(邦訳は『素粒子』に続いて 2作目)。資本主義と自由主義が行き着く先をポルノ紛いの筆致で描くとともに、イスラムに対する嫌悪感を隠そうともしない表現でスキャンダラスな話題を撒き、ウェルベックの名を世界に知らしめた一冊といってもいいだろう。どちらかというとム...
ウェルベック 4作目の小説(邦訳は『素粒子』に続いて 2作目)。資本主義と自由主義が行き着く先をポルノ紛いの筆致で描くとともに、イスラムに対する嫌悪感を隠そうともしない表現でスキャンダラスな話題を撒き、ウェルベックの名を世界に知らしめた一冊といってもいいだろう。どちらかというとムスリムからの脅迫とか、怒り狂うフェミストからの批判とかの話題が先行してしまっている印象で、今まで読んだ 3作の中では一番面白くなかった。ただし、享楽的なリゾートが一瞬で暗転する、その瞬間は見事だ。
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観光について考える旅の中で読んだ。 ダメダメな主人公、都合の良いヒロイン、卑俗なセックスシーン、筋の通った偏見を語る嫌な登場人物たち。あちこちに来たるべき暴力への伏線が散りばめられており、ウエルベックだしハッピーエンドはないわな、とソワソワしつつ読み進めると、カタストロフと諦念...
観光について考える旅の中で読んだ。 ダメダメな主人公、都合の良いヒロイン、卑俗なセックスシーン、筋の通った偏見を語る嫌な登場人物たち。あちこちに来たるべき暴力への伏線が散りばめられており、ウエルベックだしハッピーエンドはないわな、とソワソワしつつ読み進めると、カタストロフと諦念が待っている。 共感はできないが、世界はこのようなものなのかもしれないと感じもする。
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文明化が過剰に行き届いてしまった先進各国における「心の満ち足り」への遠い距離。 それが性愛の方面から露悪的に描かれた物語。 生きる積極的な理由がないことは自死への積極的な理由としては足りない・・・
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衝撃から未だ覚めない。終盤まで延々つづく叙述。ときおりその主体は主人公から脇役に譲られる。しかしそれは補足のように存在していて物語への効果は大きくない。読み終わってから2週間、未だ混沌のなかにいる。
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