春画入門 の商品レビュー
このところ春画ブームらしきものが来ているようだが、十年前に刊行された本作が先駆けになったのだろうか。日本文化の中で春画は平安、室町の時代からありふれてあった(需要があった)もので江戸時代になって隆盛した浮世絵文化と共に爛熟した歴史的経緯が分かりやすく解説されている。
Posted by
一流の浮世絵師として認められる条件は「春画が描ける」ということであった。今の時代の規範からは春画浮世絵にふれることが出来にくい。しかし、江戸時代は大らかで春画を楽しむことが今ほど憚られるものではなかったとのこと。 浮世絵師の腕を評価するという点からも春画とはどういうものであるかを...
一流の浮世絵師として認められる条件は「春画が描ける」ということであった。今の時代の規範からは春画浮世絵にふれることが出来にくい。しかし、江戸時代は大らかで春画を楽しむことが今ほど憚られるものではなかったとのこと。 浮世絵師の腕を評価するという点からも春画とはどういうものであるかをこの本で知ることができるのは価値がある。 写楽の作品は、そういう観点で評価するとそれほどの質の高いものと言えるか...とう著者の指摘は面白い。作品数があまりに多くて評価が若干低いところにある国貞の春画の質からこの絵師を高く評価しているなども興味深い。(数ヶ月前に静嘉堂文庫で国貞展を観ていい作品と感じていたので、我が意を得たりの感覚にとらわれた)
Posted by
全体的に、春画を取り巻く美術史とでもいうべき内容。 社会の動きは、今も昔も変わらない。 春画 ?一般の浮世絵と差別はない。一流浮世絵絵師が春画を描いている。 ?広く人気があった。 そば代と同等の低価格。嫁入り道具にも。 ?お上の取り締まりはそれなりに厳しかった。 江戸幕府は倹約...
全体的に、春画を取り巻く美術史とでもいうべき内容。 社会の動きは、今も昔も変わらない。 春画 ?一般の浮世絵と差別はない。一流浮世絵絵師が春画を描いている。 ?広く人気があった。 そば代と同等の低価格。嫁入り道具にも。 ?お上の取り締まりはそれなりに厳しかった。 江戸幕府は倹約方針とともに風紀の乱れにも厳しかった。 「手鎖五十日」は想像以上に辛いようだ。 一方、現代では、写真が普及して、選択肢は多岐に渡るようになった。 絵だけのものは、ニッチな存在になっていく。→成年コミック。 その作者が、著名な一般マンガ家なんてことはまずない。 ただし、取り締まりは同様に厳しい。 4,5年置きに出版社への懲罰的な警察の取り締まりが行われているようだ。
Posted by
1978年に生まれた岩佐又兵衛が浮世絵の始祖の由.菱川師宣,奥村政信,鈴木春信,月岡雪鼎,勝川春章,鳥居清長,喜多川歌麿,葛飾北斎,歌川豊國 國貞 圀芳,渓斎英泉らが作製した春画の一大歴史を詳しく解説している.ここには写楽と広重は出てこない.それにしても,性に対するおおらかな気質...
1978年に生まれた岩佐又兵衛が浮世絵の始祖の由.菱川師宣,奥村政信,鈴木春信,月岡雪鼎,勝川春章,鳥居清長,喜多川歌麿,葛飾北斎,歌川豊國 國貞 圀芳,渓斎英泉らが作製した春画の一大歴史を詳しく解説している.ここには写楽と広重は出てこない.それにしても,性に対するおおらかな気質を持った江戸時代の人々の雰囲気には感心する.例によって幕府は規制したがるが,したたかに生き延びる人々のバイタリティーは素晴らしい.
Posted by
タイトルは意図的に「春画入門」になっているが、より詳しくすれば「浮世絵入門-春画を中心に」となろうかと思われる(著者あとがきにも「念願だった浮世絵の解説書を出せることになり、喜びもひとしお」とある)。 私はさほど浮世絵を知らないので、浮世絵の入門書が欲しいと思っていたのだが、この...
タイトルは意図的に「春画入門」になっているが、より詳しくすれば「浮世絵入門-春画を中心に」となろうかと思われる(著者あとがきにも「念願だった浮世絵の解説書を出せることになり、喜びもひとしお」とある)。 私はさほど浮世絵を知らないので、浮世絵の入門書が欲しいと思っていたのだが、この新書はその要望に適うものだと思う。 研究者の著作ではないので、春画に関していわゆる俗説に傾いているきらいがあるものの、しかし入門書としてはさほど問題にならないと感じた。 成人であれば一読推奨。
Posted by
春画展の予習復習に。 前半は浮世絵の基礎知識の説明で、後半に代表的な春画、浮世絵師の紹介。 春画展では混んでいてじっくり見れなかったものも、自分のペースでじっくりと。でも、電車の中で読むのはちょっと周りに注意が必要かも。
Posted by
<目次> はじめに 第1章 浮世絵の発祥 愛2章 浮世絵の技法と役割 第3章 名作春画を描いた浮世絵師たち 第4章 春画のさまざま <内容> 確かに春画の本である。日本の春画は、男性は一様に巨 まら。女性は意外と毛が多いが、男性よりも実際的である。 それもそうだが、著者...
<目次> はじめに 第1章 浮世絵の発祥 愛2章 浮世絵の技法と役割 第3章 名作春画を描いた浮世絵師たち 第4章 春画のさまざま <内容> 確かに春画の本である。日本の春画は、男性は一様に巨 まら。女性は意外と毛が多いが、男性よりも実際的である。 それもそうだが、著者は前半で江戸時代の浮世絵事情を詳細しているが、わかりやすい書き方で、すんなりと頭に入ってくる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2013年秋から2014年新春まで イギリス大英博物館で大成功を収めた 「春画ー日本美術における性とたのしみ」展 世界を驚かせた展覧会が、いよいよ日本へやってきました。 「春画」を見ずして浮世絵の真の凄さは語れない。 浮世絵の公園を依頼されると必ずこのことを 話してきた筆者が「春画」の基本の「き」を伝授。 明の時代に中国からやってきた元々から 発展し、熟し花開く浮世絵の世界。 歴史からその変容。 作り手、版元、作家。 その技量から、時の政権との攻防。 現代人が読めない「江戸言葉」を読み解き その画面に描かれる場面も生き生きと。 そこからは成熟期の江戸の人々の性に対する意識も 垣間みえて、筆者に 「当時の性に対する意識は今のフランス人に等しい」 とも言わしめる。 作家の時代的系譜や、技術作風などにとどまらず 現代の評価、海外からの評価、 たくさんの情報がギュッと文庫版に。 もちろん、傑作多数画像入り。
Posted by
- 1