量子力学で生命の謎を解く の商品レビュー
●2025年5月26日、東京大学・書籍部にあった。セッションで寄った日。 帯に「新海誠」がコメントをよせてる。 図書館にあればいいのに。
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量子力学と生命のかかわりについて、最新の知見を紹介した本。とはいえ、量子力学はあらゆる化学反応の根幹だから、生命現象に(そしてこの世の全てに)量子力学が関与しているのはある意味で自明ではある。本書で対象としているのは、古典的な物理・化学観では説明できない、量子力学特有の”奇妙な”...
量子力学と生命のかかわりについて、最新の知見を紹介した本。とはいえ、量子力学はあらゆる化学反応の根幹だから、生命現象に(そしてこの世の全てに)量子力学が関与しているのはある意味で自明ではある。本書で対象としているのは、古典的な物理・化学観では説明できない、量子力学特有の”奇妙な”性質を持ち出さないと説明できないような現象だ。奇妙な性質とは、たとえば量子もつれやトンネル効果などで、近年盛んに研究されている量子コンピュータの基礎にもなっている性質のこと。 --- 量子生物学の例として、本書では酵素反応、呼吸、光合成、嗅覚、磁気感受性などが紹介されている。…個人的には、これらの中で納得できたのは光合成くらいだった。 酵素反応や呼吸に量子力学が関与しているのは当たり前だが、それが生命特有とか無生物と比べて全く違う性質を持っているとかいうようには読めなかった。無機物の触媒反応や化学反応とそんなに違わないのでは?という感じ。嗅覚や磁気感受性については、背景や経緯を長々と説明しているわりに、肝心な部分の根拠の説明が薄いと感じられた。 著者らは、生命の身体や細胞のなかで量子力学的現象が起きていることがそもそも特別で不思議なことであるという。実験室で量子力学の実験をするときは、装置をごく低温にし、厳密に制御された環境が必要になる。一方で細胞は「温かく湿っている」ので、通常なら量子力学的な状態はすぐに壊れてしまうはずだが、実際には細胞の中で量子力学は確かにはたらいている。だから生命にとって量子力学は特別な役割を果たしている。…という主張だ。 ただ、「温かく湿っている」環境でも、量子力学的現象は人間が観測したり制御したりするのが難しいだけであって、現象そのものは常に起きているはず。また、一度周囲の物質と相互作用してデコヒーレンスな状態になった粒子も、次の瞬間にはまたコヒーレントな状態に戻る、という点が無視されているように感じた。要はコヒーレンス-デコヒーレンスのタイムスケールと化学反応のそれとの比較が重要なのではないかと思うが、そのあたりの説明は多くの場合省かれているように感じた。 本書では、量子力学の基礎知識として、たとえば波と粒子の二重性、量子もつれ、状態の重ね合わせ、観測による収束、などが説明される。また、生命科学の知識として、酵素反応(触媒反応)の基本、DNAからの転写・翻訳、ATP合成、などが説明される。 いずれも、理系大学の1年時などで相当する科目を取っていれば知っているような内容だと思われる。したがって、そのような人にとっては、これら基礎知識の説明は不要で長ったらしく感じられるかもしれない。基礎知識パートが分かりやすくまとまっているわけではないので、読み飛ばすのもやりにくかった。 一方、量子力学や生命科学の知識がない人にとっては、多くの背景知識が必要になる分、本書の説明だけで内容が飲み込めるかはやや疑問。そういう意味で、本書の難易度は中途半端なもののように感じた。 基礎知識的な内容以外にも、いろいろな蘊蓄や科学史的な内容が多く含まれている。好意的に思う人もいるのだろうけれど、脱線が多く本筋が頭に入りにくいように感じてしまった。(本書に限らず、欧米の科学的読み物ってこういう構成のものが多い気がするけれど。)
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コマドリの渡りにおける方角認識、嗅覚、光合成、呼吸、あるいは意識まで、量子の効果を使っているかもしれないと言う説。 量子論と言うと、物理学、宇宙論として理解して来たが、生物がこれを利用している可能性があるということは初めて認識した。 どこまでが事実でなのか、早くその結論が知りたい...
コマドリの渡りにおける方角認識、嗅覚、光合成、呼吸、あるいは意識まで、量子の効果を使っているかもしれないと言う説。 量子論と言うと、物理学、宇宙論として理解して来たが、生物がこれを利用している可能性があるということは初めて認識した。 どこまでが事実でなのか、早くその結論が知りたい。
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生命の謎に量子力学が関わっていると言われると、いかにも胡散臭い。しかし、シュレディンガーが言うには、マクロなものを考える古典物理学の観点から考えると、遺伝子は1000回に1度エラーを起こす程度にはサイズの小さい代物だが、実際にはエラーは十億分の1未満で、ここには量子レベルの厳密さ...
生命の謎に量子力学が関わっていると言われると、いかにも胡散臭い。しかし、シュレディンガーが言うには、マクロなものを考える古典物理学の観点から考えると、遺伝子は1000回に1度エラーを起こす程度にはサイズの小さい代物だが、実際にはエラーは十億分の1未満で、ここには量子レベルの厳密さが関わっているはずだ、ということらしい。この理屈は、物凄く分かりやすく、この本の本質を付いていると思う。一方で、生物のような温かくて湿った場所では、粒子の量子的な性質は失われてしまうということも、この本の重要なテーマである。このテーマは現在急速に研究が進んでいるらしいが、現在有力な考え方についても一応書いてあるので、真面目な良い本だと思った。
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例えが独特すぎて理解できず断念した。一般向けなので数式を省いてるのだろうが余計にわかりにくい。興味があるなら、初心者向けの学術書をちゃんと読むべきだな、と思う。
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わかったこととわかってないことが誠実に書いてあるように思う。古典的な生物学で解明できていないことを量子力学で説明しようとするのは当たり前のことで、その環境も整ってきているということなんだろう。この先ますます進んでいく分野だろうし、勉強していればおもしろい話がきける気がした。
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渡り鳥は、どのようにして目的地までの行き方を知るのか。 サケはなぜ3年間の航海を経て、生まれて場所にもどれるのか。 我々の意識はどのように生まれるのか。そして、生命の起源とは。 量子力学が明らかにする生命現象の畏るべき秘密。 (以下、目次) 第1章 はしがき 第2章 生命とは何...
渡り鳥は、どのようにして目的地までの行き方を知るのか。 サケはなぜ3年間の航海を経て、生まれて場所にもどれるのか。 我々の意識はどのように生まれるのか。そして、生命の起源とは。 量子力学が明らかにする生命現象の畏るべき秘密。 (以下、目次) 第1章 はしがき 第2章 生命とは何か? 第3章 生命のエンジン 第4章 量子のうなり 第5章 ニモの家を探せ 第6章 チョウ、ショウジョウバエ、量子のコマドリ 第7章 量子の遺伝子 第8章 心 第9章 生命の起源 第10章 量子生物学:嵐の縁の生命
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
生命=量子コンピュータ説は面白い考えだった。 よくよく考えてみると、生命の遺伝子をコピーして、次の世代へ受け継ぐ遺伝という仕組みは、素晴らしいと思った。
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自分は生命学は分子レベルで説明できると思っていましたが、量子力学レベルまでいかないと説明しきれない現象が数多くあるとのこと。 異なる場所に同時に存在できる、トンネル効果で壁をすり抜ける、何千キロも離れた場所にある2つの粒子の片方に影響を与えるともう片方にも瞬時に同じ状態が現れる...
自分は生命学は分子レベルで説明できると思っていましたが、量子力学レベルまでいかないと説明しきれない現象が数多くあるとのこと。 異なる場所に同時に存在できる、トンネル効果で壁をすり抜ける、何千キロも離れた場所にある2つの粒子の片方に影響を与えるともう片方にも瞬時に同じ状態が現れる。 このような量子の不気味な振る舞いが、遺伝子や光合成などの生命における最重要部分の説明に必要とされている。 難解な話を誤魔化すことなく、正面から分かりやすく解説しており、人間や生命の成り立ちに好奇心を持つ人には必読の本です。
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身近な量子力学の例を分かりやすく説明してくれます。 科学的知識が中学生レベルでもギリギリついていけます。 ミクロの世界の常識は、目に見える世界の常識とは全く別物ですが それが当たり前に作用していることがとても不思議。 ワクワクできる一冊でした。
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