殺人鬼ゾディアック の商品レビュー
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「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本 2015-2019」に出ていたので。 捨て子(死語か?)だった著者が、実の母親と感動の再会をした後、父親を捜し始めたところ、実の父は「ゾディアック」だったと言うお話。 父親を捜していく過程や、 14歳で結婚し実の母親の波乱万丈な人生、 自分がゾディアックの息子だと警察に申告するに至る話は面白かった。 DNAを提供したにもかかわらず、 ゾディアックとの照合結果を隠されているのは、 実の母が父の後に再婚した相手が、サンフランシスコ警察の殺人課刑事、 後の副市長と結婚したからだと主張しているのも興味深い。 宮部みゆきは「著者に過去の出来事を語ってくれる主要な関係者たちの記憶が鮮明すぎる」と怪しんでいて、 たしかに真偽のほどは定かではないが、 とりあえず読み物として面白かったので良いかな。 著者の父親の父親は牧師であったが、 日本で青山学院大学の構内に住んでいたことがある、というのは驚きだった。 昭和天皇に招待されたこともあるとか。 それゆえ、著者の父親は日本語を覚え、 漢字、平仮名、カタカナを使って縦に右から左に書くことができたらしい。 一番驚いたのは、実の母親の最初の結婚(駆け落ちだったが)当時の写真。 美しい大人の女性に見える。 牧師は19歳と信じて二人を結婚させたが、確かに14歳には見えない。
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かつて全米を震撼させた連続殺人犯が自分の父親ではないかと気付いてしまった作者によるノンフィクション。ゾディアックの生い立ちと一連の犯行、まだ見ぬ父親を追い求める作者の奔走が章ごとに語られ、極上のミステリーを読んでいる気分になりました。面白かった! 読み終えたあと、同じゾディアッ...
かつて全米を震撼させた連続殺人犯が自分の父親ではないかと気付いてしまった作者によるノンフィクション。ゾディアックの生い立ちと一連の犯行、まだ見ぬ父親を追い求める作者の奔走が章ごとに語られ、極上のミステリーを読んでいる気分になりました。面白かった! 読み終えたあと、同じゾディアック事件を基にしたD.フィンチャーの「ゾディアック」を観直して思ったこと。この本の出版が2014年で映画が2007年のものだから、改めてこれを原作に続編作ってくれないかなー。真相は依然闇の中…で終わる映画の続編ってなかなか珍しいと思うんだけどな
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アメリカ犯罪史上でも有数の未解決事件であり、人々の関心を引き付けているゾディアックキラー。 最近、「未解決事件」なるものに興味があり、存在は知っていたが、詳しいことは何も知らないゾディアックキラーとはどんな犯罪だったのだろう、と見つけた本書を読んでみることにした。 とても面白く、...
アメリカ犯罪史上でも有数の未解決事件であり、人々の関心を引き付けているゾディアックキラー。 最近、「未解決事件」なるものに興味があり、存在は知っていたが、詳しいことは何も知らないゾディアックキラーとはどんな犯罪だったのだろう、と見つけた本書を読んでみることにした。 とても面白く、週末の2日を使って読み終えた。 さすがにノンフィクションというだけあって、登場人物もかなり多く、やや混乱するところもあるが、それでも引き込ませる文章とストーリー。 筆者が、すでにいない父親のことを描いている部分では、多少は脚色しているところもあるのだろうが、おおむね丹念に関係者に当たったうえでの内容を書いている。 本書だけを読めば、これは父親が犯人だよね、と思ってしまうが、やはりそこは50年間アメリカの犯罪史に残り続けた殺人犯。過去に何人もの人物が、「犯人を知っている」と名乗りを上げており、ネットでの情報を調べると、「違うだろ、これ」という感じでこき下ろしているコメントも多い。 2018年に警察当局が犯人のDNAを切手から採取、分析すると発表したそうだが、結局のところ、DNA鑑定による科学的な裏付けがどうなっているのかは現状不明のよう。 最後の訳者のあとがきにもあるが、この本の発行は妨害されないよう、ギリギリまで極秘で進められたこともあり、大きな話題となったようだ。そして、その後著者はいろいろな人から情報提供を受けたので、さらにもう1冊かけるほどになっているとか。 続きの本が出たら読んでみたいと思える1冊だった。
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ゾディアック事件は、アメリカの未解決事件としては大変有名な事件であり、著作も数多い。映画もある。 本書は「自分を赤ん坊のとき捨てた実父がゾディアックであった」とする男性が、自らのルーツを追う上で否応なく自身の父の実像と直面し、自らの人生を振り返る手記である。 実際のところ、ゾディ...
ゾディアック事件は、アメリカの未解決事件としては大変有名な事件であり、著作も数多い。映画もある。 本書は「自分を赤ん坊のとき捨てた実父がゾディアックであった」とする男性が、自らのルーツを追う上で否応なく自身の父の実像と直面し、自らの人生を振り返る手記である。 実際のところ、ゾディアック事件はまだ根本的な解決をみていない。よってこの本に書かれたことが全て真実なのかといえば、それは断定できないのだが、著者は「事件を調べる」というより「父親を調べる」ことを追い求めてこの結論に辿り着いており、信憑性が低いものでは決してない。提示される状況証拠も確度は高く見える。 恐らく、出版はかなり覚悟がいることであっただろう。記憶にもない自分の父を追い求めた結果が連続殺人鬼というのは、想像を絶する。 三章構成の本書において、第一章が彼の実の両親の逃避行、第二章がゾディアック事件の経緯とその周囲を追ったもの。そして第三章は、序章で実母と再会した著者がどのように実父を「知って」いったか、サンフランシスコ市警の不自然な隠蔽、本作を執筆するに至る経緯が書かれている。 前半は、恐らく集めた証言をある程度推測で埋めた物語として読める。第三章で登場する、溢れるほどの状況証拠のピースを構成した結果だ。 こういう手記を読むとき、生まれついての悪があるものなのか、考えこんでしまう。プライドの高さなど、何某かの「素養」があったにせよ、「ゾディアック」はその恵まれない家庭環境、出会ってしまった人びとの影響で「邪悪さ」を研ぎ澄ましていったような気がしてならない。暗号文や犯行の手紙などを何度も送り付ける様は、「自分が注目を浴びねば気が済まぬ」=承認欲求の渇望とも取れる。 著者が養父母をはじめとした家族に恵まれ、自身の出自や実父への疑念を歪ませることなく昇華できたのが、実父との表裏一体、光と影を思わせる。 2020年になってもこの事件に関する続報を耳にしていない。今後この事件が公式に解決の目をみるのかも分からない(私の調べが足りないだけで解決しているのかもしれないが)。それでも、これはひとりの男性が家族を追いかけて、自身を顧みるひとつの物語として秀逸である。
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米国犯罪史上に残る連続殺人犯・ゾディアック。自分の実の父親が、その犯人だとしたら……というノンフィクション。 少なくとも、確実な物証のひとつであるDNA鑑定の結果は、本書の中では出ていない。故に、著者が本当にゾディアックの息子であるかどうかは、科学的には確定していないと言える。少なくとも本書が書かれた時点では。 ※但し状況証拠は著者の父親を指し示してはいる。
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こりゃあ、父ちゃんやっとるな。に終わらない良いノン・フィクション。捨て子だった著者。養父母に恵まれ幸せだろうにと思うのは浅慮と痛感。著者が抱いていた喪失感、人間不信に心が痛む。父の日のカードなんて涙腺崩壊だよ!読んで良かった。
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ノンフィクションなのか、フィクションなのか、とてもよくわからない話。 私はノンフィクションだと思って読んだ。 でも、それはそれで怖いな、と思った。 物語は養子だった子供が、自分の生みの母親と再会して。 そこから、「自分の父親のことも知りたい!」と思って調べ始めたら、実はとんでもない人間だった、という話でした。 これが本当なのか嘘なのかは、正直なところわかりません。 結局のところ捜査をしてみないとわからないと思うし、その捜査をしてくれるはずの警察が隠ぺい体質に走ってしまったら、どうしようもないなあ……と思うわけです。 日本でも、警察の隠ぺいがいろいろと言われていますが、それが日本だけのものでなかったということにびっくりだし。 海外でもいろいろあるのねえ……という感じです。 それでも、この大変なことがいろいろわかってきた状況で、真実を知りたい、という気持ちを失わない作者さんがすごいと思うし。 彼が、納得できる正解が出てこればいいと思います。 この話の続きはどこかにあるのだろうか……ですね。
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過酷な運命によって孤児となった著者が、実母との再会を機に父を探すノンフィクションの物語。 父は生死不明であり、更に数々の犯罪歴があることが判明します。 様々な証言を基に、著者は図らずも実父は殺人鬼ゾディアックなのではないかと疑いを持ち始めます。 証言と想像によって文学的に構成され...
過酷な運命によって孤児となった著者が、実母との再会を機に父を探すノンフィクションの物語。 父は生死不明であり、更に数々の犯罪歴があることが判明します。 様々な証言を基に、著者は図らずも実父は殺人鬼ゾディアックなのではないかと疑いを持ち始めます。 証言と想像によって文学的に構成され、ノンフィクションに近い小説という印象を受けました。 アメリカでは話題を呼んだ一冊ですが、やはり賛否両論のようです。 しかし、著者の実父がゾディアックだろうとなかろうと、彼の自分探しの過程は楽しめました。
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生後4週間でアパートの階段踊り場に捨てられた男の子は養父母に 引き取られ、たくさんの愛情を注がれて大人になった。 39歳になったある日、実母だと名乗る女性から連絡があった。幼い 頃から養子であることは知っていた。だから、「自分は何者なのか」 との思いを抱え続けていた彼は...
生後4週間でアパートの階段踊り場に捨てられた男の子は養父母に 引き取られ、たくさんの愛情を注がれて大人になった。 39歳になったある日、実母だと名乗る女性から連絡があった。幼い 頃から養子であることは知っていた。だから、「自分は何者なのか」 との思いを抱え続けていた彼は、実母に会う決心をする。 顔さえ覚えていない実母との再会。これが共著者のひとり、ゲーリーの 長い旅の始まりだった。 実母は分かった。では、実父はどのような人なのだろう。ある日、テレビ のドキュメンタリー番組にチャンネルを合わせたゲーリーは戦慄する。 未解決事件の犯人の似顔絵が写真の中の実父にそっくりではないか。 ゾディアック。1960年代末から1970年代前半まで、アメリカを震撼させ 忽然と姿を消した連続殺人犯。実父はゾディアックなのか。 本書はタイトルや帯の惹句からしてネタばれなのだが、実母との再会 のあとに実父を探す過程ではなくゾディアックを実父に置き換えて 犯行の様子を再現した章が挟まれている。 構成としてどうなんだろうと思うと同時に、実父がゾディアックである という確たる証拠はないんだよな。 実父を知っていた人々や実母の話から得られる実父の人物像は、 確かに病理を感じさせるし、実際に犯罪歴もある。目撃者の証言 から描かれたゾディアックの似顔絵と実父の写真を見比べると、 似ているのも分かる。 ゾディアックが残した暗号のなかに実父の名前が隠されていた という部分はこじつけのような気がしないでもないし、素人ながら 筆跡に類似点は少ないようにも感じられた。 ゲーリーは物書きではなくサラリーマン。その彼が仕事の合間に 12年の歳月をかけた実父探しの旅は、彼の中で父は連続殺人犯 だったとの結論になっている。 けれど、それは真実であるのかは不明だ。一切の証拠はない。 言ってしまえばゲーリーの妄想なのかもしれない。 私はゾディアック事件自体が不可解なんだよね。確認されている 4件の犯行のうち、3件ではカップルが犠牲者となっている。それも 女性の方が酷い襲撃のされ方をしている。 この3件だけであれば自分の元を去った実母への復讐だとの ゲーリーの解釈も通じるのかもしれないが、4件目の犠牲者は タクシー・ドライバーの男性なんだよな。犯行のパターンとして おかしくはないか? ゾディアック複数犯説もあるようだが、実際はどうなんだろうね。 実父とゾディアックを結びつける部分だけをフィクションと捉えて 読めばいいのかもしれない。 養子が実の両親を知る為に長い長い時間をかけて、実父が埋葬 されている墓地にまでたどり着いた。そんな物語としては興味深い。
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[埋葬すべき真実と向き合って]生後間もなく養子に預けられたことで心にトラウマを抱えた著者の元に、本当の母親だと名乗る人物が現れる。しかし、彼女が父親のことを一向に語ろうとしないため、著者は自らその調査に乗り出すのだが、彼が目にした父親とされる人物の写真は、全米を震撼させた猟奇殺人...
[埋葬すべき真実と向き合って]生後間もなく養子に預けられたことで心にトラウマを抱えた著者の元に、本当の母親だと名乗る人物が現れる。しかし、彼女が父親のことを一向に語ろうとしないため、著者は自らその調査に乗り出すのだが、彼が目にした父親とされる人物の写真は、全米を震撼させた猟奇殺人犯の人相とそっくりだった......。「事実は小説よりも奇なり」を地で行くノンフィクション。著者は、本作の発表で毀誉褒貶の評価を受けることになったゲーリー・L・スチュワートと、彼の執筆を手伝った作家のスーザン・ムスタファ。訳者は、エッセイストとしても活躍している高月園子。原題は、『The Most Dangerous Animall of All』。 数奇すぎる話の展開に鳥肌が立ちました。あらすじ惚れして購入した作品なのですが、ページをめくるたびに本書の世界に引き込まれていく感覚を覚えました。一人の男の深すぎる闇と、その闇からどうにかして逃れようとする男の試みを描いた名著だと思います。 〜今なら言える。時に過去のことはそっとしておくほうが賢明だと。真実を知ることが常にいいとは限らないのだと。時に真実はあまりに恐ろしくて、ほんの少しずつ、あちらこちらの断片からあらわにされ、ゆっくり吸収されなくてはならないのだと。なぜなら、一度にすべてを知るとあまりの衝撃の大きさに耐えられないからだ。そして、時に真実はすべてを変えてしまう……。〜 今年のトップ10には入ってきそう☆5つ
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