「絶筆」で人間を読む の商品レビュー
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当然なのかもしれないが、死の間際まで絶好調だった人は少ない。画家はその作品で隆盛が語られるものだが、やはり死の間際にはなかなか傑作を残せる人は少ない、と感じた。寂しくはあるけれど、人間とはそういうもので、後生があーだこーだいうのは間違っているのかもしれない。 最後のページにある年表が良かった。誰と誰が同時代に生きていたのかが、一目で分かる。ヴァンダイクとベラスケスの対比がとても面白かった。またゴヤの執着、生きることに対してなのか、人間に対してなのか、分からないけれど、とりあえず、執着には凄味を感じる。
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どの画家も 全盛期には 美術史にのこる名作を描いてますから 晩年になっても すごい・・・ とは限らない 凄い絵を描き続けた人 つまらなくなった人 画風を変えたひと 人生最後に残した作品 見ごたえありました
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成功した画家達は最後に何を描いたのか。 画家達が人生の終わりにさしかかり、どのような心境の変化に至ったか。 絶頂期の作品と比較しながら、その画家の歴史を辿ってそれを紐解く一冊。 取り上げられている画家達は下記。 ルネサンスからはボッティチェリ、ラファエロ、ティツィアーノ、 北...
成功した画家達は最後に何を描いたのか。 画家達が人生の終わりにさしかかり、どのような心境の変化に至ったか。 絶頂期の作品と比較しながら、その画家の歴史を辿ってそれを紐解く一冊。 取り上げられている画家達は下記。 ルネサンスからはボッティチェリ、ラファエロ、ティツィアーノ、 北方ルネサンスからはブリューゲル、マニエリスムからはエルグレコ、 バロックからはルーベンス、ベラスケス、フェルメール、ヴァンタイク、 ロココからはホガース、ヴィジェ・ルブラン、新古典主義からはダヴィット、 ロマン主義からはゴヤ、ホガース、写実主義からはミレー、そして後期印象派からはゴッホ。 画家それぞれ、貧困や、自らの性格が災いして苦労したり、ゴッホやフェルメールのように夭折してしまったり。ゴヤのように、人格に問題があってもしぶとく生き抜いて最後に新境地に挑戦したり。 また逆にルーベンスのように(中野さんは、ルーベンスのことを他の本でも「天からえこひいきされた人物」と述べている)仕事の才能にも家族にも恵まれ、幸せな人生を最後まで全うするものもいたり。 そしてその人生を経て、終盤でどんな絵を描いたのか。 その道筋が一人一人描かれていて、こういう視点も面白いな、と思った。 今回気になった画家はこちらの人格の良さそうな3人。 まずは、当時では珍しい女性画家のヴィジェ・ルブラン。 女性が芸術の分野で活躍するのには苦労したようだが、自らの美貌を武器に自画像を沢山描いて、その画力をプロモーションした。 晩年も家族に支えられ幸せに過ごしたという。 次に、ルネサンスの三大巨匠として知られるラファエロ。 先輩達の技術を吸収しようとする素直さと、優雅な物腰で、最後まで愛される画家だったという。 ラファエロ。ファンになりそうです。 そして、イギリスのホガース。 知らない画家でした。音楽と絵画が長らく不毛地帯だったイギリスにようやく現れた画家。 人物の個性を描き分ける観察力が武器。愛する妻と愛犬と、幸せに暮らした。 中野さんは本当に色んな切り口から西洋美術を語ってくれる人。 しかも、個人の感情を極力抑えて客観的に述べているところも、読みやすいポイント。
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15名の画家たちの名画と「絶筆」で彼らの生き様を探る。 第一部 画家と神ー宗教・神話を描く I ボッティチェリ『誹謗』II ラファエロ『キリストの変容』 III ティツィアーノ『ピエタ』IV エル・グレコ『ラオコーン』 V ルーベンス『無題』 第二部 画家と王ー宮廷を...
15名の画家たちの名画と「絶筆」で彼らの生き様を探る。 第一部 画家と神ー宗教・神話を描く I ボッティチェリ『誹謗』II ラファエロ『キリストの変容』 III ティツィアーノ『ピエタ』IV エル・グレコ『ラオコーン』 V ルーベンス『無題』 第二部 画家と王ー宮廷を描く I ベラスケス『青いドレスのマルガリータ』 II ヴァン・ダイク『ウィレム二世とメアリ・ヘンリエッタ』 III ゴヤ『俺はまだ学ぶぞ』 IV ダヴィッド『ヴィーナスに武器を解かれた軍神マルス』 V ヴィジェ=ルブラン『婦人の肖像』 第三部 画家と民ー市民社会を描く I ブリューゲル『処刑台の上のカササギ』 II フェルメール『ヴァージナルの前に座る女』 III ホガ-ス『ホガース家の六人の使用人』 IV ミレー『鳥の巣狩り』V ゴッホ『カラスのむれとぶ麦畑』 関連画家年表有り。 「絶筆」というより最晩年の作品も・・・だが、所謂彼等の 名画や幾つかの作品と共に示されると、画家の生涯や遍歴が 浮かび上がってくる。彼らは「何を描いてきたか」。 画家となり、簡略ながらも詳しい生涯。 画家になった者たち・・・何故画家になったのか?生活?栄誉? その生い立ちは様々でも、それぞれが歴史に名を残した事実。 画家たちの視線・・・何を捉えたのか?何を描いたのか? 神話や信仰、依頼人たちの望み、描かねばならなかった事情。 そして等しく死は訪れる。 宮廷に捉わる、主君の代替わり、絵画の流行の変遷、戦争、 革命等、時代の荒波の揉まれ、最期の時に辿り着く。 「絶筆」はその画家の生き様の終着点。 信仰に捉われ、絶頂期とはほど遠い絵を残した、ラファエロ。 権力欲に捉われ、死ぬまで画家の強靭な姿を残した、ゴヤ。 死の直前まで手元に置いたという、穏やかな顔の使用人たちの ホガースの油彩画は驚き。彼の油彩画をもっと見たくなりました。 多作の著者の作品の中でも、特に満足感高し! 手元に置いて何度も読みたいです。
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1日もあれば読み終えられるくらいのボリュームですが、途中から読了するのが勿体無く思えてしまい、ルブランから先はだらだら読んでました。有名画家の絶筆をまとめて見たことがなかったので新鮮。p191に日本における絵画の見方の勘違いの根源に関する解説が良かった。図書館で借りたが、買って手...
1日もあれば読み終えられるくらいのボリュームですが、途中から読了するのが勿体無く思えてしまい、ルブランから先はだらだら読んでました。有名画家の絶筆をまとめて見たことがなかったので新鮮。p191に日本における絵画の見方の勘違いの根源に関する解説が良かった。図書館で借りたが、買って手元に置いておきたいかも。
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それぞれの画家を絵を通して深く知ることができる内容。 各画家の人生の変化、時代に応じて、作品も変化しており、その様子までわかる。 面白い。 手元に置いておき、機会がある都度見返して楽しめる。
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歴史の教科書ではその時代の最後にちょこっと 芸術史が入ってきてそのときに名前を覚える画家たち。 しかし本書を読むと一人一人その歴史の中で翻弄され 生き残るにはかなりの苦労をしていることが分かります。 時代によって、主題も、聖書→神話画、肖像画→ 日常的な絵画、とテーマも変わって...
歴史の教科書ではその時代の最後にちょこっと 芸術史が入ってきてそのときに名前を覚える画家たち。 しかし本書を読むと一人一人その歴史の中で翻弄され 生き残るにはかなりの苦労をしていることが分かります。 時代によって、主題も、聖書→神話画、肖像画→ 日常的な絵画、とテーマも変わっていくため 本書では「画家と神」「画家と王」「画家と民」と 項目が分けられており、最後になにを描いたか、が 取り上げられています。 時代の要求に合わせられなかったり、絶筆なのかと 驚くほどにまったく能力が衰えていなかったり、 逆に全盛期ほどの能力はもうその絵には見られなかったり…。 個人的には80歳を超えたゴヤの自画像、タイトルは 「俺はまだ学ぶぞ」がとても印象に残りました。
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著名な画家たちの絶筆。あるいは晩年の作品。それらのすべてが名画だとは限らないけれど、そこには彼らの生きた足跡のようなものが見える。どんな風に生き、戦い、苦悩し、描いたのか。絵画を見ただけでは、なかなかわからない裏側が中野さんの見事な解説で書かれている。本を読んで改めてまた作品を見...
著名な画家たちの絶筆。あるいは晩年の作品。それらのすべてが名画だとは限らないけれど、そこには彼らの生きた足跡のようなものが見える。どんな風に生き、戦い、苦悩し、描いたのか。絵画を見ただけでは、なかなかわからない裏側が中野さんの見事な解説で書かれている。本を読んで改めてまた作品を見直したくなる。
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中野京子さんの文章は硬いのに、画家への愛と賞賛に溢れていてとても読んでいて熱くなる。 題材としてはゴッホが一番面白かった。これほどまでに書簡が訳されたり、小説、舞台、映画になった画家はいないと書かれていて、いままで考えたことがなかったけれど確かにピカソやダヴィンチ、日本の画家より...
中野京子さんの文章は硬いのに、画家への愛と賞賛に溢れていてとても読んでいて熱くなる。 題材としてはゴッホが一番面白かった。これほどまでに書簡が訳されたり、小説、舞台、映画になった画家はいないと書かれていて、いままで考えたことがなかったけれど確かにピカソやダヴィンチ、日本の画家よりもゴッホ本人にもスポットがあたってるのは興味深い。幸福な黄色。 その人自身が豊かで優雅で努力を怠らず自己肯定感があると、作品にも反映される。逆に、何をやってもダメだったり人としては悪漢だからこそ、作品が味わい深いものになる。もっと美術館に行きたくなる!
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これもまた、筆者の傾向かが現れてます。中野さんは絵を物語にして読ませてくれるので、分かりやすくて大好きなのですが、よく出てくるのはスペインハプスブルグ家と印象派かなぁ。いや、いいんですけどね。私は私でもっとしっかり分野開拓していきたいと思いました。
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