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怒りの葡萄(下) の商品レビュー

4.2

26件のお客様レビュー

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2021/03/24

読み継がれている名作でありますから、いろいろの示唆があるんですね。 ある家族の生きざまを通して、人間社会の仕組みに翻弄され、艱難刻苦に向わせられ、なお襲い掛かる天災災害の非情なる仕打ちにどうするのか!というようなすごい物語のように思われるのだが、読めば読むほど、この家族それぞれ...

読み継がれている名作でありますから、いろいろの示唆があるんですね。 ある家族の生きざまを通して、人間社会の仕組みに翻弄され、艱難刻苦に向わせられ、なお襲い掛かる天災災害の非情なる仕打ちにどうするのか!というようなすごい物語のように思われるのだが、読めば読むほど、この家族それぞれの身勝手さは腹立たしいほどで、精神性の崇高さを感じれば感じるほど、人間の生態の愚かしさもくっきりと浮き上がってくるのが面白い。 まず、「お母」が家族集団13人の中心なのはわかる。しかし、殺人を犯し、刑務所から仮出所のトムという次男もしょうがないが、まあ骨がある。おじいさんおばあさんは旅の難儀さに死んでしまい。はかなげな長男は何考えてるのか、旅の途中で行方不明に(家族はあきらめてしまうのだ!)、長女(16)は若くして結婚、ふたりとも夢る夢子さんで妊娠中に夫に逃げられてしまう。三男は浮気性でふらふらしているし、次女(12)と四男(10)はいたずら盛りで手に負えない、「お父」は空威張りの他人ごと、「お父」の兄ジョンはアル中の役立たず、おまけに元「説教師」の他人も加わって、それぞれが勝手なことを言い、やってしまって艱難辛苦の旅を余計に複雑にさせる。「なんでそこでそれをやってしまうのぉ~!!」と「お母」の気持ちに感情移入してしまうが、「大丈夫だよ、なんとかするから」と、おおらかなのか!?偉大なのか!?その「お母」が何とかしてしまうのが、おかしいようなほっとする救いのような、そんな読み方もいいかなと。この頃の、いや、ずっとそうだったけど、我が家族集団でもそんなふうなんだよね。

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2020/11/25

やはり名作はスゴい!実地調査に基づくルポルタージュ的内容を、出エジプト記を思わせる壮大な小説にまとめるという筆力に圧倒されました。聖書を思わせる逸話もちりばめられ、人類愛につながるラストに涙が止まりませんでした。

Posted byブクログ

2020/07/28

上巻に続き、仕事を探して放浪するジョード一家。上巻よりもさらに過酷な状況になり、正直読んでいて絶望を感じるほど。ただトムがお母から離れる時の情景とラストシーンは、印象に残った。あとお母に砂糖を工面した店番がよかったねー。社会に絶望しても、人に絶望しなければよりよい社会を築けると思...

上巻に続き、仕事を探して放浪するジョード一家。上巻よりもさらに過酷な状況になり、正直読んでいて絶望を感じるほど。ただトムがお母から離れる時の情景とラストシーンは、印象に残った。あとお母に砂糖を工面した店番がよかったねー。社会に絶望しても、人に絶望しなければよりよい社会を築けると思う。

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2020/07/23

前巻に続き、訳が気になるので途中拾い読みのみ。既に別訳で読んであるので、そちらからの感想になるが素晴らしい小説。その内容をかなり加味した星の数(偉そうに申し訳無い)。ただし、この訳がでは再読はなし。ハヤカワの方は、手元においておきたい1冊の一つ。

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2020/07/19

夢を求めて西へ。しかし、あまくはない。数々の困難を体を張って耐えていく。トムだけでなく家族皆が、自分が貢献できることを考え、何をすべきか自覚するようになる。自分のことから、家族のことへ、そして家族を越えて困ってる人へ目を向けるようになった。2020.7.19

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2020/05/03

終盤は、家族の苦難に読むのが辛くなった。気が休まるのは、子ども達の無邪気な姿と、質素だけど美味しそうなお母の料理。 社会の搾取に対して、人は団結して抵抗すべきと思うが、それが大変難しいことを痛感する。現代の日本に置き換えても、それは同様だし、更に難しいかもしれない。 トム・ジョー...

終盤は、家族の苦難に読むのが辛くなった。気が休まるのは、子ども達の無邪気な姿と、質素だけど美味しそうなお母の料理。 社会の搾取に対して、人は団結して抵抗すべきと思うが、それが大変難しいことを痛感する。現代の日本に置き換えても、それは同様だし、更に難しいかもしれない。 トム・ジョードとジム・ケイシーは、個人的に印象深いキャラクター。複数の印象に残る言葉を発しているが、それがキリスト教的宗教観を背景とするものなのかは知識不足のため分からない。聖書を読んでみたくなる。

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2020/04/29

そこで終わる⁈という終わり方。象徴的。 お母が一家を切り盛りしてることからも、つまり強いのは女。出産まではめそめそしていたロザシャーンが、最後に母になる。母は強い。飢える人を直接救えるのは母である女しかいない。 トムの最後の台詞は、キリストか神のもの。人が愛をもって集まるときそこ...

そこで終わる⁈という終わり方。象徴的。 お母が一家を切り盛りしてることからも、つまり強いのは女。出産まではめそめそしていたロザシャーンが、最後に母になる。母は強い。飢える人を直接救えるのは母である女しかいない。 トムの最後の台詞は、キリストか神のもの。人が愛をもって集まるときそこに神はいる。 ジョンおじがロザシャーンの子を流すときに言う台詞も印象的。資本主義の闇、格差社会の構造的な巨悪を富める者が認識するには、最も無力な人間の無惨な死が雄弁なのかもしれない。 近代の資本主義の負の側面が描かれる一方、虐げられた人々の結束や社会形成の中で、自主的で民主的な自由の可能性、人間という社会的な生き物の希望的な可能性を感じた。

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2019/05/27

カリフォルニアに向かう途中でのおばぁが亡くなるところからの下巻。人が死に至る程の過酷な旅路の先にある現実が更に凄まじい。一緒にいた家族が、伝道師ケイシーがバラバラになっていく。 根底にあるテーマ、家族愛、隣人への思慮、労働の尊さ、労働組合の必要性、経営者の苦悩や不安。その中でたく...

カリフォルニアに向かう途中でのおばぁが亡くなるところからの下巻。人が死に至る程の過酷な旅路の先にある現実が更に凄まじい。一緒にいた家族が、伝道師ケイシーがバラバラになっていく。 根底にあるテーマ、家族愛、隣人への思慮、労働の尊さ、労働組合の必要性、経営者の苦悩や不安。その中でたくましく生きる家族。特にお母の存在が大きい。シャロンの薔薇にはいつもイライラさせられたが最後のシーンは感動もの。 家族の行く末が気になる。 タイトルに何故葡萄と付くのか疑問。

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2019/03/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人が幸せになるために必要なものは、きっとそんなに多くない。 「まっとうな暮らしをして、子供たちをまっとうに育てたいと思っとる。そして、年老いたら戸口に座って、沈む夕日を眺めたいと思っとる。若い頃には、踊り、歌い、男女の契りを結びたいと思っとる。食べ、酒を飲み、働きたいと思っとる。それだけなんだ。疲れるまで力仕事をすることだけが望みなんだ」 人間の幸せって、本来こういうものなんじゃないのか。そう強く思う場面が随所に散りばめられ、何気無い言葉一つに深い共感を覚える作品でした。魅力的なキャラクター達が多く、彼らの生きているこの物語を少しでも長く読んでいたくなり、終わってしまうのがとても寂しかったです。終わり方も決してハッピーエンドではないのに、感じたのは悲しさではなく、まさしく帯に書かれていた「人間讃歌」という言葉がぴったり合う、そんなラストでした。素晴らしかったです。何度も読み返すと思います。

Posted byブクログ

2019/01/13

実際の社会問題がベースとなっているだけあって、登場人物のセリフや背景まで、ノンフィクションのようなリアリティを感じる

Posted byブクログ