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さようなら、オレンジ の商品レビュー

3.7

64件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

    14

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    2

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2025/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

サリマ(ナキチ)とハリネズミ(サユリ)の2人の人生に触れ、何度か涙が出た。外国に住んだことがある人なら共感のできる内容でもある。アフリカ難民女性と、家庭におさまるのを求められている日本人女性。なかなか扱えないテーマをしっかり日本語で読みやすく読めて大変感激した。

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2024/11/08

サリマの視点と、ハリネズミの手紙が交互に繰り返され、物語が進む。多分、読んだ人は微妙なズレというか違和感を覚えるはず。それは物語の最後で解消される。 ことばという寄る辺のない、異国での難民の姿を温かな視線で描き出している。サリマとハリネズミには苦難の波が押し寄せるが、その波が彼...

サリマの視点と、ハリネズミの手紙が交互に繰り返され、物語が進む。多分、読んだ人は微妙なズレというか違和感を覚えるはず。それは物語の最後で解消される。 ことばという寄る辺のない、異国での難民の姿を温かな視線で描き出している。サリマとハリネズミには苦難の波が押し寄せるが、その波が彼女らを損ね、さらっていっても、手には希望が残る。 血の通った、温かい作品だと思った。

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2024/10/16

海外作家が書いたかのような空気の作品。不遇な女性たちの物語だけど、置かれた場所で頑張って、健気に生きている姿に、静かな感動といつかは報われる感を感じるとてもよい作品。

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2024/11/05
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2014年(第11回)。4位。 オーストラリアに移民できた女性の話なのかなぁ・・・どうやらアフリカから来たみたい。 なんかよくわからなかった。

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2024/08/19
  • ネタバレ

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故郷から逃げてきたサリマと日本人のサユリ。 サリマはアフリカきらオーストラリアに逃げてきたかが、夫に逃げられ、女手一つで子供たちを育てている。サユリは夫の仕事の関係でオーストラリアにきたが、家庭には非協力的な夫の助けは得られず、娘を育てている。 そんな二人がESLで出会い、次第に心を通わせていく。 サユリの話は手紙形式になっているが、登場人物の名前が違ったりで、わかりにくかった。最後にいろいろとつながるが、誰だかわからなくなり、前に戻るという作業がはいってしまったのが、残念。理解力がちょっと足りなかった。

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2024/07/23

難民の人がオーストラリアで、強く生きていく話。言葉というのが人間のアイデンティティに深く結びつくって感じで、本好きにはたまらないテーマ。 難民、オーストラリア、母とか結構おじさんには共感しづらいテーマではあった。 作者は異国で暮らしていくうえで、いろんな壁にあたりながらも、現地...

難民の人がオーストラリアで、強く生きていく話。言葉というのが人間のアイデンティティに深く結びつくって感じで、本好きにはたまらないテーマ。 難民、オーストラリア、母とか結構おじさんには共感しづらいテーマではあった。 作者は異国で暮らしていくうえで、いろんな壁にあたりながらも、現地の人に助けられてきたのだろうなと感じた。 難民として、平和な国に来てもら生きていくのは大変で、それでも頑張っていく。そこに言葉の習得がアイデンティティに関わる

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2024/06/13

オーストラリアに移民としてやってきた人の物語 アフリカの難民で、生き延びるためオーストラリアにやってきたサリマ 語学学校でクラスメイトの日本人女性の「ハリネズミ」 立ちふさがる言語、人種、文化、性別の壁を前に、彼女らがどう生活をしたのか また、サユリが恩師のジョーンズ先生宛て...

オーストラリアに移民としてやってきた人の物語 アフリカの難民で、生き延びるためオーストラリアにやってきたサリマ 語学学校でクラスメイトの日本人女性の「ハリネズミ」 立ちふさがる言語、人種、文化、性別の壁を前に、彼女らがどう生活をしたのか また、サユリが恩師のジョーンズ先生宛てに送った手紙の内容とが交互に描かれる 母国でもまっとうな教育を受けられずに育った上に、異なる言語の国で生きていくという現状 真面目に働いている職場での評価、言語の勉強、別居している夫との関係、そして子育てをしながらという状況 何と言うか、本屋大賞というよりも芥川賞のような純文学寄りの作品に感じる 舞台はオーストラリアになっているけれども、描かれているのは移民としてやってきた人の前に立ちふさがるあらゆる壁について なので、舞台を日本にやってきた移民の人にしても成り立つ さこに、サユリ視点の手紙を入れる事によって、日本人としての立場で感情移入しやすくなっている構造になっている 最後まで読めば、全体がどんな構造になっているか判明するわけだけれども どれがフィクションでどれが作中作だとしても総じての印象は変わらないかな

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2024/02/14

言葉の獲得。 母国語でない言葉を自分のものにできた時、 同時に得られるもの。 オレンジの色彩の先に、それぞれの国に生まれた人たちが ともに希望や未来や、大切にしたいものを見つける。 明日から、オレンジのおひさまを眺める時、 自分の中の勇気や、進む力や友情を 強く感じられるよう...

言葉の獲得。 母国語でない言葉を自分のものにできた時、 同時に得られるもの。 オレンジの色彩の先に、それぞれの国に生まれた人たちが ともに希望や未来や、大切にしたいものを見つける。 明日から、オレンジのおひさまを眺める時、 自分の中の勇気や、進む力や友情を 強く感じられるような気がした。

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2024/01/13

どん底スタートで、多少のハプニングがありながらも階段的に良くなっていく小説は沢山ある。この小説も暗い出だしで段々と良くなるんだけど、希望が見えてくるまで長いとてもスロースタートな雰囲気だった。どん底からエンドまで階段的に良くなる話にある牧歌的な雰囲気は無く、リアルさがあった。 し...

どん底スタートで、多少のハプニングがありながらも階段的に良くなっていく小説は沢山ある。この小説も暗い出だしで段々と良くなるんだけど、希望が見えてくるまで長いとてもスロースタートな雰囲気だった。どん底からエンドまで階段的に良くなる話にある牧歌的な雰囲気は無く、リアルさがあった。 しかし、何となく話を掴みにくい。手紙で書かれる主人公の視点、本人視点で書かれるもう1人の主人公の目線。互いに人の呼び名が異なっており、最初すんなりと入ってこなかった。前半の?が響いて助走が不足してしまい、どうも作品世界に惹かれるのが遅くなってしまう。 公判にかけての展開はおもしろかったけれども、ようやく気持ちが入ってきそうな所で読み終えてしまう。惜しい感じの本でした。

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2023/08/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一言で言うなら、言葉の物語だと思った。 主人公のサリマはアフリカから難民としてオーストラリアに渡ってきて、夫に捨てられ、二人の息子を育てるためにスーパーの精肉部門で働いている。夫や息子たちからは馬鹿にされ、孤独を感じながらも、働くのに加えて英語の学校に通い、母語ではない英語を少しずつ学んでいく。その中で友人もでき、息子の学校で自分の故郷について英語で語る機会を得、手元に残った下の息子の友達やその母親との交流の必要性が生まれ、仕事でもどんどん認められて昇進試験の話も出て、自立していくとともに孤独からも抜け出していく。母語に加えてセカンドランゲージとしての英語で第二の人生を切り開いていく様が、ひたむきで、とても心に響いた。 というこのサリマの物語は、実はサリマの友人のハリネズミこと、日本人のイトウサユリが書いた物語である。ハリネズミが恩師に宛てた手紙はサリマの物語の合間合間に出てきていたけれど、その中ではサリマはナキチと呼ばれていて、不思議だなと思っていたら、サリマとはナキチの生き別れの母の名前で、ハリネズミはサリマを主人公にお話を書く、と言っているから、この小説全体の構造はとても複雑なマトリョーシカのようだ。 オレンジは、サリマの故郷の太陽の色である。故郷を離れ、それでも新天地になじめずに家族の中でさえ一人だと感じていたサリマがずっと抱いていた故郷のおひさま。でも周囲との関係を築く言葉を少しずつ手に入れ、夫でも誰でもなく自分の力で生活を築いていくサリマには、新しい未来がひらけている。自分のせいで娘・ユメを死なせてしまったと思っているハリネズミが、ずっと傍に置いていたその遺灰を海に撒く場面も印象的で、そこに差していた夕日の中に、これからは娘の姿を見ようと思うのも、さようならオレンジなのかなと思った。全体的に明るくはないけれど、いずれも前向きに生きていこうという芯の強い前向きな気持ちが、さようなら、オレンジ、に表れているのだと思う。

Posted byブクログ