ペルシア王は「天ぷら」がお好き? の商品レビュー
世界の料理のルーツと変遷を言語学の手法で解き明かす。著者はスタンフォード大学の言語学の教授、インターネットで入手した膨大な文献を統計的に分析している。高級レストランと安店のメニューの統計的特徴、邦題にあるテンプラのルーツが6世紀ペルシアにあること、ケチャップはなぜトマトケチャップ...
世界の料理のルーツと変遷を言語学の手法で解き明かす。著者はスタンフォード大学の言語学の教授、インターネットで入手した膨大な文献を統計的に分析している。高級レストランと安店のメニューの統計的特徴、邦題にあるテンプラのルーツが6世紀ペルシアにあること、ケチャップはなぜトマトケチャップなのか、そして鮨との共通点など。 料理の単語が専門的でカッコ注釈が多くて読みにくい。
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7万以上の学生がとったスタンフォード大学の教養講義がこの本に詰まっている。言語学を教える筆者が、食と言語にまつわる驚くべき史実を心理学、社会学、行動経済学まであわせて語る。興味深く勉強になった一冊
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タイトルに引かれて衝動買い。歴史の本かと思いきや、アメリカの言語学者が書いた食物(というか料理or献立or食事)とその名前の語源の話。(もともとのタイトルは『The Language of Food』)クイモノいうやつは、それぞれの民族の歴史の中で積層的に形成される極めて民族色の...
タイトルに引かれて衝動買い。歴史の本かと思いきや、アメリカの言語学者が書いた食物(というか料理or献立or食事)とその名前の語源の話。(もともとのタイトルは『The Language of Food』)クイモノいうやつは、それぞれの民族の歴史の中で積層的に形成される極めて民族色の濃いものと思われがち(例えば、日本食、刺身や納豆に対する日本人の思い込み)だけれど、実は他文化・他民族との交流の影響が強いと著者は言いたがってる(と思う)。また、著者は西洋料理におけるアラビア圏・中国の影響の強さを示唆する。日本の天ぷらはもともとポルトガル語由来らしいけど、実は六世紀ササン朝ペルシアで皇帝に好まれた「シクパージ」という具だくさんの牛肉料理が原型という。シクパージは肉を大量の酢につけて調理するので保存が航海用の食料に適していたからヨーロッパを経て日本まで伝わって天ぷらとなったということらしいが、これは天ぷらより南蛮漬けの方が近いような気がするなぁ。また、ケチャップの語源は中国福建語でケチャップはもともと東南アジアの魚醤が変化発展したものなど、薀蓄ネタも豊富に書かれています。文章も読みやすく、中身の濃さに拘らず、楽しく読ませます。少しは暇のある方、薀蓄好きの方にはお薦め。
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ケチャップは、なんともともと魚醤だったというではないか。 著者は、食い物の専門家ではない。言語学者である。食べ物の言語は、世界の交流やグローバル化をつかむ一助になる。ケチャップは、中国福建省で生まれてヨーロッパに持ち帰られ、そのうちもとの原材料が使われなくなった。 単にwik...
ケチャップは、なんともともと魚醤だったというではないか。 著者は、食い物の専門家ではない。言語学者である。食べ物の言語は、世界の交流やグローバル化をつかむ一助になる。ケチャップは、中国福建省で生まれてヨーロッパに持ち帰られ、そのうちもとの原材料が使われなくなった。 単にwikipedia的に知識や歴史をたどっていくだけではない。例えばネットのレビューから、肯定的・否定的な単語を抽出してみる。否定的な意見の方が様々な意味合いに分かれる「否定の分化」がここでも見られる。否定的なレビュアーは「私たち」という言葉を好み、帰属を強調し安らぎを求めようとする。で、本書はここから、なんと「まずはセックスの話からはじめよう」と、何がまずは、だと思わんばかりの展開をする。だが、気に入った店のレビューはセクシャルな話になりがちで、気に入らないとドラッグやらの話になる。で、鮨にはセクシーな名前をつけるのが流行だそうだ。オルガスミック・スパイシー・ツナ・ロール、セックス・オン・ザ・ビーチ・ロール、フォープレー・ロール。どれも食ったことないけど。 と、ちょっと耳目を引きそうな話を中心に書いてしまったけど、他にも多数、そんな展開すんのかよ、というような話ばかり。満腹。 僕は食い物も好きだが、同じかそれ以上に言葉が好きだ。だから、この本はヤバい。 解説は高野秀行氏。「言語と食の大海を旅する醍醐味」と題し、「食の語源には要注意」と語る。全くだ。 タイトルや表紙は、やや地雷臭がするが、そんなことを考えた自分が馬鹿だった。面白い本、というのはこういうののことだよなあ。
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今年読んだノンフィクションの中で一番良いと思った。 著者はスタンフォード大の言語学とコンピュータサイエンスの教授。 料理、食材、食品の語源にまつわる考察だけでなく、レストランのメニュー6500件内にある65万種類の料理全てをの価格を調べ、統計的手法で分析した結果、料理の説明に長い...
今年読んだノンフィクションの中で一番良いと思った。 著者はスタンフォード大の言語学とコンピュータサイエンスの教授。 料理、食材、食品の語源にまつわる考察だけでなく、レストランのメニュー6500件内にある65万種類の料理全てをの価格を調べ、統計的手法で分析した結果、料理の説明に長い単語を使うほど、その料理の値段が高くなることを発見したり、また、語源で言えば、天ぷらがポルトガル語から来たのは割と知られた話であったが、そのルーツが古代ペルシャの王が愛したシクバージという甘酸っぱい牛肉の煮込み料理であり、それがエジプトを経由してヨーロッパに伝わるうちに肉料理から魚料理に変化して、天ぷらやイギリスのフィッシュ&チップスとなったという話は鳥肌が立つくらいゾクゾクとした知的興奮を与えてくれた。この他にも死ぬほど面白い説がてんこ盛りの本。食べることに関心のある人すべてに必読の書である。
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お気に入りのレストランに足を運びたくなる一冊。昨今の買わせんかなとする書籍タイトルには食傷気味だが、本書は原題「The Language of Food」を思うと品の良い邦題になったと思う。表紙イラストとあわせて編集のセンスが光る。 内容も洒脱にして綿密。統計手法の章と語源の章で...
お気に入りのレストランに足を運びたくなる一冊。昨今の買わせんかなとする書籍タイトルには食傷気味だが、本書は原題「The Language of Food」を思うと品の良い邦題になったと思う。表紙イラストとあわせて編集のセンスが光る。 内容も洒脱にして綿密。統計手法の章と語源の章で多少テイストは変わるが(食の話だけに)、食の文化交流がこんなにも盛んで、かつ、知られていなかったかと思うと興味深い。伝統は必ずしも完全なオリジナルであることを保証しないが、別にそれを卑下する必要はない。
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