「絶筆」で人間を読む の商品レビュー
絶筆作品の解説だけだったらつまらなかっただろうが、全盛期との比較がおもしろい。作品ではなく画家の解説だった。
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常識なんだろうが、知らないことがたくさん知れた。 ・19世紀前半までの評価はルネッサンス3大巨匠の中で、圧倒的にラファエロがトップだった。→ 自分の感覚では、1.レオナルドダヴィンチ2.ミケランジェロ3.ラファエロだったが → やっとラファエロ前派という名前の意味が理解できた。 ...
常識なんだろうが、知らないことがたくさん知れた。 ・19世紀前半までの評価はルネッサンス3大巨匠の中で、圧倒的にラファエロがトップだった。→ 自分の感覚では、1.レオナルドダヴィンチ2.ミケランジェロ3.ラファエロだったが → やっとラファエロ前派という名前の意味が理解できた。 ・ルーベンスの天才、何をやっても優秀で、外交官としても活躍。経済人としでも大成功。大げさな絵柄から破天荒な人なのかと勝手に思っていたが、かなり優等生で、バランスのとれた性格ということに意外さを感じた。 ・ゴヤの俗物性質の中に、後期黒い家にあるような真のアーティスト性があること。(これは知っていたが改めて気づいた) ・ミレーが何度もサロンに落ちたこと。政府が変わってアカデミックな絵画を特別扱いしなくなってチャンスがおとづれたこと。
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ゴッホより普通にラッセンが好き。 そんな人もゴッホがどんな想いで絵を描いたのか、どんな人生を送ってきたのかを知れば、ゴッホのほうが好きになるかもしれない。 後世に名画を残した画家が、人生の最後にどんな絵を描いたのか。 それを元に画家の心境や時代背景の変化を読み解く一冊です。 絶...
ゴッホより普通にラッセンが好き。 そんな人もゴッホがどんな想いで絵を描いたのか、どんな人生を送ってきたのかを知れば、ゴッホのほうが好きになるかもしれない。 後世に名画を残した画家が、人生の最後にどんな絵を描いたのか。 それを元に画家の心境や時代背景の変化を読み解く一冊です。 絶筆作品だけでなく、教科書にも絶対のってる人気絶頂のころの作品を詳細な解説とともに比較することで、絶筆に至るまでにどんな変遷を送ったのかを解説しています。 たとえばゴッホ。 「アルルの跳ね橋」とか、黄色を中心とした明るい色調の農村風景が知られていますが、絶筆となる「カラスのむれとぶ麦畑」は、なにもない麦畑にカラスの群が飛び交う風景を描いた作品。観ているだけですごーく不安になります。 アルルではようやく作家活動に希望を見いだせたのに、その後、友人のゴーギャンに愛想を尽かされ、自堕落生活一直線。女性にも逃げられ(かっれの場合、今に始まったことではないが)、酒とクスリにおぼれたうえに最期はピストル自殺。 そんな中でかかれた絶筆作品は、これまで培った技法や色調(やっぱり黄色が大好き)を駆使しつつ、不安感がMAXに込められたものになっています。 取り上げられた作家に共通していえるのは、どれだけ人生が変化しようと、彼らは一貫して絵を描き続けた、ということ。 画家の人となりとか逸話とかで、その絵の価値が変わることはないし、名がはいつみても名画だ。 だが、画家の人生や、その絵に込められた想いを理解することができれば、その絵を鑑賞するときの深みが増す(ワインと同じだ)。 ラッセンさんのほうがどんな人生を送ってきたのかは知らないが、美術館にいったときに作者の系譜をちゃんと読もう、頑張って図録も買おう、そんなモチベーションをあげてくれる一冊です。
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ラファエロ、ボッティチェリ、ティツィアーノ、ブリューゲルら15人の画家の最後の作品を解題する中で、15人の人生、想いが明らかになっていく。ラファエロが多くの部下を抱える大工房の経営者、多くの女性と浮名を流し、若死にした!などの裏話が面白い。ブリューゲルの子・孫に至るまで画家一家だ...
ラファエロ、ボッティチェリ、ティツィアーノ、ブリューゲルら15人の画家の最後の作品を解題する中で、15人の人生、想いが明らかになっていく。ラファエロが多くの部下を抱える大工房の経営者、多くの女性と浮名を流し、若死にした!などの裏話が面白い。ブリューゲルの子・孫に至るまで画家一家だったこと、水墨画に似た多くの画なども新鮮な出会いだった。女性画家ヴィジェ・ルブランの最晩年の瑞々しい女性画の美しさ!一方、ボッティチェリの最後の作品の華が消えた作品は寂しく、哀れを感じる。
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[図書館] 読了:2015/10/2 うーん、図書館にしておいて良かったなぁ、という読後感。 タイトルを裏切り、「絶筆」そのものの解説は少ない。各章10ページほどだが、絶筆の解説は1ページ程度。ほとんどは画家の生涯、作品の傾向、画家の生きた時代の動きを紹介するだけで、いつものダ...
[図書館] 読了:2015/10/2 うーん、図書館にしておいて良かったなぁ、という読後感。 タイトルを裏切り、「絶筆」そのものの解説は少ない。各章10ページほどだが、絶筆の解説は1ページ程度。ほとんどは画家の生涯、作品の傾向、画家の生きた時代の動きを紹介するだけで、いつものダイナミックさが足りず、何度も読み返す気になれなかった。タイトルから期待した、「その絵の物語」を読みたかった自分としては物足りなかった。 あの成功した画家の代名詞のようなルーベンスでさえ、再婚について「私が絵筆を持つことを恥ずかしく思わない女性でなければならなかった」と語っているのが印象深かった。
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