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怒りの葡萄(下) の商品レビュー

4.2

26件のお客様レビュー

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2018/11/18

故郷を離れ苦労の末にたどり着いたカリフォルニアでは、他所から流入した労働者家族が仕事を求めていた。不当に安い賃金でも働かなければ飢えるしかなく、集団で抵抗しようとすれば弾圧される。 一方で、熟れた果実が儲けにならなくて潰される。 そんな中でも人々は助け合い、声をかけ合って生き延び...

故郷を離れ苦労の末にたどり着いたカリフォルニアでは、他所から流入した労働者家族が仕事を求めていた。不当に安い賃金でも働かなければ飢えるしかなく、集団で抵抗しようとすれば弾圧される。 一方で、熟れた果実が儲けにならなくて潰される。 そんな中でも人々は助け合い、声をかけ合って生き延びようとする。 この後、ジョード一家はどうなったのだろうか。当時のアメリカにはこんな家族が大勢いたのだろうな。

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2022/08/30

「粗にして野だが卑にあらず」 ジョード家は今でいうDQN「風」だが、人間、本書の言葉では「民」そのものである。アメリカ人として労働への誇りを持ち、どれだけ自分たちが困窮していても、自分たちよりも貧しい人がいれば助ける。正しいと思う行為は法に触れることを厭わずにやり遂げる。 民...

「粗にして野だが卑にあらず」 ジョード家は今でいうDQN「風」だが、人間、本書の言葉では「民」そのものである。アメリカ人として労働への誇りを持ち、どれだけ自分たちが困窮していても、自分たちよりも貧しい人がいれば助ける。正しいと思う行為は法に触れることを厭わずにやり遂げる。 民を搾取し、痛めつける「資本」という怪物は決して正体を現さない。資本は「自由競争」という貧者同士が相争うシステムを作り上げ、貧しいものをより貧しくさせ、良心的なものを残忍なものに変え、多くのものの不幸を喰らって膨れ上がる。 民が人間として生き延びるには不確かな希望を頼りにした団結しかないのだが、団結を分断する手段は多彩で、狡猾で、しかも効果的である。民は負ければ死ぬが、資本は死なない。「金は命より重い」というあのセリフが響いてくる。 絶望的な状況の中、神も貧者には味方しない。雨は富める者、貧しき者平等に降るのではなく、貧しい者だけをことさらに痛めつける。 それでも「民は死なない」と信じる人々の姿は崇高で、客観的に見ればグロテスクなはずのラストシーンは宗教画のような美しさを感じさせる。 ...本書は大恐慌前の話である。現在、民はまたしても死にかけている。

Posted byブクログ

2016/09/22

重厚な物語。1920年代、銀行や地主に追い詰められた農民たちは、手にした作業員募集のチラシにすがり、カリフォルニアに25万人もの人々が大移動した。しかし、そこにも同じ社会構造・格差があった。絶望の中でも生き抜く家族の姿を描いている。

Posted byブクログ

2016/07/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

やはり名作だと言われるだけのことはある、珠玉のロードノベルであるとともに家族小説である。 下層労働者の家族の生き様を通じて、なんと色々な事を教えてくれる小説であることか、ぶるーす・スプリングスティーンが本作を絶賛していると聞いた事があるが、むべなるかな。この小説の重要テーマに共感するからこそ、彼の音楽が詩があるんだと、非常によく分かる。 アメリカ人のライフスタイルを構築する一つの指標なんだろうなぁ。ロシア人がこれを書くと「罪と罰」になり、フランス人が書くと「レ・ミゼラブル」になり、日本人が書くと「蟹工船」になる。 そして、オーストラリア人が撮ると「マッドマックス」になるんやなぁ。「怒りのデスロード」は間違いなく、この作品のオマージュだと思う。 古い作品だからと躊躇しなくもなかったが、ロードノベルの名作と聞いて…本当に読んで良かった

Posted byブクログ

2015/11/28

人間に最後に残されたたしかな機能ー働くことを渇望する肉体と、ひとりの人間の入用を超えて創ることを渇望する頭脳ーこそが、人間であるゆえんなのだ

Posted byブクログ

2015/10/06

この物語で、魂が震えない、感情が揺さぶられないような男にはなりたくない。 善良すぎる。あかん泣きそう。

Posted byブクログ